最近よくみる「社会福祉連携推進法人」と「労働者協同組合」
社会福祉士・精神保健福祉士の国家試験で最近よくみる「法人」ありますよね。定番の社会福祉法人やNPO法人とも違う「社会福祉連携推進法人」と「労働者協同組合」です。
どちらも比較的新しい制度で、「地域のために」「連携・協働のために」作られた法人、という共通点はあるものの、中身は全く別物です。それぞれ簡単に整理しておきます。
出題されそうな科目も複数あります。
社会福祉連携推進法人とは
令和2年6月に公布された「地域共生社会の実現のための社会福祉法等の一部を改正する法律」に基づき、令和4年4月から施行された、比較的新しい法人制度です。
社会福祉法人等が社員となって、福祉サービス事業者間の連携・協働を図るための取組を行う法人、というのが基本の姿です。単独の社会福祉法人ではなく、複数の法人が手を組むための仕組み、とイメージするとわかりやすいと思います。
目的としては、福祉・介護人材の確保、法人の経営基盤の強化、地域共生の取組の推進などが挙げられています。人口減少や高齢化が進むなかで、「人材育成も」「人材確保も」「経営も」それぞれ別々でするより(単体の社会福祉法人だけで頑張るより)、複数の法人が連携した方が経営基盤も人材確保もうまくいく、という発想です。つまり、「規模」を活かした効率化や、地域課題への共同対応ですね。
厚生労働省のガイドラインや実際の認定事例に基づくと、具体的には以下のような業務を共同で実施しています。
1. 人材の確保・育成(最も多く活用されている分野)
- 共同研修・採用: 新任職員研修や中堅職員向けの研修を合同で開催し、1法人あたりのコストを削減します。合同就職説明会なども共同で企画・運営します。
- 人事交流・キャリアパス: 連携法人内で職員の人事異動や出向を行い、多様な種別(高齢・障害・児童など)の経験を積ませることで、キャリアアップや離職防止につなげます。
2. 物資の共同購買・業務の効率化
- 給食・備品の共同調達: 食材料や福祉用具、事務用品などをまとめて一括発注し、仕入れ価格を抑えます。
- バックオフィス業務の集約: 経理、給与計算、システム管理、施設の保守点検などの事務部門を共通化し、各法人の事務負担を軽減します。
3. 地域における福祉サービスの継続・基盤強化
- 災害時相互支援: 災害が発生した際、職員の相互派遣や備蓄物資の融通、利用者の受け入れ体制をあらかじめ構築しておきます。
- 事業承継・経営支援: 後継者不足に悩む小規模な法人の経営を、連携法人全体でサポート・補完し、地域から福祉サービスが消えるのを防ぎます。
4. 地域貢献活動・相談支援の共同化
- 「我が事・丸ごと」の地域づくり: 単一の法人では対応が難しい複合的な課題(例:ひきこもり、困窮世帯、ゴミ屋敷問題など)に対し、高齢・障害・児童の枠を超えて共同で相談窓口を設置したり、居場所づくりを行ったりします。
設立の流れとしては、まず一般社団法人を設立し、そのうえで所轄庁から社会福祉連携推進の認定を受ける、という2段階の手続きになります。
ちなみにこの制度、平成29年に施行された地域医療連携推進法人制度(医療機関同士の連携版)に倣って作られた、いわば「福祉版」にあたる制度です。医療の方で先に同じような発想の制度があったのですね。
労働者協同組合とは
こちらは令和4年10月に施行された、労働者協同組合法に基づく法人制度です。
一番の特徴は、組合員自身が出資し、経営に参加し、そして自ら現場で働くという三位一体の組織であること。NPO法人のように出資者・経営者・労働者が分かれているのではなく、同じ人が全部兼ねます。
①組合員出資すること
②組合員の意見が適切に反映されること
③組合員が事業に従事すること
この3つの基本原理に従い、地域社会に資する事業を行うことが目的です。

法人数も増えています

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設立は登記だけでよく(準則主義)、NPO法人のような行政庁の認証は不要です。発起人も3人以上いれば設立できるので、比較的スピーディーに立ち上げられます。
(先ほどの社会福祉連携法人もまずは一般社団を立ち上げるという点では準則主義です)
介護・福祉関連(訪問介護等)、子育て関連(学童保育等)、地域づくり関連など、地域の多様なニーズに応じた事業を行える点も特徴です。
整理しましょう!
社会福祉連携推進法人は、既にある社会福祉法人同士が手を組むための「連携」の制度です。新しく事業を始める組織というより、既存の法人の経営基盤を強化するための仕組みという性格が強いです。
一方、労働者協同組合は、組合員自身が新しく事業体を作って働くための「起業」に近い制度です。介護や子育て支援など、地域で必要とされている事業を、当事者たちが自分たちの手で立ち上げる、というイメージです。こちらはNPO法人との違いをおさえたほうがいいかもしれませんね。特に「共同組合」という名称は非営利(配当不可)に見えますが、一部配当は認めらていますので、注意が必要です。
準則主義・認証主義・認可主義についてはこちらをご参考になさってください



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