刑事手続への関与を支える5つの制度
犯罪被害者等基本法第18条は、犯罪被害者等が刑事に関する手続に適切に関与できるよう、手続の進捗状況等に関する情報の提供と、参加の機会を拡充するための制度の整備を求めています。これを受けて整備された制度は5つです。
犯罪被害者等基本法は、こちらで整理しています。
→犯罪被害者等基本法をわかりやすく|基本理念・基本的施策・基本計画を整理
①被害者等通知制度
②被害者参加制度
③国選被害者参加弁護士制度
④意見等聴取制度
⑤心情等伝達制度
覚え方は、どの段階の制度かです。①は捜査から刑の執行まで手続の全体、②③は公判の段階、④⑤は判決が確定したあとの段階です。事例問題では、被害者が今どの段階にいるかを読み取れば、使える制度が絞れます。
手続全体を通じた情報提供
①被害者等通知制度は、希望する被害者等に対して、事件の処理結果、公判期日、裁判結果、加害者の受刑中の処遇状況、刑期の終了予定時期、釈放予定などを通知する制度です。捜査から刑の執行までの各段階で通知が行われ、対象となる罪名の限定はありません。
捜査段階や公判段階の通知は検察庁が、受刑中の処遇状況や釈放に関する通知は矯正施設や地方更生保護委員会が担当します。
公判の段階
②被害者参加制度は、被害者等が刑事裁判に参加し、公判期日に出席する、被告人に質問する、事実または法律の適用について意見を述べる、といったことができる制度です。裁判所の許可を得て参加します。
対象となる事件は限定されています。故意の犯罪行為により人を死傷させた罪、不同意わいせつ・不同意性交等の罪、逮捕・監禁の罪、過失運転致死傷罪や危険運転致死傷罪などです。人の生命・身体・自由に関わる罪が対象であり、財産に対する罪は含まれません。
③国選被害者参加弁護士制度は、被害者参加人が資力に乏しい場合に、国の費用で弁護士を選定する制度です。被害者参加制度を利用できることが前提になります。
判決が確定したあとの段階
④意見等聴取制度は、加害者の仮釈放や仮退院の審理において、地方更生保護委員会に対し、仮釈放等に関する意見や被害に関する心情を述べることができる制度です。述べられた意見等は審理において考慮されます。
⑤心情等伝達制度は、保護観察中の加害者に対して、被害に関する心情や置かれている状況、加害者の生活や行動に関する意見を伝える制度です。保護観察所が被害者等から聴取し、保護観察官または保護司が加害者に伝達します。
同じ判決確定後でも、仮釈放の審理は地方更生保護委員会、保護観察中は保護観察所が担当します。この違いに注意してください。
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第38回問題63
事例を読んで,次のうち,Aさんが利用できる制度として,適切なものを 2 つ選びなさい。
〔事例〕 Aさん(55 歳)は,放火の被害に遭い,ケガはなかったものの自宅が全焼した。Aさんは,加害者の受刑中の処遇状況を知りたいと考えている。また,加害者の仮釈放の審理が行われる場合には,審理する機関に対して仮釈放に対する自身の考えを伝えたいと思っている。
1 被害者等通知制度
2 検察審査会に対する審査申立制度
3 国選被害者参加弁護士制度
4 被害者参加制度
5 意見等聴取制度
解説
正答 1・5
事例のAさんは、裁判はすでに終了し、加害者が受刑中です。これから仮釈放の審理が行われる段階にいます。
1 ○ 手続の全体を通じた制度で、受刑中の処遇状況を知ることができます。
2 × 検察官の不起訴処分の当否を審査する制度です。5つの制度には含まれません。
3 × 被害者参加制度を利用できることが前提の制度です。
4 × 公判の段階の制度なので、既に受刑中のこの事例では利用できません。あわせて、対象となる事件は人の生命・身体・自由に関わる罪に限られており、放火は含まれません。
5 ○ 判決が確定したあとの制度で、仮釈放の審理において地方更生保護委員会に意見や心情を述べることができます。
制度の根拠となっている犯罪被害者等基本法は、こちらで整理しています。


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