保護司とは|令和7年保護司法改正 任期・委嘱・定数・身分を整理

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刑事司法と福祉
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保護司とは

覚えてほしい点を箇条書きにしました。

①保護司とは:保護司法に基づき法務大臣から委嘱を受け、犯罪をした人や非行のある少年の立ち直りを地域で支えるボランティアです。

②身分:非常勤の国家公務員ですが、給与を支給しないものとされています(保護司法第11条)。ただし、法務省令の定めるところにより、職務を行うために要する費用の全部または一部の支給を受けることができます。

③保護司の使命:(令和7年に保護司法が改正されています。下の比較表で必ず改正点を確認してください)
社会奉仕の精神をもって、犯罪をした者および非行のある少年の改善更生を助けるとともに、犯罪の予防のため世論の啓発に努め、もって地域社会の浄化をはかり、個人および公共の福祉に寄与することと定めています。

④保護観察官との関係:保護司は保護観察官で十分でないところを補うと定めています(更生保護法第32条)。保護観察官は国家公務員として専門的な立場から関わり、保護司は地域の実情を知る住民として関わります。この2つが協働して保護観察を行う仕組みです。

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委嘱までの流れと定数

こちらも箇条書きでまとめます。

・保護観察所の長が保護司選考会の意見を聴いて法務大臣に推薦し、法務大臣が委嘱します。市町村長や都道府県知事は関与しません。

・定数は、全国を通じて52,500人を超えないものとされています(保護司法第2条第2項)。保護区ごとの定数は、法務大臣がその土地の人口、経済、犯罪の状況その他の事情を考慮して定めます。

・実際の人数は定数を大きく下回っています。令和7年1月時点で約4万6千人で、この20年間で3千人近く減りました。60歳以上が8割近くを占め、高齢化も進んでいます。この状況が、後述する令和7年改正につながりました。

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令和7年の保護司法改正

令和7年12月3日に「更生保護制度の充実を図るための保護司法等の一部を改正する法律」(令和7年法律第82号)が成立し、同月10日に公布されました。一部の規定を除き、公布の日から起算して1年を超えない範囲内において政令で定める日から施行されます(令和8年12月までの間に施行され、第39回の試験が実施されるのは令和9年2月です)。

背景は2つです。ひとつは、担い手確保が年々困難となり高齢化も加速していたことです。もうひとつは、令和6年5月に保護司が犯罪被害に遭い(滋賀県大津市で、担当していた保護観察中の男性から保護司の男性が殺害された事件)、安全確保が大きな課題となったことです。令和6年10月に「持続可能な保護司制度の確立に向けた検討会」の報告書が法務大臣に提出され、これを受けて法改正が行われました。

改正のポイントは4つに整理されています。

1 保護司の適任者確保

使命と委嘱条件が見直されました。今の時代に求められる保護司像を明確化するためです。

改正前改正後
使命(第1条)地域社会の浄化をはかる安心して暮らすことのできる安全な地域社会の実現を図る
委嘱の条件(第3条)社会的信望を有すること人格識見が高いこと
職務の遂行に必要な熱意及び時間的余裕を有すること職務の遂行に必要な時間を確保できること
(規定なし)他の保護司及び保護観察官と協働して誠実かつ熱心に職務を行う意欲を有すること
任期(第7条)2年3年

候補者探しについては、広報や関係機関との連携が保護観察所の長の責務として規定されました。保護司の人脈のみに頼った候補者探しからの脱却をねらいとしています。

2 保護司の活動環境の改善

活動拠点である更生保護サポートセンターが法定化されます。保護観察所の長による保護司会等への支援規定が新設され、地方公共団体による保護司会等への協力は「できる規定」から努力義務規定に改められます。あわせて、民間企業による保護司である従業者への配慮規定が新設され、休暇や勤務時間への配慮が求められます。

3 保護司の安全確保

保護司の安全確保に関する国の責務規定が新設され、面接場所の確保等の施策が推進されます。また、職務の執行区域が弾力化され、他の保護区の更生保護サポートセンターや面接場所を活用しやすくなります。面接を行う場所の選択肢を広げるためです。

このほか、公務所等への照会規定と少年鑑別所による鑑別の規定が新設され、保護観察対象者の再犯リスクの分析・評価のための情報収集が強化されます。

4 その他

更生保護事業や更生保護活動に対する地方公共団体の協力規定が整備されます。

整理すると、担い手確保の柱が高齢化となり手不足への対応、安全確保の柱が令和6年の事件への対応です。任期の延長と委嘱条件の見直しは前者、国の責務規定と執行区域の弾力化は後者にあたります。

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保護司会と更生保護サポートセンター

保護司は、保護区ごとに組織される保護司会に所属します。保護司会は、都道府県ごとに保護司会連合会を組織します。

更生保護サポートセンターは、保護司の活動拠点として設置されている施設です。これまで法律上の位置づけがありませんでしたが、令和7年改正で法定化されました。

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過去問を確認しましょう

第36回問題36

地域福祉に係る組織,団体に関する現行法上の規定の内容として,最も適切なものを 1 つ選びなさい。

1 特定非営利活動促進法において,特定非営利活動法人は,内閣府の認可により設立される。
2 民生委員法において,民生委員協議会は,民生委員の職務に関して,関係各庁に意見を具申することができる。
3 社会福祉法において,社会福祉法人は,社会福祉事業以外の事業を実施してはならない。
4 保護司法において,保護司会連合会は,市町村ごとに組織されなければならない。
5 社会福祉法において,市町村社会福祉協議会の役員には,関係行政庁の職員が 5 分の 1 以上就任しなければならない。

解説

正答は2です。

1 →× 特定非営利活動法人は、所轄庁である都道府県知事又は指定都市の長の認証によって設立されます。認可ではなく認証で、所轄庁は内閣府ではありません。
2 →○ 民生委員法第24条第2項のとおりです。意見具申の主体は個々の民生委員ではなく民生委員協議会です。
3 →× 社会福祉法人は、社会福祉事業のほか、公益事業及び収益事業を行うことができます。
4 →× 保護司会は保護区ごとに、保護司会連合会は都道府県ごとに組織されます。市町村ごとではありません。
5 →× 市町村社会福祉協議会の役員には、関係行政庁の職員が役員総数の5分の1を超えて含まれてはならないとされています。就任義務ではなく上限の規定です。

第36回問題148

保護司に関する次の記述のうち,正しいものを 1 つ選びなさい。

1 法務大臣から委嘱される。
2 検察官の指揮監督を受ける。
3 保護観察における指導監督の権限はない。
4 担当する事件内容によっては給与が支給される。
5 刑事施設収容中の者との面会は禁じられている。

解説

正答 1

1 ○ 保護観察所の長が保護司選考会の意見を聴いて推薦し、法務大臣が委嘱します。
2 × 検察官ではありません。保護司は保護観察所の長の指揮監督のもとで職務を行います。
3 × 保護観察は指導監督と補導援護からなり、保護司は保護観察官と協働してこれを行います。
4 × 給与は支給されません。職務を行うために要する費用の支給を受けることができます。
5 × 禁じられていません。生活環境の調整のため、矯正施設に収容中の者と面会することがあります。

演習問題

令和7年の保護司法改正に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。

1 保護司の任期が、3年から2年に短縮された。
2 保護司の安全確保に関する規定は、地方公共団体の責務として新設され、面接の場所などを確保することが求められることとなった。
3 更生保護サポートセンターは保護司の活動拠点として法定化された。
4 保護司の委嘱の条件から、「時間的余裕を有する者」が削除された。
5 保護司である従業者を雇用する民間企業には、休暇や勤務時間への配慮が義務づけられた。

解説

正答 3

1 × 逆です。2年から3年に延長されました。
2 × 地方公共団体ではなく、国の責務として新設されました。
3 ○ 保護司の活動拠点である更生保護サポートセンターが法定化されました。
4 × 削除されていません。時間的余裕を有することから、職務の遂行に必要な時間を確保できることに改められました。
5 × 義務ではなく、配慮規定として新設されたものです。

民生委員も、国から委嘱を受けて活動する無給の非常勤職員です。任期や身分など、混同しやすい点を表で整理しています。

保護司と民生委員の違い|根拠法・委嘱・任期・身分を表で整理

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