家庭裁判所が扱うもの
裁判所には、最高裁判所、高等裁判所、地方裁判所、家庭裁判所、簡易裁判所の5種類があります。このうち家庭裁判所が扱うのは、次の2つです。
家事事件 家庭に関する事件
少年事件 非行のある少年の事件
家庭の中の問題と、少年の問題。この2つを扱う裁判所だと押さえてください。
家事事件
福祉の現場に関わるものとしては、次のようなものがあります。
・後見開始、保佐開始、補助開始の審判
・任意後見監督人の選任
・離婚、親権者の指定、面会交流、養育費
・特別養子縁組の成立
・児童福祉法28条の承認(保護者の意に反する施設入所)
・遺産分割
・扶養に関する事件
・認知
*認知請求訴訟も家庭裁判所が扱います。人事訴訟法により、離婚、認知、婚姻の無効・取消しといった人事訴訟は、地方裁判所ではなく家庭裁判所の管轄とされています。
*DV防止法に基づく保護命令も、家庭裁判所ではなく地方裁判所が扱います。配偶者からの暴力という家庭の問題に見えるので、気を付けましょう。
少年事件
14歳以上の少年の事件は、すべて家庭裁判所に送致されます(全件送致)。
家庭裁判所の調査官が調査を行い、審判を開き、保護処分などを決定します。
家庭裁判所調査官
家庭裁判所には、家庭裁判所調査官が置かれています。心理学、社会学、社会福祉学、教育学などの専門的な知識をもつ職員です。
少年事件では、少年の性格や生育歴、家庭環境などを調査します。家事事件では、子どもの意向を確認したり、家庭の状況を調べたりします。
法律の判断だけでは適切な結論を出せない事件を扱うため、こうした専門職が置かれています。
→少年司法のプロセス|触法少年と犯罪少年で何が変わるのか
成年後見における家庭裁判所の役割
成年後見制度において、家庭裁判所は次のことを行います。
・後見開始などの審判
・成年後見人などの選任
・成年後見監督人、任意後見監督人の選任
→任意後見制度とは|効力が生じるのはいつか・公正証書と任意後見監督人
→後見登記とは|登記事項証明書と登記されていないことの証明書
・成年後見人の解任
・成年後見人の辞任の許可
・居住用不動産の処分の許可(居住用の不動産だけは勝手に処分できません)
・特別代理人の選任
*成年後見人が辞任するには、家庭裁判所の許可が必要です。届け出るだけで辞任できるものではありません。
*成年被後見人の居住用不動産を処分するにも、家庭裁判所の許可が必要です。売却だけでなく、賃貸借の解除や抵当権の設定も含まれます。住まいは生活の基盤ですので、成年後見人の判断だけで処分できないようにしてあります。
成年後見人に不正な行為や著しい不行跡がある場合、家庭裁判所は職権で解任することができます。請求がなければ解任できない、というものではありません。
また、家庭裁判所は、成年後見人に対して報告を求めたり、財産の状況を調査したりすることができます。
過去問を確認しましょう
第35回問題82
家庭裁判所に関する次の記述のうち,正しいものを 1 つ選びなさい。
1 家庭裁判所は,近隣トラブルに関する訴訟を取り扱う。
2 家庭裁判所は,「DV防止法」に基づく保護命令事件を取り扱う。
3 家庭裁判所は,嫡出でない子の認知請求訴訟を取り扱う。
4 家庭裁判所は,労働審判を取り扱う。
5 家庭裁判所は,債務整理事件を取り扱う。
解説
正答は3です。
1→× 近隣トラブルは家庭に関する事件ではありません。
2→× 保護命令を出すのは地方裁判所です。
3→○ 認知請求訴訟は人事訴訟として、家庭裁判所が扱います。
4→× 労働審判は地方裁判所が扱います。
5→× 債務整理は地方裁判所が扱います。
第28回問題80
家庭裁判所の役割に関する記述として、正しいものを1つ選びなさい。
1 成年後見人に不正な行為、著しい不行跡などの事実がある場合、家庭裁判所は、職権で成年後見人を解任できる。
2 成年後見人の業務に疑義があることを理由に、家庭裁判所が直接、成年被後見人の財産状況を調査することはできない。
3 成年後見人は、正当な事由がある場合、家庭裁判所への届出をもって、その任務を辞することができる。
4 成年後見人が成年被後見人を養子にする場合、家庭裁判所の許可は不要である。
5 成年後見人が成年被後見人の居住用不動産を売却する場合、家庭裁判所の許可は不要である。
解説
正答は1です。
1→○ 記述のとおりです。請求によるほか、職権で解任することもできます。
2→× 家庭裁判所は、財産の状況を調査することができます。
3→× 届出ではなく、家庭裁判所の許可が必要です。
4→× 後見人が被後見人を養子にする場合、家庭裁判所の許可が必要です。
5→× 居住用不動産の処分には、家庭裁判所の許可が必要です。


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