医療保護入院と措置入院の違い|精神保健福祉法5つの入院形態の覚え方を表で整理

障害者福祉
スポンサーリンク

5つの入院形態を覚えるポイント

精神保健福祉法には、任意入院、医療保護入院、措置入院、緊急措置入院、応急入院の5つの入院形態が規定されています。共通科目の「障害者福祉」だけでなく、精神保健福祉士の専門科目でも問われる、両資格の受験生にとって重要なテーマです。

5つの形態は、「本人の同意はあるか」「誰の同意・権限で入院させるのか」「精神保健指定医の診察は何名必要か」「時間や期間の制限はあるか」という軸で整理すると、まとめて覚えられます。

スポンサーリンク

5つの入院形態の全体像

入院形態本人の同意同意者・権限指定医の診察期間の制限
任意入院あり本人入院時は不要なし(退院制限は指定医の診察により72時間まで)
医療保護入院なし家族等のいずれかの同意(家族等がいない場合等は市町村長)1名6か月経過までは3か月以内、その後は6か月以内(更新制)
応急入院なし家族等の同意を得ることができない場合(急速を要するとき)1名指定医の診察により72時間以内
措置入院なし都道府県知事の権限2名の一致なし
緊急措置入院なし都道府県知事の権限1名72時間以内

*この表は、精神保健指定医の診察による場合を示しています。指定医の診察を受けることができず特定医師が診察した場合は、時間の上限が12時間になります(措置入院・緊急措置入院に特定医師は関与できません)。詳しくは精神保健指定医と特定医師の違い|72時間と12時間で覚えるをご覧ください。

スポンサーリンク

任意入院|本人の同意による入院

任意入院は、本人の同意に基づく入院です。精神科病院の管理者は、入院にあたって本人の同意に基づく入院が行われるよう努めなければならないとされており、任意入院が原則の形態です。入院時に精神保健指定医の診察は必要ありません。

任意入院者から退院の申出があった場合、管理者は退院させなければなりません。ただし、精神保健指定医の診察の結果、入院を継続する必要があると認められたときは、72時間に限り退院を制限することができます。第35回問題62では、この72時間を「24時間」に変えた選択肢が出題されています。

スポンサーリンク

医療保護入院|家族等の同意による入院

医療保護入院は、精神保健指定医1名の診察の結果、医療及び保護のため入院が必要と判定されたものの、本人の同意が得られない場合に、家族等のうちいずれかの者の同意により行う入院です。家族等とは、配偶者、親権者、扶養義務者、後見人又は保佐人を指します。

本人に家族等がいない場合や、家族等の全員が同意・不同意の意思表示を行わない場合は、市町村長の同意により入院させることができます。第35回問題62では、市町村長を「検察官」に変えた選択肢が出題されています。

令和6年4月施行の改正で、医療保護入院の入院期間が法定化されました。入院期間は、入院から6か月を経過するまでは3か月以内、6か月を経過した後は6か月以内で定め、指定医の診察、医療保護入院者退院支援委員会での審議、家族等(家族等がいない場合等は市町村長)の同意という要件を満たした場合に更新できる仕組みです。

スポンサーリンク

応急入院|家族等の同意を得ることができない場合の入院

医療保護入院とセットで覚えたいのが応急入院です。急速を要し、家族等の同意を得ることができない場合に、本人の同意がなくても、72時間以内に限って行う入院です。家族等の同意があれば医療保護入院、家族等の同意を得ることができなければ応急入院、という対比で整理しましょう。

緊急の場面ではありますが、精神保健指定医1名の診察は必要です。第35回問題62では「指定医の診察がなくても入院させることができる」という選択肢が×になっています。また、応急入院を行えるのは、応急入院指定病院に限られます。

措置入院・緊急措置入院|知事の権限による入院

措置入院は、入院させなければ自傷他害のおそれがある場合に、都道府県知事の権限で行う入院です。精神保健指定医2名の診察の結果が一致することが要件です。

警察官には、自傷他害のおそれがあると認められる者を発見したときの通報の役割がありますが、入院させる権限はありません。第35回問題62では「警察署長の権限に基づき入院させることができる」という選択肢が×になっています。通報するのは警察官、入院を決めるのは都道府県知事、と役割を分けて覚えましょう。

緊急措置入院は、自傷他害のおそれがあり、急速を要するため措置入院の手続(指定医2名の診察)をとることができない場合に、指定医1名の診察により、72時間以内に限って行う入院です。

令和6年施行の改正ポイント

令和4年の精神保健福祉法改正(令和6年4月施行)では、医療保護入院を中心に見直しが行われました。第39回試験に向けて押さえておきたいのは次の点です。

①医療保護入院の入院期間が法定化され、更新制になりました(前述のとおり、6か月経過までは3か月以内、その後は6か月以内)。あわせて、医療保護入院の定期病状報告は廃止され、入院期間の更新届に一本化されています。

②市町村長同意の範囲が広がりました。従来の「家族等がいない場合」に加えて、「家族等の全員が同意・不同意の意思表示を行わない場合」も市町村長の同意による入院が可能になっています。

③外部との面会交流の機会が少ない入院者を訪問して話を聴く入院者訪問支援事業が都道府県等の事業として創設されました。

過去問で確認!

第35回 問題62

「精神保健福祉法」に規定されている入院に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。

1 任意入院では、入院者から退院の申出があった場合、精神保健指定医の診察により、24時間以内に限り退院を制限することができる。
2 応急入院では、精神科病院の管理者は、精神保健指定医の診察がなくても、72時間以内に限り入院させることができる。
3 医療保護入院では、精神保健指定医の診察の結果、必要と認められれば、本人の同意がなくても、家族等のうちいずれかの者の同意に基づき入院させることができる。
4 医療保護入院では、精神保健指定医の診察の結果、必要と認められれば、本人の同意がなくても、本人に家族等がいない場合は検察官の同意により入院させることができる。
5 措置入院では、本人に自傷他害のおそれがあると認めた場合、警察署長の権限に基づき入院させることができる。

(注)「精神保健福祉法」とは、「精神保健及び精神障害者福祉に関する法律」のことである。

まとめて解説

1 →× 退院を制限できるのは24時間ではなく、72時間以内です。
2 →× 応急入院でも、精神保健指定医1名の診察は必要です。
3 →〇 医療保護入院の説明のとおりです。
4 →× 本人に家族等がいない場合に同意を行うのは、検察官ではなく市町村長です。
5 →× 措置入院は都道府県知事の権限で行う入院です。警察官には通報の役割がありますが、入院させる権限はありません。

第37回 問題54

事例を読んで、Aさんの状況にあてはまる、「精神保健福祉法」に基づく入院形態として、最も適切なものを1つ選びなさい。

〔事例〕統合失調症のAさん(40歳)は、この1週間で絶え間ない幻聴と、常に誰かに監視されているという妄想がひどくなってきた。さらに盗聴器を探して家具を壊すなどの行為が始まったため、同居する母親に付き添われ、かかりつけのB精神科病院を受診した。精神保健指定医であるC医師は診察の結果、入院治療を要すると判断し、Aさんにその旨を説明したが、Aさんはおびえた様子で意味不明な独語を繰り返すのみで、応答は得られなかった。C医師はAさんが入院治療の必要性について納得できるよう丁寧に説明を重ねたが、やはり入院についての同意を得ることはできず、また、症状の緩和も見られなかったため、やむを得ず母親の同意によって即日入院してもらうことになった。

1 措置入院
2 緊急措置入院
3 医療保護入院
4 任意入院
5 応急入院

(注)「精神保健福祉法」とは、「精神保健及び精神障害者福祉に関する法律」のことである。

まとめて解説

1 →× 措置入院は、自傷他害のおそれがある場合に、指定医2名の一致した診察結果に基づき都道府県知事の権限で行う入院です。事例に自傷他害のおそれは示されていません。
2 →× 緊急措置入院も、自傷他害のおそれを前提とする入院形態です。
3 →〇 本人の同意が得られず、指定医の診察の結果、入院が必要と判断され、家族等である母親の同意によって入院しています。医療保護入院の要件そのものです。
4 →× 任意入院は本人の同意に基づく入院です。Aさんの同意は得られていません。
5 →× 応急入院は、急速を要し、家族等の同意を得ることができない場合の入院形態です。母親の同意が得られているため、該当しません。

障害者に関する法律の全体像は、こちらで整理しています。

障害者に関する法律は階層になっている|基本法→個別法→総合支援法→雇用促進法の関係を整理する

コメント

タイトルとURLをコピーしました