2017年(平成29年)の介護保険法等改正は、社会福祉士国家試験の複数科目で頻出する改正です。正式名称は「地域包括ケアシステムの強化のための介護保険法等の一部を改正する法律」(平成29年法律第52号、2017年6月2日公布)で、介護保険法だけでなく、社会福祉法・障害者総合支援法・児童福祉法にまたがる一括改正法です。「2017年改正」という言葉が頻繁に出てくる背景には、この一括改正の中に試験で問われやすい論点がいくつも含まれていることがあります。
社会福祉法の改正:地域福祉計画の努力義務化
市町村による地域福祉計画の策定と都道府県による地域福祉支援計画が努力義務化され、高齢者・障害者・児童など各分野の福祉計画に共通する事項を定める「上位計画」として位置づけられました(都道府県が策定する地域福祉支援計画についても同様)。この改正は、地域力強化検討会の最終とりまとめ(2017年9月)の提言を反映したものです。
介護保険法の改正:利用者負担割合の見直し
現役並みの所得がある利用者の自己負担割合が、それまでの2割から3割に引き上げられました(2018年8月施行)。介護保険の利用者負担は、原則1割、一定以上の所得がある場合は2割(2015年改正で導入)、さらに現役並み所得の場合は3割という、3段階の仕組みになりました。
介護保険法の改正:介護医療院の創設
新たな介護保険施設として、介護医療院が創設されました(2018年4月施行)。日常的な医学管理が必要な要介護者の長期療養と生活施設としての機能をあわせ持つ施設で、廃止が決まっていた介護療養型医療施設の転換先として位置づけられています。
介護保険法・障害者総合支援法の改正:共生型サービスの創設
介護保険と障害福祉の両制度に、共生型サービスが新たに位置づけられました(2018年4月施行)。介護保険または障害福祉サービスのいずれかの指定を受けている事業所が、もう一方の制度における指定も受けやすくする仕組みで、高齢者と障害児者が同一の事業所でサービスを受けやすくすることを目的としています。
障害者総合支援法・児童福祉法の改正:高額障害福祉サービス等給付費の見直し
65歳に至るまで長期間にわたり障害福祉サービスを利用してきた高齢障害者が、65歳以降に介護保険サービスへ移行した際の利用者負担が軽減される仕組み(新高額障害福祉サービス等給付費)が導入されました(2018年4月施行)。障害福祉制度と介護保険制度の間で生じる利用者負担の差を緩和するための改正です。
介護保険法の改正:第2号被保険者の保険料に総報酬割を導入
介護保険の第2号被保険者(40歳から64歳)が加入する被用者保険(健康保険組合・共済組合・協会けんぽ等)が負担する介護納付金について、それまでの加入者数に応じた「人数割」から、報酬額に応じた「総報酬割」へと段階的に移行することとされました。2017年度から段階的に導入が始まり、2020年度に全面導入されています。
まとめ
2017年(平成29年)の介護保険法等改正は、地域福祉計画の努力義務化(社会福祉法)、利用者負担3割の導入・介護医療院の創設・総報酬割の導入(介護保険法)、共生型サービスの創設(介護保険法・障害者総合支援法)、高額障害福祉サービス等給付費の見直し(障害者総合支援法・児童福祉法)という、複数の法律・複数の科目にまたがる内容を一つの法律でまとめて改正したものです。「2017年改正」という年号だけで覚えるのではなく、どの法律の、どの制度が変わったのかをセットで整理しておくと、複数科目からの出題にも対応しやすくなります。

コメント