保護観察の対象者
ここでは、
①保護観察の種類、保護観察に付されるかどうかを決める者
②保護観察の期間
③良好措置と不良措置を決定する者の順に確認します。
それぞれ、シンプルに理解できるようにできるだけ「文字」をだらだら書かず、表にまとめました。
保護観察は、犯罪をした者や非行のある少年を社会の中で生活させながら、保護観察官と保護司が指導と支援を行うものです。刑務所や少年院の中で行う施設内処遇に対して、社会内処遇と呼ばれます。
保護観察の対象者は、更生保護法第48条が定める次の4種類です。条文の号の番号をとって「1号観察」「2号観察」のように呼ばれます。保護観察に付されるプロセスは、対象者の種類によって異なります。
ポイント
保護観察に付すかどうかを判断するのは、1号観察(家庭裁判所)と4号観察(裁判所)だけです。2号観察と3号観察は、仮退院・仮釈放が許されれば必ず付されます。
*以前は婦人補導院仮退院者を含めて5種類でしたが、婦人補導院は2024年(令和6年)4月に廃止されました。
保護観察の期間と良好措置・不良措置の有無
保護観察の期間と、良好措置・不良措置の有無は、次のとおりです。
表の期間は、良好措置も不良措置もとられなかった場合の期間です。仮釈放者には良好措置がないため、仮釈放が取り消されない限り、刑期が満了するまで保護観察が続きます。
ポイント
良好措置と不良措置は、どの種類にもあるわけではありません。3号観察には不良措置はありますが、良好措置がないので気を付けましょう!
良好措置・不良措置を決定する者
良好措置と不良措置を決定する者は、次のとおりです。
ポイント
良好措置を決めるのは1号から4号まで「保護観察所長」「地方委員会」「制度上なし」「地方委員会」
不良措置を決めるのは1号から4号まで「家裁」「家裁」「地方委員会」「裁判所」
過去問を確認しましょう
第35回問題147
保護観察に関する次の記述のうち,正しいものを 1 つ選びなさい。
1 保護観察処分少年の保護観察の期間は,少年の希望を反映して決定される。
2 保護観察所の長は,保護観察処分少年について,保護観察を継続する必要がなくなったと認めるときは,保護観察を解除する。
3 保護観察所の長は,少年院仮退院者について,少年院に戻して収容する旨の決定をすることができる。
4 仮釈放を許された者は,仮釈放の期間満了後,保護観察に付される。
5 懲役刑の全部の執行を猶予された者は,被害者の請求により保護観察に付される。
解説
正答は2です。
1→× 保護観察処分少年の期間は原則20歳までで、少年の希望で決まるものではありません。
2→○ 解除は保護観察所長が決定する良好措置です。
3→× 少年院に戻して収容する決定(戻し収容)は、地方更生保護委員会の申請により家庭裁判所が行います。
4→× 仮釈放を許された者は、仮釈放の期間中に保護観察に付されます。
5→× 保護観察に付すかどうかは、裁判所が判決で執行猶予とあわせて言い渡します。
第32回問題147
保護観察に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。
1 保護観察は、保護観察対象者の居住地を管轄する保護観察所が行う。
2 保護観察の対象者は、自らの改善更生に必要な特別遵守事項を自分で定める。
3 保護観察処分少年の保護観察期間は、保護処分決定の日から、原則として18歳に達するまでの期間である。
4 保護観察の良好措置として、仮釈放者には仮解除の措置がある。
5 保護観察の不良措置として、少年院仮退院者には退院の措置がある。
解説
正答は1です。
1→○ 記述のとおりです。
2→× 特別遵守事項は、対象者が自分で定めるものではありません。保護観察所長や地方更生保護委員会が定めます。
3→× 保護観察処分少年の期間は、原則として20歳に達するまでです。
4→× 仮釈放者には良好措置がありません。仮解除があるのは保護観察付執行猶予者です。
5→× 少年院仮退院者の退院は良好措置です。不良措置は戻し収容です。
第31回問題147
保護観察制度に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。
1 保護観察では、施設収容を伴う処遇は行われない。
2 仮釈放を許された者には、保護観察が付される。
3 刑の一部の執行猶予を言い渡された者には、保護観察が付されることはない。
4 保護観察所は、都道府県によって設置される。
5 保護観察は、少年を対象としない。
解説
正答は2です。
1→× 保護観察は社会内処遇ですが、不良措置として少年院等への送致や戻し収容など、施設への収容に結びつく措置があります。
2→○ 仮釈放を許された者には、必ず保護観察が付されます。
3→× 刑の一部の執行猶予でも、保護観察が付されることがあります。
4→× 保護観察所は法務省の機関です。
5→× 保護観察処分少年(1号観察)と少年院仮退院者(2号観察)は少年が対象です。
第37回問題60
事例を読んで,刑の全部執行猶予中の保護観察に関する次の記述のうち,最も適切なものを 1 つ選びなさい。
〔事 例〕
Aさん(30 歳)は,覚醒剤の自己使用により検挙され,懲役 1 年執行猶予 3 年保護観察付の判決が確定し,保護観察中である。Aさんには「薬物再乱用防止プログラムを受けること」という特別遵守事項が設定されている。また,Aさんには担当保護司が指名されている。
1 Aさんは,一般遵守事項に違反しても,執行猶予が取り消されることはない。
2 Aさんは,簡易薬物検出検査を受けなければならない。
3 Aさんに対する不良措置として,保護観察の期間の延長がある。
4 Aさんの担当保護司は,Aさんの補導援護はできるが指導監督はできない。
5 Aさんが特別遵守事項に違反した場合には,保護観察所長が執行猶予を取り消す。
解説
正答は2です。
1→× 一般遵守事項に違反した場合も、その情状が重いときは執行猶予が取り消されることがあります。
2→○ 薬物再乱用防止プログラムを受けることが特別遵守事項とされた者は、プログラムの中で簡易薬物検出検査を受けます。
3→× 保護観察の期間の延長という不良措置はありません。保護観察付執行猶予者の不良措置は、執行猶予の取消しです。
4→× 保護司は、保護観察官とともに指導監督と補導援護の両方を行います。
5→× 執行猶予を取り消すのは裁判所です。保護観察所長の申出を受けて検察官が請求します。
一問一答で確認したい方はこちら
→刑事司法と福祉の一問一答(30問)|保護観察・保護司・仮釈放
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