どうしても勉強がはかどらない日、過去問を開く気持ちになれない時がありますよね。そういう日、「今日はやめた」と1日休むのもいいのですが、私はそういう時こそ、あることに絞って勉強することをおすすめしたいです。
「休む」と決めて何もしない日を作ると、どうしてもペースにムラができてしまいます。疲れている日や、過去問にじっくり取り組む気持ちになれない日は、せめてこれだけしませんか。10分ですみますから。
やる気の源はお金?人間関係?達成感?
今日は「福祉サービスの組織と経営」で頻出の、「人はどうすればやる気を出すのか」を巡る理論の変遷です。
最初は「お金や作業条件を整えればやる気は出る」という発想でした。次に「人間関係や、注目されているという実感が大事だ」という発想が生まれます。そしてさらに、「給料や環境を整えるだけでは不十分で、達成感や責任感といった、仕事の内容そのものに満足を感じられるかどうかが本当のやる気を左右する」という発想へと、考え方が移り変わってきました。
テイラー〜科学的管理法、経済人モデル〜
テイラーは、労働者にとって最も効率的な作業条件を標準化し、出来高に応じた賃金を支払うことで生産性が上がる、という「科学的管理法」を提唱しました。
この発想の根底にあるのは、「人は経済的な報酬によって動く」という経済人モデルです。人の心理面ではなく、作業環境や金銭的なインセンティブこそが、生産性を左右する要素だと考えました。
ホーソン実験〜人間関係論、社会人モデル〜
テイラーの科学的管理法に基づいて運営されていた1920年代のアメリカ、ウェスタン・エレクトリック社のホーソン工場で行われたのが「ホーソン実験」です。
当初は照明や作業条件を変えることで生産性がどう変化するかを調べる実験でしたが、途中からメイヨーやレスリスバーガーらハーバード大学の研究者が加わり、意外な結果が明らかになります。
作業条件を悪くしても、労働者が「注目されている」「特別なグループの一員だ」と感じると、かえって作業効率が上がったのです。ここから、生産性を左右するのは客観的な作業環境よりも、職場の人間関係や、労働者の心理的な満足感である、という「人間関係論」が生まれました。この考え方は「社会人モデル」と呼ばれ、テイラーの経済人モデルと対比されます。
ハーズバーグ〜動機づけ要因と衛生要因〜
ハーズバーグは、仕事における満足・不満足を生む要因を、「動機づけ要因」「衛生要因」という2種類に分けて説明しました。
- 動機づけ要因: 仕事の達成感、承認、責任など、満たされると満足につながる要因
- 衛生要因: 給料、作業条件、人間関係など、不足すると不満につながるが、満たしたからといって満足に直結するわけではない要因
つまり、給料を上げても(衛生要因を満たしても)、それだけでは積極的なやる気にはつながりにくく、達成感や責任(動機づけ要因)を与えることが、本当の意味でのモチベーション向上には必要だ、という考え方です。
ブルームの期待理論
この後の動機づけ理論では、ブルームとデシが、それぞれ違う角度から重要な視点を加えています。
ブルームは、モチベーションの高さを、次の3つの掛け算(積)で説明する「期待理論」を提唱しました。
- 期待: 頑張れば、どれだけの成果が出せそうかという見込み
- 道具性: その成果が、さらに欲しい報酬にどれだけつながりそうかという見込み。例えば「この案件で成果を出せば、昇進や評価アップという結果につながるだろう」というように、成果が次の望ましい結果を手に入れる「道具」としてどれだけ役立ちそうか、という見込みのことです
- 誘意性: その報酬が、自分にとってどれだけ魅力的かという度合い
モチベーション=期待×道具性×誘意性、という掛け算である点が重要です。掛け算ということは、どれか1つでもゼロに近ければ、全体のモチベーションもゼロに近くなるということです。例えば、どれだけ魅力的な報酬(誘意性)が用意されていても、「頑張ってもどうせ無理だ」と成果への期待そのものが持てなければ、モチベーションは生まれません。
デシの内発的動機づけ
一方デシは、報酬などの外的な要因ではなく、興味や関心、楽しさそのものからやる気が生まれる「内発的動機づけ」を提唱しました。デシの研究で興味深いのは、もともと楽しいと感じて取り組んでいたことに、あとから金銭的な報酬を与えると、かえってその活動そのものへの興味(内発的動機づけ)が弱まってしまう、という現象が見られたことです。つまり、金銭ばかりで人を動かそうとすると、かえってその人本来のやる気を弱めてしまう危険がある、ということです。
今日のまとめ
この記事は「頻出!合格のために必ず覚えておきたい人名シリーズ」の一つです。
他の回はこちらから→人名シリーズ一覧
お疲れ様でした。

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