どうしても勉強がはかどらない日、過去問を開く気持ちになれない時がありますよね。そういう日、「今日はやめた」と1日休むのもいいのですが、私はそういう時こそ、あることに絞って勉強することをおすすめしたいです。
「休む」と決めて何もしない日を作ると、どうしてもペースにムラができてしまいます。疲れている日や、過去問にじっくり取り組む気持ちになれない日は、せめてこれだけしませんか。10分ですみますから。
10分だけ頑張りましょう
今日は「社会理論と社会システム」で頻出の、集団の類型を論じた社会学者たちです。
この分野を丸暗記でしんどくなっている人に伝えたいのは、実はほとんどの学者が同じ1つの問いを、それぞれの言葉で説明しているだけだということです。その問いとは、「この集団のつながりは、感情や愛情で結びついているのか。それとも、何らかの目的や利害のために結びついているのか」というものです。
想像してみてください。あなたと家族の結びつきと、あなたと勤務先の会社の結びつき。前者は「好きだから、大切だから」一緒にいますが、後者は「給料をもらう」「仕事を達成する」という目的があるから一緒にいます。
この感情か、目的かという軸を頭に置くだけで、以下の学者たちの理論がすべて同じ地図の上に乗ってきます。
テンニース〜ゲマインシャフトとゲゼルシャフト〜
ドイツの社会学者テンニースは、この「感情か、目的か」という軸を、最も早く体系立てた人物です。
- ゲマインシャフト(共同社会): 家族や村落のように、「一緒にいたいからいる」という感情的・自然発生的な結びつき
- ゲゼルシャフト(利益社会): 企業や大都市のように、「利益や目的のためにいる」という人為的な結びつき
例えば、あなたが今住んでいる村の隣人とは「そこに生まれ育ったから」つながっていますが、あなたの勤務先の同僚とは「同じ会社に採用されたから」つながっています。
前者がゲマインシャフト、後者がゲゼルシャフトです。
テンニースは、近代化が進むほど、社会はゲマインシャフトからゲゼルシャフトへ移行すると考えました。
マッキーヴァー〜コミュニティとアソシエーション〜
マッキーヴァーも同じ「感情か、目的か」の軸を使いますが、切り口が少し違います。彼が注目したのは「地域に根ざしているか、目的のために作られたか」です。
- コミュニティ: 一定の地域で営まれる共同生活そのもの(村、町、国など)
- アソシエーション: 特定の目的のためにつくられた組織(学校、教会、会社など)
例えば「大阪市」はコミュニティですが、その大阪市の中にある「〇〇株式会社」や「〇〇教会」はアソシエーションです。マッキーヴァーの重要な視点は、アソシエーションはコミュニティの土台の上に生まれるとしたこと。人が地域で共同生活を送っているからこそ(コミュニティ)、その中で目的別の組織(アソシエーション)が作られる、という順番です。
また、マッキーヴァーは「家族をアソシエーションと位置付けている」のが特徴的です。マッキーヴァーは、家族を子育てという目的を持つ組織とみなし、アソシエーションに分類しました。「家族=感情的だからコミュニティ」と感じやすいので気を付けましょう。
クーリー〜第一次集団〜
アメリカの社会学者クーリーは、この「感情か、目的か」の軸を、個人の人格形成という視点から論じました。
クーリーが提唱したのは「第一次集団」です。家族や遊び仲間のように、直接顔を合わせる(対面的)親密な結びつきを持つ集団のことで、子どもが「われわれ」という一体感や、誇り・恥といった感情を身につける、人格形成の土台になるとされます。
なお「第二次集団」(学校や企業など、目的のために作られた大規模な集団)という言葉もセットで語られますが、これはクーリー自身の言葉ではなく、後の学者がクーリーの第一次集団と対比させる形で整理した言葉です。
サムナー〜内集団と外集団〜
ここまでの3人が「感情か、目的か」を軸にしていたのに対し、サムナーの軸は少し違います。彼が注目したのは「自分がその集団の側にいると感じるかどうか」という所属意識です。
- 内集団(われわれ集団): 自分が所属し、愛着や仲間意識を持つ集団
- 外集団(かれら集団): よそ者・敵として意識される集団
「うちのクラス」「うちの会社」という言い方に表れる、あの感覚です。サムナーは、内集団への愛着が、外集団への敵意や偏見と表裏一体であることを指摘し、エスノセントリズム(自民族中心主義)という概念も提唱しました。自分たちの文化や価値観を基準にして、他の文化を低く見てしまう考え方のことです。
例えば、「箸を使わずに食事をするのはマナー違反だ」「靴を脱がずに部屋に入るのはおかしい」というように、自分の文化の習慣を基準にして、他の文化の習慣を否定的に評価してしまうことがあります。これがエスノセントリズムの働きです。強い形では民族迫害のような排外主義にもつながりますが、多くの場合は本人が無自覚なまま、日常のちょっとした場面に表れます。
ギディングス〜生成社会と組成社会〜
出題頻度はやや下がりますが、選択肢の一つとして登場するのがギディングスです。彼の軸も、テンニースやマッキーヴァーと同じ「自然に生まれたか、人為的に作られたか」です。
- 生成社会: 血縁や地縁により自然に生まれた社会(家族、村落)
- 組成社会: 特定の目的のために人為的に作られた社会(会社、学校)
まとめ〜同じ軸で整理する対比表〜
| 人物 | 感情的・自然発生的 | 目的的・人為的 |
|---|---|---|
| テンニース | ゲマインシャフト | ゲゼルシャフト |
| マッキーヴァー | コミュニティ | アソシエーション |
| クーリー | 第一次集団 | (第二次集団※後の学者の整理) |
| ギディングス | 生成社会 | 組成社会 |
マートンの準拠集団
集団という視点では、マートンも国家試験の頻出メンバーの1人!マートンが論じたのは「準拠集団」、つまり人が自分の考えや行動の基準にする集団のことです。今回の5人(テンニース・マッキーヴァー・クーリー・サムナー・ギディングス)とは少し違う視点なので、別の機会にとりあげます。
今日のまとめ
この記事は「頻出!合格のために必ず覚えておきたい人名シリーズ」の一つです。
他の回はこちらから→人名シリーズ一覧
お疲れ様でした。

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