更生保護に関わる人と組織
更生保護には、国の職員である保護観察官のほかに、保護司や民間の施設、団体、事業主など多くの人と組織が関わっています。試験では「更生保護に関わる人または組織」として、これらがまとめて出題されています(第37回問題61、第38回問題61)。
それぞれがどのような人・組織か、過去問で何が問われたかを表にまとめました。
保護観察官と保護司
保護司について
保護司の委嘱、任期、身分についての記事はこちら
→保護司とは|令和7年保護司法改正 任期・委嘱・定数・身分を整理
→保護司と民生委員の違い|根拠法・委嘱・任期・身分を表で整理
保護観察官について
保護観察官は、保護観察所と地方更生保護委員会の事務局に置かれる常勤の国家公務員です(更生保護法第31条)。医学、心理学、教育学、社会学などの専門的知識に基づいて、保護観察、生活環境の調整、犯罪予防に関する事務に従事します。採用の区分として、法務省専門職員(人間科学)採用試験があります(第31回問題148で出題)。
配置先は繰り返し問われています。誤りの選択肢として出された配置先は、次のとおりです。
・家庭裁判所(第29回問題149)
・地方検察庁(第30回問題148)
・福祉事務所(第31回問題148)
・都道府県庁(第33回問題147)
保護司は、保護観察官で十分でないところを補い、保護観察所長の指揮監督を受けて職務を行います(第29回問題149で出題)。実際の保護観察では、保護観察官と保護司が1人の対象者を協働して担当します。保護観察官が対象者の問題性を見立てて処遇の方針を立て、保護司が日常的に対象者と面接して生活の様子を把握し、助言します。
保護観察所には、社会復帰調整官も配置されています。社会復帰調整官は、医療観察法に基づく精神保健観察や生活環境の調整を担当する職員です。同じ保護観察所にいても、保護観察官とは担当する法律(社会復帰調整官は医療観察法)が違います。第38回問題60では、刑務所に収容されている者の生活環境の調整を社会復帰調整官が担当するという選択肢が誤りとして出されました。
医療観察法と社会復帰調整官についての記事はこちら
→医療観察法をわかりやすく|対象者・審判・社会復帰調整官の役割を整理
民間の協力者と施設
更生保護施設と更生保護法人
更生保護施設は、刑務所を出た者や保護観察を受けている者のうち、帰る場所がない者などに宿泊場所と食事を提供し、生活指導や就労の支援を行う施設です。保護観察所からの委託を受けて保護します。
更生保護施設を運営しているのは、主に更生保護法人です。更生保護法人は、更生保護事業法に基づき、法務大臣の認可を受けて設立されます。
・第30回問題148では「更生保護施設は、地方公共団体が運営しなければならない」が誤りでした。
・第30回問題148では「更生保護施設への委託期間は、更生緊急保護対象者の場合、延長することが可能である」が正しい選択肢でした。
・第37回問題61では「更生保護法人は、厚生労働大臣の許可を受けて設立される」が誤りでした。
更生保護女性会とBBS会
更生保護女性会は、地域の女性のボランティア団体です。犯罪予防の啓発活動や、更生保護施設への支援、子育て支援などを行っています。活動の対象は女性に限られず、犯罪をした男性や非行のある男子少年も含みます。また、更生保護法(2007年制定)より前から活動しており、同法の制定に伴って設立されたものではありません。
BBS会は、非行のある少年などに兄や姉のような立場で接し、立ち直りを支える青年のボランティア団体です。
・第38回問題61では「更生保護女性会の活動は、犯罪をした男性や非行のある男子少年は対象としない」が誤りでした。
・第37回問題61では「更生保護女性会は、更生保護法の制定に伴い設立された」が誤りでした。
・第38回問題61では「BBS会は、青年のボランティア団体である」が正しい選択肢でした。
協力雇用主と就労支援
協力雇用主は、犯罪をした者等の前歴を承知したうえで雇用し、または雇用しようとする事業主です。保護観察所に登録します。登録の時点で実際に雇用している必要はありません。
就労支援は、保護観察所と公共職業安定所(ハローワーク)が連携して行います。職業の紹介を行うのはハローワークで、ハローワークには刑務所出所者等を対象とした就労支援のメニューがあり、個々の対象者に対して求人開拓から就職まで支援します。保護観察所もハローワークも、協力雇用主に対して雇用を命じることはできません。
・第38回問題61では「協力雇用主になるには、現に保護観察対象者を雇用していなければならない」が誤りでした。
・第31回問題149では「協力雇用主には、対象者の身分や前歴等を知らせずに協力してもらっている」が誤り、「公共職業安定所(ハローワーク)には、刑務所出所者等を対象とした就労支援メニューがある」が正しい選択肢でした。
・第35回問題149では「公共職業安定所(ハローワーク)は、個々の保護観察対象者に対し、求人開拓から就職まで総合的な就労支援を行っている」が正しい選択肢でした。ハローワークや保護観察所が協力雇用主に雇用を命じることができる、という選択肢は誤りでした。
更生保護サポートセンター
更生保護サポートセンターは、保護司や保護司会の活動拠点です。全国の保護司会ごとに設置されています。
・第31回問題148では「保護司の活動拠点として、更生保護サポートセンターが設置されている」が正しい選択肢でした。
・第37回問題61では「各都道府県に1か所ずつ更生保護サポートセンターが設置された」が誤りでした。
地域生活定着支援センター
地域生活定着支援センターは、高齢や障害のために自立が難しい者について、刑務所などを出た後すぐに福祉サービスを受けられるよう調整する機関です。厚生労働省の地域生活定着促進事業に基づき、すべての都道府県に設置されています。
・第38回問題61では「地域生活定着支援センターは、地域生活定着促進事業に基づき、すべての都道府県に設置されている」が正しい選択肢でした。
・第31回問題149では「地域生活定着支援センターは、法務省により設置されている」が誤りでした。
特別調整と地域生活定着支援センターについての記事はこちら
→生活環境の調整と特別調整|地域生活定着支援センターの役割を整理
過去問を確認しましょう
第38回問題61
更生保護の活動に関与する個人,団体等に関する次の記述のうち,適切なものを 2 つ選びなさい。
1 保護司は,非常勤の地方公務員である。
2 BBS会は,青年のボランティア団体である。
3 更生保護女性会の活動は,犯罪をした男性や非行のある男子少年は対象としない。
4 協力雇用主になるには,現に保護観察対象者を雇用していなければならない。
5 地域生活定着支援センターは,地域生活定着促進事業に基づき,すべての都道府県に設置されている。
解説
正答は2と5です。
1→× 保護司は非常勤の国家公務員です。法務大臣が委嘱します。
2→○ 記述のとおりです。
3→× 更生保護女性会の活動は、犯罪をした男性や非行のある男子少年も対象とします。
4→× 協力雇用主は、犯罪をした者等を雇用し、または雇用しようとする事業主です。現に雇用している必要はありません。
5→○ 記述のとおりです。
第37回問題61
更生保護に関わる人または組織に関する次の記述のうち,正しいものを 2 つ選びなさい。
1 地方更生保護委員会の事務局及び保護観察所に保護観察官を置くこととされている。
2 保護司が備える条件の一つとして「人格及び行動について,社会的信望を有すること」がある。
3 保護司活動の拠点として,各都道府県に 1 か所ずつ更生保護サポートセンターが設置された。
4 更生保護法人は,厚生労働大臣の許可を受けて設立される。
5 更生保護女性会は,更生保護法の制定に伴い設立された。
解説
正答は1と2です。
1→○ 記述のとおりです(更生保護法第31条)。
2→○ 保護司法第3条が定める条件の1つです。
3→× 更生保護サポートセンターは、全国の保護司会ごとに設置されています。
4→× 更生保護法人は、法務大臣の認可を受けて設立されます。
5→× 更生保護女性会は、更生保護法の制定より前から活動しています。
一問一答で確認したい方はこちら
→刑事司法と福祉の一問一答(30問)|保護観察・保護司・仮釈放
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