障害者雇用促進法では、事業主に差別の禁止と合理的配慮の提供を義務づけています。ここでは、合理的配慮の内容を整理します。
合理的配慮の提供義務の前提として「差別禁止の規定」があります。例えば、障害を理由に採用を拒否したり、賃金や昇進で不利に扱ったりすることは禁止されており、そのうえで、さらに働くための障壁を取り除く配慮まで求めているのが、この法律の特徴です。
障害者の権利に関する条約
合理的配慮という考え方は、障害者権利条約に由来します。条約では、必要な配慮をしないこと自体が差別にあたるとされています。日本はこの条約を批准するために国内法を整備し、その一環として障害者雇用促進法にも合理的配慮の提供義務が盛り込まれました。条約の内容は、外務省が公開しているパンフレットで分かりやすく解説されています。
障害者の権利条約に関する歴史の問題も出題されています。こちらもご覧ください。

合理的配慮とは
合理的配慮とは、障害者が働くうえで支障となっている事情を取り除くために、事業主が行う個別の配慮のことです。障害の種類や職場の状況に応じて、必要な配慮の内容は一人ひとり異なります。
こちらのパンフレットが参考になります。ご確認ください。上記の「差別の禁止」についてもパンフレット内にも記載されています。


提供義務の範囲
事業主は、募集・採用の場面と、採用後の場面のそれぞれで、合理的配慮を提供する義務を負います。事業主には、公的機関も民間企業も同様の規定が適用されるため、特に差異は設けられていません。
ただし、条文では、事業主は労働者の募集及び採用について、また、均等な待遇の確保等について、必要な措置を講じなければならないとしつつ、事業主に対して過重な負担を及ぼすこととなるときは、この限りでないと記載されています。以下の条文でご確認ください。
第三十六条の二 事業主は、労働者の募集及び採用について、障害者と障害者でない者との均等な機会の確保の支障となつている事情を改善するため、労働者の募集及び採用に当たり障害者からの申出により当該障害者の障害の特性に配慮した必要な措置を講じなければならない。ただし、事業主に対して過重な負担を及ぼすこととなるときは、この限りでない。
第三十六条の三 事業主は、障害者である労働者について、障害者でない労働者との均等な待遇の確保又は障害者である労働者の有する能力の有効な発揮の支障となつている事情を改善するため、その雇用する障害者である労働者の障害の特性に配慮した職務の円滑な遂行に必要な施設の整備、援助を行う者の配置その他の必要な措置を講じなければならない。ただし、事業主に対して過重な負担を及ぼすこととなるときは、この限りでない。
障害者差別解消法との関係
合理的配慮の提供義務は、障害者差別解消法にも規定されています。雇用の場面については障害者雇用促進法が優先して適用され、それ以外の生活場面(サービス提供や施設利用など)については障害者差別解消法が適用されます。
現在はどちらの法律において、障害者の差別は絶対的に禁止され、合理的配慮の提供についても行政機関、民間企業とも義務付けられています。
過去問で確認しましょう
第37回 問題56(太文字が合理的配慮の問題)
「障害者雇用促進法」に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
1 就労継続支援A型事業は、この法律に基づき就労支援サービスを提供するものである。
2 公共職業安定所(ハローワーク)は、就労を希望した障害者の就職後の助言、指導は行わない。
3 事業主は、障害者である労働者を雇用する事業所において障害者職業生活相談員を外部委託することができる。 4 雇用義務の対象となる障害者であるかどうかの確認は、精神障害者については、精神障害者保健福祉手帳により行う。
5 事業主は、障害者と障害者でない者との機会均等を図るために、過重な負担となるときであっても、合理的配慮を講じなければならない。
1×就Aは障害者総合支援法の訓練等給付です
2×
3×5人以上障害者を雇用する場合は、労働者の中から選任しなければならない
4〇
5×合理的配慮の提供義務は、過重な負担となる場合は対象外とされています。
雇用促進法全体の記事はこちらをご覧ください

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