標本調査で生じる誤差
母集団のすべてを調べる全数調査が難しい場合には、母集団から標本を選んで調べることになります。ただし、一部しか調べていませんので、その結果は母集団全体を調べた場合と完全には一致しません。調査では、次のような誤差が生じます。
標本誤差
母集団の一部しか調べないという特性から、どんなに適切に標本を選んでも、その結果を母集団全体を調査した結果と比較すると、同じ結果を導き出すことはできません。このずれを標本誤差(選ぶ標本からうまれる誤差)といいます。標本を無作為に抽出していても生じてしまいますし、選ぶ標本が母集団に対して少なければ少ないほど、誤差が大きくなります。
非標本誤差
標本を選んだこと以外の原因で生じるずれを非標本誤差といいます。回答者が質問の意味を取り違えたり、回答を忘れたり、記入を漏らしたりすることがありますし、調査者が入力や集計を間違えることもあります。用いた尺度が適切でないために測定上の誤差が生じることもあります。これらは標本の選び方とは関係がありませんので、母集団のすべてを調べる全数調査でも生じます。
測定誤差
非標本誤差のうち、回答者の勘違いや、事実と違う回答など、測定の段階で生じるものを測定誤差と表現することがあります。
標準誤差
標本誤差の大きさを示す指標が標準誤差です。標本を選んで調べたときに、どのくらいの誤差が起こりうるのかを計算する式があり、それによって算出することができます。標本誤差がどのくらい発生しうるのかを客観的にとらえるための指標ですので、統計学的に明らかにできるデータです。回答者の誤答や記入漏れといった人為的なミスではなく、統計学的に標本を選ぶことから発生するものです。
過去問を解いてみましょう
第30回 問題86
全数調査と標本調査に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。
1 標本調査の場合、測定誤差は生じない。
2 無作為抽出による標本調査の場合、母集団の性質について統計的に推測できる。
3 標本調査の場合、標本誤差は生じない。
4 全数調査の場合、測定誤差は生じない。
5 全数調査の場合、母集団から一部を取り出し、取り出した全員を対象に調査する。
解説
正答は2です。
1 × 測定誤差は非標本誤差の一つで、標本の選び方とは関係なく生じます。
2 ○ 無作為抽出では母集団の全員が同じ確率で選ばれますので、選んだ標本から母集団の性質を統計的に推測できます。
3 × 母集団の一部しか調べていませんので、標本誤差は生じます。
4 × 測定誤差は、回答者の勘違いや調査者の記録の誤りなどで生じますので、全数調査でも生じます。
5 × 母集団から一部を取り出して調べるのは標本調査です。全数調査は母集団に含まれるすべてを対象とします。
第35回 問題86
標本調査に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
1 標本調査では、非標本誤差は生じない。
2 標本抽出には、性別や年齢といった母集団の特性を基準にする抽出法がある。
3 標準誤差は、質問の意味の取り違え、回答忘れなど、回答者に起因する。
4 系統抽出法では、抽出台帳に規則性がない場合、標本に偏りが生じる。
5 確率抽出法では、標本誤差は生じない。
解説
正答は2です。
1 × 回答者の誤答や記入漏れ、調査者の入力や集計のミスなどによって、標本調査でも非標本誤差は生じます。
2 ○ 性別や年齢の比率にそって母集団をグループに分け、比率に応じた人数を選ぶ層化抽出法があります。
3 × 質問の意味の取り違えや回答忘れは非標本誤差の原因です。標準誤差は標本誤差の大きさを示す指標です。
4 × 系統抽出法で標本に偏りが生じるのは、抽出台帳に規則性がある場合です。
5 × 確率抽出法であっても、母集団の一部しか調べていませんので標本誤差は生じます。
標本抽出についての記事はこちら
→ 標本抽出とは|無作為抽出と有意抽出、系統抽出・層化抽出・多段抽出の違い
社会福祉調査の基礎の記事マップはこちら
→ 社会福祉調査の基礎 記事マップ

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