家庭裁判所とは|家事事件と少年事件・成年後見における役割

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家庭裁判所が扱うもの

裁判所には、最高裁判所、高等裁判所、地方裁判所、家庭裁判所、簡易裁判所の5種類があります。このうち家庭裁判所が扱うのは、家庭に関する事件(家事事件)と、非行のある少年の事件(少年事件)の2つです。家庭の中の問題と、少年の問題を扱う裁判所だと押さえてください。

家事事件には、離婚、親権者の指定、面会交流、養育費、扶養、遺産分割、認知などがあります。認知請求訴訟も家庭裁判所が扱います。人事訴訟法により、離婚、認知、婚姻の無効・取消しといった人事訴訟は、地方裁判所ではなく家庭裁判所の管轄とされているためです。

気を付けましょう!
DV防止法に基づく保護命令は、配偶者からの暴力という家庭の問題に見えますが、これを扱うのは家庭裁判所ではなく地方裁判所です。

福祉の分野で家庭裁判所が出てくるのは、①成年後見に関するもの②児童福祉に関するもの③少年事件に関するものの3つです。この順に確認していきましょう。

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①成年後見における家庭裁判所の役割

成年後見制度において、家庭裁判所は次のことを行います。

・後見開始、保佐開始、補助開始の審判
・成年後見人などの選任
・成年後見監督人、任意後見監督人の選任
・成年後見人の解任
・成年後見人の辞任の許可
・居住用不動産の処分の許可
・特別代理人の選任

成年後見人が辞任する際や、成年被後見人の居住用不動産を処分する際も家庭裁判所の許可が必要です。特に住まいは生活の基盤ですので、成年後見人の判断だけで処分(賃貸借契約を解除したり、抵当権を設定したりする場合も含みます)できないようにしてあります。

また、成年後見人に不正な行為や著しい不行跡がある場合、家庭裁判所は職権で解任することができます。請求がなければ解任できない、というものではありません。また、家庭裁判所は、成年後見人に対して報告を求めたり、財産の状況を調査したりすることができます。

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任意後見制度とは|効力が生じるのはいつか・公正証書と任意後見監督人

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②児童福祉における家庭裁判所の役割

児童福祉の分野では、児童相談所が調査や判定を行い、その児童をどこで養育するのが適切かを判断します。行政の判断で進むのが基本です。

ところが、親の意思に反して親子を引き離す場面になると、家庭裁判所が関わってきます。親と一緒に暮らすかどうかは、子どもにとっても親にとっても大きな問題ですから、行政の判断だけで完結させるべきではない、という考え方によるものです。

どの場面で家庭裁判所が出てくるのかを、順に確認しましょう。

保護者の意に反する施設入所等(児童福祉法28条)

里親への委託や児童福祉施設への入所の措置を採るのは、児童福祉法27条1項3号により都道府県とされています。この権限は児童相談所長に委任することができるとされており、実際には児童相談所が判断して措置を行っています。

保護者が同意しない場合は、児童相談所や都道府県の判断だけで措置を採ることはできず、家庭裁判所の承認を得る必要があります。これが児童福祉法28条で、実務では28条措置と呼ばれています。

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社会的養護とは|5つの施設と里親・ファミリーホームの違いを整理

2か月を超える一時保護

一時保護は、児童相談所長又は都道府県知事の判断で開始します。児童本人の意に反していても行うことができます。

ただし、親権者等の意に反して2か月を超えて続ける場合は、家庭裁判所の承認が必要です。ここも、親の意思に反する状態が長く続く場面なので、家庭裁判所が関わります。

一時保護状を発するのは裁判官です

一時保護の開始についても、令和4年の児童福祉法改正で司法審査が導入されました。親権者等の同意がない場合、開始から7日以内又は事前に、一時保護状を請求しなければなりません。令和7年6月1日から施行されています。

ここで注意したいのは、請求先が家庭裁判所ではないという点です。地方裁判所、家庭裁判所又は簡易裁判所の裁判官に請求します。家庭裁判所に限られていません。

2か月を超えるときは家庭裁判所の承認、開始のときは3つの裁判所のいずれかの裁判官が発する一時保護状。同じ一時保護でも分かれていますので、あわせて確認しておいてください。

一時保護についての記事はこちら
一時保護とは?要件・期間・2025年施行の保護状司法審査をわかりやすく解説

親権喪失・親権停止の審判

親権喪失や親権停止の審判を行うのは家庭裁判所です。児童相談所長は、これらの審判を家庭裁判所に請求することができます。

請求はできますが、決定するのは家庭裁判所です。児童相談所長が親権を失わせることができるわけではありません。ここを入れ替えた選択肢が作られます。

特別養子縁組の成立

特別養子縁組を成立させるのも家庭裁判所です。養親となる者の請求により、家庭裁判所が審判を行います。実親との親子関係が終了するため、家庭裁判所の判断が必要とされています。

里親と特別養子縁組についての記事はこちら
里親の種類をわかりやすく解説|里親研修と認定・特別養子縁組制度についても

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③少年事件における家庭裁判所の役割

非行のある少年の事件も、家庭裁判所が扱います。

14歳以上の犯罪少年については、警察官や検察官が捜査したすべての事件が家庭裁判所に送致されます。これを全件送致主義といいます。一方、14歳未満の触法少年は児童福祉法による対応が原則で、児童相談所長等から送致を受けた場合に、はじめて家庭裁判所の審判の対象となります。

家庭裁判所は、調査を行ったうえで審判を開き、保護処分などを決定します。

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少年司法のプロセス|触法少年と犯罪少年で何が変わるのか

家庭裁判所調査官

家庭裁判所には、家庭裁判所調査官が置かれています。心理学、社会学、社会福祉学、教育学などの専門的な知識をもつ職員です。少年事件では、少年の性格や生育歴、家庭環境などを調査します。家事事件では、子どもの意向を確認したり、家庭の状況を調べたりします。

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過去問を確認しましょう

第35回問題82

家庭裁判所に関する次の記述のうち,正しいものを 1 つ選びなさい。
1 家庭裁判所は,近隣トラブルに関する訴訟を取り扱う。
2 家庭裁判所は,「DV防止法」に基づく保護命令事件を取り扱う。
3 家庭裁判所は,嫡出でない子の認知請求訴訟を取り扱う。
4 家庭裁判所は,労働審判を取り扱う。
5 家庭裁判所は,債務整理事件を取り扱う。

解説

正答は3です。
1→× 近隣トラブルは家庭に関する事件ではありません。
2→× 保護命令を出すのは地方裁判所です。
3→○ 認知請求訴訟は人事訴訟として、家庭裁判所が扱います。
4→× 労働審判は地方裁判所が扱います。
5→× 債務整理は地方裁判所が扱います。

第28回問題80

家庭裁判所の役割に関する記述として、正しいものを1つ選びなさい。
1 成年後見人に不正な行為、著しい不行跡などの事実がある場合、家庭裁判所は、職権で成年後見人を解任できる。
2 成年後見人の業務に疑義があることを理由に、家庭裁判所が直接、成年被後見人の財産状況を調査することはできない。
3 成年後見人は、正当な事由がある場合、家庭裁判所への届出をもって、その任務を辞することができる。
4 成年後見人が成年被後見人を養子にする場合、家庭裁判所の許可は不要である。
5 成年後見人が成年被後見人の居住用不動産を売却する場合、家庭裁判所の許可は不要である。

解説

正答は1です。
1→○ 記述のとおりです。請求によるほか、職権で解任することもできます。
2→× 家庭裁判所は、財産の状況を調査することができます。
3→× 届出ではなく、家庭裁判所の許可が必要です。
4→× 後見人が被後見人を養子にする場合、家庭裁判所の許可が必要です。
5→× 居住用不動産の処分には、家庭裁判所の許可が必要です。

第31回問題139

民法の規定に基づいて、養親となる者の請求により特別養子縁組を成立させることができる組織・機関の名称として、正しいものを1つ選びなさい。
1 法務省
2 児童相談所
3 福祉事務所
4 家庭裁判所
5 地方検察庁

解説

正答は4です。
1→× 法務省が縁組を成立させることはありません。
2→× 児童相談所は相談や調整を行いますが、縁組を成立させる機関ではありません。
3→× 福祉事務所は関わりません。
4→○ 記述のとおりです。
5→× 地方検察庁は関わりません。

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