権利能力・意思能力・行為能力・事理弁識能力|違いを整理

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権利擁護を支える法制度
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●●能力を大きく分類

他の権利擁護の記事はこちら

民法には権利能力、意思能力、行為能力、事理弁識能力、責任能力等、様々な能力がでてきます。どれも「できるかどうか」を問うているように見えるので、区別がつきにくいように感じている方も多いのではないでしょうか。

これらは大きく二つのグループに分類することができます。

<契約の主体となれるかどうかを問うもの>権利能力、意思能力、行為能力、事理弁識能力
<他人に損害を与えた時に責任を問えるかどうか>責任能力

この記事では、前者の4つを順に見ていきます。

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権利能力

権利能力は、権利や義務の主体になれる資格のことです。自分の名前で財産を持ったり、契約の当事者になったりできる立場、と考えてください。

民法3条1項は「私権の享有は、出生に始まる」と定めています。生まれた瞬間に権利能力を取得し、死亡によって失います。判断能力があるかどうかは関係ありません。

*会社などの法人にも権利能力があります。

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意思能力

意思能力は、自分がしている行為の法的な意味を理解できる能力のことです。この契約をすると自分にどんな結果が生じるのか、それがわかるかどうかです。

民法3条の2は、法律行為の当事者が意思表示をした時に意思能力を有しなかったときは、その法律行為は無効とすると定めています。たとえば、重度の認知症である高齢者が訪問販売で高額な商品の契約をしてしまったという場合、その方がその契約の意味を理解できる状態になかったのであれば、契約は無効です。権利能力はあっても、意思能力がないからです。

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行為能力

行為能力は、単独で確定的に有効な法律行為ができる資格のことです。
意思能力と似ているように見えるかもしれないので、まずは端的に説明しておきます。

意思能力は、「実際にどれだけ理解できたか」
行為能力は、「法律の仕組みとして、その行為を単独でできるとされているかどうか」

実際にどれだけ理解できていたか(意思能力)を後から確かめるのは、簡単ではありません。そのため、あらかじめ「単独では確定的に有効な行為ができない人」を決めておいて、その人がした法律行為は取り消せるようにしてあります。これが制限行為能力者です。

制限行為能力者にあたるのは、未成年者、成年被後見人、被保佐人、被補助人の4つです。ただし、どの範囲の行為が制限されるかは、それぞれについて法律で定められています。

未成年者は、判断能力の程度とは関係なく、年齢だけで行為能力が制限されます。
成年被後見人、被保佐人、被補助人は、家庭裁判所で審判を受けた人が対象です。

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事理弁識能力

事理弁識能力は、成年後見制度で用いられる言葉です。後見、保佐、補助のどれにあたるかを判断するときに使われます。成年後見制度の対象になると、行為能力が制限されることになります。

意思能力が問題になるのは、その行為を行った「時」です。これに対して事理弁識能力は、継続的な状態であるかどうかで判断されます。

その他、責任能力、身分行為における能力、刑法で定められる責任能力などについては、別の記事にまとめてあります。

責任能力(民法712条・713条)|責任無能力者と法定監督義務者責任の関係
婚姻と遺言|成年被後見人と未成年者の身分行為における能力
刑法の心神喪失と心神耗弱の違い|弁識能力と制御能力で判断する

過去問を確認しましょう

第38回問題38

事例を読んで,次のうち,事件当時にAさんに備わっていたか否かが問われる能力として,最も適切なものを 1 つ選びなさい。

〔事 例〕
Aさん(15 歳)は,口論の末,Bさんを殴ってしまい,Bさんにけがを負わせてしまった。Bさんは,Aさんに対し,治療費を請求することを考えている。

1 行為能力 2 事理弁識能力 3 意思能力 4 権利能力 5 責任能力

解説

正答は5です。
1→× 単独で確定的に有効な法律行為ができる資格のことで、契約の主体となれるかどうかを問うものです。
2→× 後見、保佐、補助のどれにあたるかを判断するときに用いられる言葉です。
3→× 自分の行為の法的な意味を理解できる能力のことで、これも契約の主体となれるかどうかを問うものです。
4→× 権利義務の主体になれる資格のことで、出生により取得します。Aさんは当然に持っていますので、備わっていたかどうかが問われることはありません。
5→○ 治療費の請求は、不法行為に基づく損害賠償の請求です。他人に損害を与えた場面で問われるのは、責任能力です。

責任能力(民法712条・713条)|責任無能力者と法定監督義務者責任の関係

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