医学概論は6問、出題基準は5つの大項目
医学概論は、第37回試験から適用されている新カリキュラムの共通科目です。第36回までは「人体の構造と機能及び疾病」という科目名で各回7問が出題されていましたが、第37回以降は「医学概論」として各回6問になりました。
社会福祉振興・試験センターが公表している出題基準では、医学概論は次の5つの大項目に分かれています。
1 ライフステージにおける心身の変化と健康課題
2 健康及び疾病の捉え方
3 身体構造と心身機能
4 疾病と障害の成り立ち及び回復過程
5 公衆衛生
大項目別に出題数からみえる明らかな傾向
この記事では、第28回から第38回までの11回・75問を、現行の出題基準の大項目に1問ずつ割り当てて集計しました。複数の項目にまたがる問題は、正答の論点にあたる項目を1つだけ選んでいます。
| 大項目 | 出題数 | 割合 |
|---|---|---|
| 1 ライフステージにおける心身の変化と健康課題 | 11問 | 14.7% |
| 2 健康及び疾病の捉え方 | 7問 | 9.3% |
| 3 身体構造と心身機能 | 9問 | 12.0% |
| 4 疾病と障害の成り立ち及び回復過程 | 42問 | 56.0% |
| 5 公衆衛生 | 6問 | 8.0% |
75問のうち42問が大項目4(疾病と障害の成り立ち及び回復過程)に入ります。しかも11回すべてで3問以上が出題されており、第34回と第36回は7問中5問がこの項目でした。医学概論の学習は、まず大項目4から手をつけるのが合理的です。
大項目4「疾病と障害の成り立ち及び回復過程」は8つのテーマに分かれます
最も出題されている大項目4のテーマは、次の8つです。
| テーマ | 出題数 |
|---|---|
| 精神疾患(DSM-5・発達障害・入院形態) | 11問 |
| 障害の概要(各種障害・認知症・難病) | 7問 |
| 高齢者に多い疾患(廃用症候群・脱水・薬物有害事象) | 6問 |
| 個別臓器の疾患(神経・脳血管・心・骨関節・目耳・肺) | 6問 |
| リハビリテーションの概要と範囲 | 4問 |
| 感染症 | 3問 |
| がん | 3問 |
| 生活習慣病(高血圧を含む) | 2問 |
個別臓器の疾患は神経・脳血管・心・骨関節・目耳・肺が各1問ずつで、11回を通して同じ臓器が繰り返されてはいません。臓器を1つずつ深追いするよりも、上位4テーマを固めるほうが得点に結びつきます。
精神疾患は11問で最も多く出題されています
大項目4(疾病と障害の成り立ち及び回復過程)の中で最多が精神疾患の11問です。第28回から第36回までは、DSM-5の診断分類そのものを問う形式が続いていました。
第30回問題6は統合失調症、
第31回問題7は神経性やせ症、
第34回問題6は物質関連障害及び嗜癖性障害群
といった出題です。
第33回以降は発達障害を扱う出題が増えており、
第33回問題6が自閉スペクトラム症、
第35回問題7が注意欠如・多動症(ADHD)、
第36回問題5・6が自閉スペクトラム症と神経発達症群でした。
新カリキュラムに変わった第37回は形式が変わり、
問題6でうつ病の入院形態を問う事例問題が出ています。精神保健福祉法の入院形態は障害者福祉の科目でも出題される内容ですから、医学概論の側からも押さえておくといいですね。
ICFは旧科目で6回出題され、新科目では出ていません
大項目2(健康及び疾病の捉え方)の中心はICF(国際生活機能分類)です。第28・31・32・34・35・36回の6回で出題されており、うち第32・34・36回は事例で当てはまる構成要素を選ばせる形式でした。
一方、第37回・第38回ではICFの出題がありません。ただし出題基準の大項目2(健康及び疾病の捉え方)には中項目として明記されていますので、出題範囲から外れたわけではありません。事例からICFの構成要素を判断する形式は、練習しておくとよいと思います。
ライフステージと身体構造は各回1問のペースです
大項目1(ライフステージにおける心身の変化と健康課題)は11回中10回、大項目3(身体構造と心身機能)は11回中8回で出題されており、どちらも1回あたり1問という安定した枠になっています。
大項目1で問われているのは、
乳幼児期の標準的な発達(第28・29・30・38回)、
思春期・青年期(第31・35・37回)、
加齢に伴う生理機能の変化(第29・33・34回)です。
第36回問題1のスキャモンの発育曲線のように、図表と結びついた出題もあります。
大項目3は臓器の正常な構造と機能を問う内容が中心で、心臓(第29・33回)、消化器(第30・32回)、神経系と感覚器(第31回)、筋骨格系(第37回)、ホルモン(第38回)と、回ごとに扱う系統が入れ替わります。第32回問題1のように複数の系統をまとめて問う出題や、第28回問題2のように部位と病態を結びつける出題もあります。
公衆衛生は6問と少なく、うち3問が予防の区分です
大項目5(公衆衛生)は75問中6問で最も少ない項目ですが、第31・35・38回の3問が一次予防・二次予防・三次予防の区別を問う内容でした。残る3問は健康日本21や特定健診などの健康施策(第28・33回)と、アルマ・アタ宣言とプライマリヘルスケア(第32回)です。
覚える量に対して出題の当たり方が安定している項目ですので、予防の3区分だけは先に固めておくとよいと思います。
新カリキュラム2回分で臨床寄りの事例が増えました
第37回・第38回の12問の内訳は次のとおりです。
大項目1(ライフステージにおける心身の変化と健康課題) 各1問
大項目3(身体構造と心身機能) 各1問
大項目4(疾病と障害の成り立ち及び回復過程) 合計7問
大項目5(公衆衛生) 合計1問
この2回でICFと生活習慣病の出題はありませんでした。
代わりに登場したのが、第37回問題2の高齢者の薬物有害事象、第38回問題2の緩和ケア、第38回問題4のリハビリテーション専門職の選択、第38回問題6の心室細動とAEDです。いずれも事例形式で、支援場面での判断を問う作りになっています。
事例形式の問題は第32回以降ほぼ毎回(第32・34・35・36・37・38回)出ており、75問中8問を占めます。知識を単独で覚えるだけでなく、事例に当てはめる練習が必要です。
問題文と選択肢に多く登場した語を確認します
75問の問題文と選択肢の全文から語句を集計した結果が次のとおりです。「延べ」は総出現回数、「問数」は75問中で登場した問題数、「出題回」は11回中で登場した試験回数です。
| 語句 | 延べ | 問数 | 出題回 |
|---|---|---|---|
| 障害 | 62 | 21 | 11 |
| 骨・関節(骨折・骨粗鬆症) | 31 | 9 | 7 |
| 予防(一次・二次・三次) | 26 | 10 | 8 |
| 消化器(胃・腸・肝・膵) | 25 | 9 | 7 |
| 健康(健康日本21・健康寿命) | 22 | 7 | 6 |
| がん(悪性新生物) | 21 | 7 | 5 |
| 脳(脳梗塞・脳出血・脳幹) | 20 | 13 | 8 |
| 精神疾患(統合失調症・うつ・躁) | 20 | 11 | 10 |
| リハビリテーション | 20 | 10 | 6 |
| 血圧 | 19 | 7 | 7 |
難病は延べ13回登場していますが、第33回と第37回の2問に集中しています。延べ回数が多くても出題回数が少ない語がありますので、3つの数字を合わせて見てください。
第39回に向けた学習の順番を整理します
ここまでの集計をふまえると、限られた時間で取り組む順番は次のようになります。
1 精神疾患(DSM-5の診断分類、発達障害、精神保健福祉法の入院形態)
2 障害の概要(内部障害、高次脳機能障害、認知症の4類型、難病と指定難病)
3 高齢者に多い疾患(廃用症候群、脱水、薬物有害事象)とリハビリテーションの対象・時期・職種
4 一次予防・二次予防・三次予防の区分
5 ライフステージ別の発達と加齢変化、主要な臓器の正常な構造と機能
6 ICF(事例から構成要素を判断する形式)
1から3までが大項目4(疾病と障害の成り立ち及び回復過程)の上位4テーマにあたり、ここだけで75問中28問を占めます。4と5は各回1問前後で安定しており、覚える範囲も限られています。6は新カリキュラムでの出題実績こそありませんが、出題基準に残っている以上、直前期に一度整理しておくと安心です。
なお、この分類は1問につき主たる項目を1つだけ割り当てたものです。実際の試験では複数の項目にまたがる選択肢も出ますので、学習の目安としてご利用ください。


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