国民健康保険団体連合会とは
国民健康保険団体連合会(国保連)は、国民健康保険法に基づいて設立される公法人で、各都道府県に1つ置かれています。
もともとは国民健康保険の診療報酬の審査支払を行う団体ですが、介護保険制度の創設にともなって、介護保険に関する業務も担うことになりました。
主な業務は5点です。
①医療保険・介護保険の審査と支払
②指定居宅サービス等の質の向上に関する調査を行い、指定居宅サービス事業者や介護保険施設に対して、必要な指導及び助言
③苦情処理
④第三者求償業務
⑤介護保険サービス事業の経営
①介護給付費の審査と支払
介護サービス事業者は、利用者の自己負担分を除いた介護報酬を、国保連に請求します。国保連は請求内容を審査し、事業者に支払います。これらの業務は「審査・支払い業務」と呼ばれ、介護保険の保険者である市町村から委託を受けて行います。
医療保険の診療報酬については、健康保険の分を社会保険診療報酬支払基金が、国民健康保険の分を国保連が審査支払しています。
あわせて、障害者総合支援法に基づく自立支援給付費などの審査支払も、市町村の委託を受けて国保連が行っています。
介護給付費等審査委員会
介護報酬の請求の審査を行うため、国保連には介護給付費等審査委員会が置かれます。介護保険法に基づく委員会で、請求内容が基準に照らして適正かどうかを審査します。
介護保険を勉強していると審査会・委員会が次々でてくるので、ここで整理しておきましょう。
| 組織 | 置かれる場所 | 役割 |
|---|---|---|
| 介護給付費等審査委員会 | 国保連 | 介護報酬の請求の審査 |
| 介護認定審査会 | 市町村 | 要介護認定の審査判定 |
| 介護保険審査会 | 都道府県 | 保険給付や保険料の処分等への 審査請求 |
③苦情処理
サービスの苦情処理というと、社会福祉協議会の運営適正化委員会を思い浮かべる人が多いと思いますが、こちらの国保連でも、介護保険に関する苦情を受け付けることができます。
利用者からの苦情を受け付けるのも、この業務の一部です。サービスの内容や事業者の対応について苦情の申立てがあったとき、国保連が調査を行い、事業者に改善を求めることになります。
また、国保連が行うのは指導及び助言までです。指定の取消しや業務停止といった処分を行う権限はありません。処分を行うのは、指定を行った都道府県知事や市町村長です。
→運営適正化委員会とは|社会福祉協議会が行う苦情解決とあっせん
④⑤国保連が行うその他の業務
国保連は、市町村から委託を受けて、第三者の行為によって生じた保険給付についての損害賠償金の徴収又は収納を行うことができます。交通事故などが原因で介護が必要になった場合に、加害者に対して費用を請求する事務です。
もう1点、押さえておきたいのが事業の経営です。国保連は、指定居宅サービス、指定地域密着型サービス、指定居宅介護支援、指定介護予防サービス、指定地域密着型介護予防サービスの各事業と、介護保険施設の運営を行うことができます(実際に運営している例はほとんどないようですが、条文上は認められています)。
過去問を確認しましょう
第33回問題132
次の記述のうち,国民健康保険団体連合会の介護保険制度における役割として,正しいものを 1 つ選びなさい。
1 介護保険の財政の安定化に資する事業に必要な費用を充てるため,財政安定化基金を設ける。
2 介護サービス事業者が利用者に提供したサービスに伴う介護給付費の請求に関し,審査及び保険給付の支払を行う。
3 介護サービスの苦情処理等の業務や事業者・施設への指導・助言のための機関として,運営適正化委員会を設置する。
4 市町村が介護認定審査会を共同設置する場合に,市町村間の調整や助言等の必要な援助を行う。
5 保険給付に関する処分や保険料などの徴収金に関する処分についての審理・裁決を行うための機関として,介護保険審査会を設置する。
解説
正答は2です。
1→× 財政安定化基金を設置するのは都道府県です。
2→○ 介護サービス事業者からの介護給付費の請求について、審査と支払を行います。市町村から委託を受けて行う業務です。
3→× 運営適正化委員会は、社会福祉法に基づいて都道府県社会福祉協議会に置かれます。国保連が設置するものではありません。国保連自身も苦情処理や事業者への指導・助言を行いますが、その担当として運営適正化委員会を置くわけではありません。
4→× 介護認定審査会を共同設置する市町村間の調整や助言を行うのは都道府県です。
5→× 介護保険審査会を設置するのは都道府県です。保険給付に関する処分や保険料等の徴収金に関する処分への不服は、都道府県の介護保険審査会に審査請求します。
第37回問題87
介護保険制度の介護報酬などに関する次の記述のうち,適切なものを 2 つ選びなさい。
1 介護サービス事業者は,自己負担分を除いた介護報酬を国民健康保険団体連合会に請求する。
2 介護報酬の額の基準を厚生労働大臣が定めるときには,あらかじめ介護保険審査会の意見を聴かなければならない。
3 介護サービス事業者からの介護報酬の請求などに関する審査の事務は,社会保険診療報酬支払基金が行う。
4 介護保険施設入所者のうち,低所得者など一定の条件に該当する者を対象として,入所中の食費と居住費の負担軽減を図るための補足給付が設定されている。
5 介護報酬の 1 単位当たりの単価は,介護サービス事業所の所在する地域やサービス種別にかかわらず,全国一律に定められている。
解説
正答は1と4です。
1→○ 事業者は、利用者の自己負担分を除いた額を介護報酬として国保連に請求します。
2→× 介護報酬の額の基準を定めるにあたって厚生労働大臣が意見を聴くのは、社会保障審議会です。介護保険審査会は都道府県に置かれ、処分への不服審査を行う機関です。
3→× 介護報酬の請求に関する審査の事務を行うのは国保連です。社会保険診療報酬支払基金は、医療保険の診療報酬の審査支払を行う団体で、介護報酬には関与しません。
4→○ 特定入所者介護サービス費(補足給付)として、低所得者などを対象に食費と居住費の負担軽減が図られています。
5→× 1単位当たりの単価は、事業所の所在する地域とサービスの種別に応じて定められています。全国一律ではありません。
第36回問題132
事例を読んで,病院のK医療ソーシャルワーカー(社会福祉士)が,この時点でLさんへの支援のために検討すべきこととして,最も適切なものを 1 つ選びなさい。
〔事 例〕
Kは,変形性膝関節症で外来通院中のLさん(82歳,女性,独居,要支援 2 )から相談を受けた。Lさんは屋外の歩行が不自由で杖を使っているが,介護サービス等は利用していない。Lさんは,数年ぶりに趣味の歌舞伎鑑賞に出かけようと思い,介護保険制度のサービス利用について市役所に問い合わせたところ「本市では趣味のための移動支援は実施していない」と説明されたと言う。Lさんは転倒の心配もあり,歌舞伎鑑賞には見守り支援を利用したいと言っている。
1 Lさんの支援を在宅医療・介護連携推進事業の担当者に依頼する。
2 市役所の対応に関して,都道府県国民健康保険団体連合会へ苦情の申し立てを行うよう,Lさんに提案・助言を行う。
3 Lさんの歩行機能の改善を図るため,地域介護予防活動支援事業の利用を勧める。
4 Lさんの疑問や不安に対応してもらえるよう,介護サービス相談員と連携を図る。
5 Lさんの居住地を担当する「生活支援コーディネーター(第 2 層)」に連絡を取り,Lさんが利用できる,制度外の外出時の見守り支援策について相談・調整を図る。
(注)「生活支援コーディネーター(第 2 層)」は,中学校区域を基本とする日常生活圏域で業務に当たる職員である。
解説
正答は5です。
ここでは選択肢2だけを確認します。
2→× 国保連で対応するのは、事業者が提供したサービスの質に関する苦情です。市がどのサービスを実施するかという判断そのものへの不服は、国保連の苦情処理の対象になりません。
正答である選択肢5の生活支援コーディネーターをはじめ、他の選択肢については別の記事で扱います。
正答である選択肢5の生活支援コーディネーター、選択肢4の介護サービス相談員については、別の記事で扱います。
正答である選択肢5の生活支援コーディネーターと、選択肢4の介護サービス相談員は、どちらも介護保険制度の中で地域の生活を支える役割を担っています。名前が似ていて混同しやすいので、それぞれの記事で整理しています。
→生活支援体制整備事業の生活支援コーディネーターとは|介護保険地域支援事業
→介護サービス相談員とは|派遣事業の仕組みと役割を整理


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