刑事手続以外の支援
犯罪被害者は刑事手続への各段階で関与が可能です(被害者等通知制度・被害者参加制度・国選被害者参加弁護士制度・意見等聴取制度・心情等伝達制度)。
しかし、これらは刑事手続きに一定程度関与する仕組みを支えるものであり、それ以外の経済的な支援、相談による支援・付添いなどの支援が別途用意されています。
犯罪被害者等基本法の基本的施策では、
第13条に給付金の支給に係る制度の充実等
第11条に相談及び情報の提供等
第22条に民間の団体に対する援助
について定めているため、具体的にどのような制度が用意されているのか以下に確認しましょう。
犯罪被害者等給付金
根拠となるのは、昭和55年に制定された「犯罪被害者等給付金の支給等による犯罪被害者等の支援に関する法律」です。
給付金は3種類です。
①遺族給付金 被害者が亡くなった場合に遺族に支給されます
②重傷病給付金 重傷病を負った場合に、負傷または疾病の療養に要した費用が支給されます
③障害給付金 障害が残った場合に支給されます
申請先は、被害者の住所地または犯罪発生地を管轄する都道府県公安委員会ですが、実際の窓口は警察になります。
ただし、加害者から損害賠償を受けた場合には、その額の限度で給付金は支給されません。二重の填補を避けるためです。
損害賠償は、加害者に対する民事上の請求ですので、裁判所で民事裁判を提起して判決を経てお金の支払いを受けることになります。しかし、加害者が不明である場合や、資力がない場合は結局回収できません。これに対して給付金は、社会の連帯共助の観点から国が支給するものです。加害者が不明でも、加害者に資力がなくても支給されます。
公安委員会は、警察を管理するために置かれる行政委員会です。国に国家公安委員会、各都道府県に都道府県公安委員会が置かれています。警察が政治的に偏った運営をしないよう、警察官ではない委員が外から警察を管理する仕組みです。給付金の裁定を行うのは都道府県公安委員会ですが、申請の受付や相談は都道府県警察が担当します。
相談と付添いの支援
被害者支援員制度
被害者支援員制度により、各地方検察庁に被害者支援員が配置されています。被害者からの相談への対応、法廷への案内・付添い、事件記録の閲覧や証拠品の返還などの手続の手助け、関係機関や団体等の紹介を行います。
被害者ホットライン
各地方検察庁に被害者ホットラインという専用の相談窓口が設けられています。
犯罪被害者相談窓口
都道府県警察に犯罪被害者相談窓口が置かれ、指定された職員が相談に応じます。
被害者支援センター
全国の都道府県に被害者支援センターがあり、電話相談、面接相談、病院や裁判所への付添いなどを行っています。このうち一定の要件を満たすものは、都道府県公安委員会から犯罪被害者等早期援助団体として指定を受けます。指定を受けた団体には、警察から被害者の情報を提供することができ、被害直後からの支援が可能になります。
お住まいの都道府県のセンターは、全国被害者支援ネットワークのサイトで確認できます。一度ご自身の県の窓口を調べてみてください。
→全国の支援センター(全国被害者支援ネットワーク)
基本法第22条が民間の団体に対する援助を定めているのは、これらの活動をサポートするためです。
演習問題(出題実績がないので演習問題を作成しました)
犯罪被害者に対する支援に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。
1 犯罪被害者等給付金は、加害者が特定されている場合に限り支給される。
2 犯罪被害者等給付金の種類は、遺族給付金と障害給付金の2種類である。
3 被害者支援員は、各地方検察庁に配置されている。
4 犯罪被害者等早期援助団体は、厚生労働大臣が指定する。
5 犯罪被害者等給付金の支給に関する事務は、市町村が行う。
解説
正答 3
1 × 加害者が不明の場合でも支給されます。社会の連帯共助の観点から国が支給する制度です。
2 × 遺族給付金、重傷病給付金、障害給付金の3種類です。
3 ○ 被害者支援員制度により、各地方検察庁に配置されています。
4 × 都道府県公安委員会が指定します。
5 × 都道府県公安委員会が行います。
刑事手続への関与を支える制度は、こちらで整理しています。
→被害者参加制度・意見等聴取制度・心情等伝達制度|犯罪被害者支援に関する制度
制度の根拠となっている犯罪被害者等基本法は、こちらで整理しています。


コメント