鑑定とは
後見開始などの審判を申し立てると、本人の判断能力がどの程度なのかを家庭裁判所が判断することになります。
その判断のために、医師に本人の精神の状況を判定してもらう手続が鑑定です。家庭裁判所が医師に命じて行います。
申立ての際には診断書を提出しますが、診断書は申立人が医師に作成を依頼するものです。鑑定は、家庭裁判所が命じて行われます。
3類型で扱いが違います
鑑定が必要かどうかは、後見・保佐・補助で異なります。
後見 原則として鑑定が必要
保佐 原則として鑑定が必要
補助 鑑定は不要
後見と保佐については、家事事件手続法が原則として鑑定を行わなければならないと定めています。ただし、明らかにその必要がないと認めるときは省略できるとされています。
補助については、鑑定を行うという定めがありません。診断書等によって判断されます。
*後見と保佐は、本人の同意なく開始することができます。本人の判断能力を慎重に確認する必要がありますので、鑑定が原則とされています。補助は本人の同意が必要ですので、鑑定は不要です。
実際は「鑑定」はほとんど行われていません
法律上は後見と保佐について原則として鑑定が必要とされていますが、実際に鑑定が実施されたのは全体の3.4%です。
家事事件手続法119条・133条には、「(鑑定について)明らかにその必要がないと認めるときは、この限りでない」というただし書きがあります。このただし書きが実務では広く用いられており、診断書によって判断されることがほとんどです。
鑑定を行うと費用がかかり、審理にも時間がかかります。制度の利用を進めるうえで負担になるため、運用として省略される方向に動いてきました。
*法律上の原則と、実際の運用が違うという点が、この論点のポイントです。「原則として鑑定が必要」も正しいですし、「実際にはほとんど行われていない」も正しいのです。
鑑定の期間と費用
鑑定が行われた場合の期間と費用は、次のとおりです。
期間 1か月以内が最も多い(52.6%)
費用 5万円以下が43.7%、10万円以下で85.8%
*鑑定費用は、原則として申立人の負担です。低所得の方については、成年後見制度利用支援事業による助成の対象になります。
過去問を確認しましょう
第29回問題81
保佐及び補助における判断能力の判定に際して、いずれも原則として医師等の専門家による鑑定が必要である。
解説
→× 保佐については原則として鑑定が必要ですが、補助については必要とされていません。
第27回問題80
補助の開始には、精神の状況につき鑑定が必要とされている。
解説
→× 補助については鑑定は必要とされていません。
第30回問題81
「成年後見関係事件」の「終局事件」のうち、鑑定を実施したものは、全体の約半数であった。
解説
→× 鑑定を実施したものは、全体の1割にも達しません。
第31回問題80
鑑定期間として最も多かったのは、2か月超え3か月以内である。
解説
→× 鑑定期間は1か月以内が最も多くなっています。

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