計算書類シリーズ①3つの計算書類|貸借対照表・資金収支計算書・事業活動計算書を簡単に整理

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計算書類シリーズ①3つの計算書類と減価償却|貸借対照表・資金収支計算書・事業活動計算書を簡単に整理 福祉サービスの組織と経営
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この記事はシリーズの1回目です

この記事は、社会福祉法人の計算書類シリーズ(全4回)の1つです。
次の順番で読むと、計算書類がすっきり整理できます。

①3つの計算書類をすっきり整理(全体像)←今ここです
②貸借対照表の読み方
③事業活動計算書と減価償却
④計算書類の承認プロセス|監事監査から評議員会まで
恐らく、受験生の大半が大変と思っている分野が今日取り扱う「計算書類」です。簿記などを学んだことがある人ならまだしも、いきなり貸借対照表なんて言われたら困惑です。
私は大学卒業後数年間銀行で働いていたので、何とかなりましたが、受験生が独学で学ぶのはちょっと難しいかもしれません。
また独特の言い回し?に慣れないと、解きにくいと思います。そのため、最初からしっかり「専門用語(出題される言い回し)」で覚えましょう!

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今回のテーマは「社会福祉法人の3つの計算書類」

今回のテーマは、
①貸借対照表
②資金収支計算書
③事業活動計算書

「福祉サービスの組織と経営」で出題される、社会福祉法人の計算書類です。

「数字が苦手だから」「簿記なんてやったことないから」・・・その気持ち、よくわかります。でも、国家試験で問われるのは、細かい会計処理ではありません。「それぞれの書類が何のための書類か」「何がどこに書かれるか」。この基本だけで解ける問題がほとんどです。

社会福祉法人は、社会福祉法人会計基準に基づいて、上記①②③の計算書類を毎会計年度作成します。

社会福祉法人は、社会福祉事業に支障がない限り、公益事業や収益事業も行うことができます。たとえば、ある法人が次の事業を行っているとします。

①社会福祉事業→特別養護老人ホームと保育所を経営する
②公益事業→有料老人ホームを経営する
③収益事業→法人の空き地を駐車場として貸し出す

この法人は、法人全体の計算書類だけでなく、①②③の事業区分ごとの計算書類も作成します。駐車場で得たお金と特別養護老人ホームの介護報酬が一つにまとめられていると、それぞれの事業でどれだけ収入を得て、何に使ったのかがわかりません。事業ごとに分けることで、社会福祉事業のためのお金がほかの事業に流れていないかを確認できます。

さらに、特別養護老人ホームと保育所のように、施設や事業所ごとにも分けて作成します。これを拠点区分といいます。まとめると、計算書類は「法人全体」「事業区分」「拠点区分」の三つの単位で作ります。

社会福祉法人が実施できる事業についての記事はこちら。
→社会福祉法人制度|法律上の3つの役割と社会福祉事業公益事業と収益事業所轄庁認可

国家試験では、次のように出題されました。
○「社会福祉事業のほか,公益事業・収益事業を行う社会福祉法人は,法人全体とともに,事業区分ごとに計算書類を作成する必要がある。」(第37回問題129)

では、理解しやすい順に、ひとつずつ見ていきましょう。

*この記事では深掘りはしません。まずは3つの書類の「違い」だけ、すっきりさせましょう。

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①貸借対照表:3つの中で一番よく出る

貸借対照表は、会計年度末という「一時点」における法人の財務状況を明らかにする計算書類です。法人全体のほか、事業区分(社会福祉事業・公益事業・収益事業)・拠点区分(施設・事業所などの拠点)ごとにも作成されます。

イメージは「写真」です。3月31日の瞬間に、カシャッと撮った法人の財産のスナップショット。1年間の動きではなく、その時点の状態を写しています。1年に1回の資産の総点検、とも言えますね。

国家試験では、次のように出題されました。
○「貸借対照表は,法人全体や事業区分,拠点区分の会計年度末における財務状況を明らかにする計算書類である。」(第37回問題129)

さらに国家試験では貸借対照表の、「左右に何を書くか」が問われます。

左側が借方(かりかた)、右側が貸方(かしかた)です。

貸方借方 右左どっち?問題!

さて、国家試験で問われるのは、この書類の「左右に何を書くか」です。・・・が、その前に。そもそも「借方(かりかた)」と「貸方(かしかた)」、どっちが左でどっちが右?

ここで固まる方、多いですよね。

そこで「かりかた」と「かしかた」ひらがなで書いてみてください。「かりかた」の「り」は左にはらう、だから借方は左。「かしかた」の「し」は右にはらう、だから貸方は右。

私も銀行の先輩に「まず、いったんそう覚えて」と言われ、やっているうちにだんだん意味がわかってきました。

だからまずは「かりかた」「かしかた」がわからなくなったら平仮名で書く、でいきましょう!

左側(借方)には資産

現金、建物、車、土地など全部書きます。

同じ資産でも「現金」と「土地・建物」って何かグループが違う気がしませんか。

現金のように1年以内に使える状態にあるものは流動資産、土地や建物のように長く使い続けるものは固定資産です。この分け方は、②の記事で詳しく説明しています。

右側(貸方)には財源

財源には①負債(借金)と②純資産(返さなくても良いお金等)を書きます。

もちろん、負債は借入金など返済義務のある財源、純資産は返済義務のない財源です。

そして、左側の合計と右側の合計は必ず一致します。

そのため貸借対照表は「バランスシート」と呼ばれます。

貸借対照表の詳しい読み方は、②の記事で説明しています。
→計算書類シリーズ②貸借対照表の読み方|借方・貸方・純資産・負債を簡単に整理

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②資金収支計算書:お金の出入りを予算と比べる

資金収支計算書は、1年間の支払資金の収入と支出、つまり「お金の出入り」を記録した計算書類です。イメージは「家計簿」。今月いくら入って、いくら出ていったか、お金の動きをそのまま記録していく書類です。

社会福祉法人の資金収支計算書には、予算額と決算額を並べて書くという特徴もあります。

ポイントは、1年間の「お金の出入り」を予算と比べながら示す書類だということ。

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③事業活動計算書:1年間の経営の成果

事業活動計算書は、1年間の収益と費用を記録し、その差額を示す計算書類です。1年間の事業で純資産がどれだけ増えたのか、あるいは減ったのか。つまり、1年をトータルすると黒字だったのか、赤字だったのかがわかります。社会福祉法人の3つの計算書類の中では貸借対照表に次いでよく出題されています。

イメージは「1年間の成績表」です。②の家計簿が日々のお金の動きの記録なら、③は1年が終わったときのトータルの成績表です。経営の成果が、ここに表れます。

ポイントは、1年間の「経営の成果=純資産の増減」を示す書類だということ。

すっきり整理:比較表

書類名いつの情報?何を示す?イメージ
貸借対照表一時点(会計年度末)財務状況
(資産・負債・純資産)
1年に1回の資産の総点検(左右が必ず一致)
資金収支計算書1年間支払資金の収入と支出家計簿
(法人版は予算と対比する)
事業活動計算書1年間収益と費用、
純資産の増減
1年間の成績表
(黒字か赤字か)

それぞれこのような特徴を持つことから、貸借対照表は「ストック」を表し、資金収支計算書や事業活動計算書は「フロー」を表します。

国家試験では、次のように出題されました。
×「事業活動計算書とは、一時点のストックを表すものである。」(第32回問題125)→一時点のストックを表すのは貸借対照表です。事業活動計算書は、1年間のフローを表します。

過去問を解いてみましょう

第37回問題129

社会福祉法人の財務に関する次の記述のうち,適切なものを 2 つ選びなさい。

1 事業活動計算書は,流動資産と流動負債のバランスを見て財務の健全性をチェックすることができる計算書類である。
2 社会福祉事業のほか,公益事業・収益事業を行う社会福祉法人は,法人全体とともに,事業区分ごとに計算書類を作成する必要がある。
3 資金収支計算書とは,毎年資産額を一定のルールで減額させ,その年のコストとして計上して作成した計算書類である。
4 介護サービスの提供に要した費用は,利用者に代わって国から指定介護サービス事業者に支払われる。
5 貸借対照表は,法人全体や事業区分,拠点区分の会計年度末における財務状況を明らかにする計算書類である。

解説

1→× 流動資産と流動負債を見比べて健全性をチェックできるのは、貸借対照表です。事業活動計算書は、1年間の成績表です。
2→○ 法人全体のほか、事業区分ごとにも計算書類を作成します。
3→× 毎年資産額を一定のルールで減らして費用にするのは、減価償却の説明です。資金収支計算書は、1年間のお金の出入りを記録する家計簿です。
4→× 介護サービスの費用は、国ではなく、保険者である市町村が、利用者に代わって事業者に支払います(法定代理受領)。
5→○ 貸借対照表の説明そのままです。

第32回問題125

社会福祉法人の会計財務等に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。

1 減価償却費は、法人の外部に資金が流出する費用である。
2 貸借対照表の負債の部は、資金を何に投下したかを表す。
3 管理会計は、組織外部者への情報開示を目的とする。
4 事業活動計算書とは、一時点のストックを表すものである。
5 貸借対照表は、バランスシートと呼ばれるように、負債及び純資産の部合計と資産の部合計の金額は一致する。

解説

1→× 減価償却費は、車などを買った年にまとめて払ったお金を、何年かに分けて費用にしたものです。費用にする年には、実際にはお金が出ていきません。
2→× 資金を何に使ったか(投下したか)を表すのは、左側(借方)の資産の部です。負債の部は右側で、お金をどう集めたかを表します。
3→× 外部への情報開示を目的とするのは、財務会計です。管理会計は、法人内部の経営判断に使う会計です。
4→× 一時点のストックを表すのは、貸借対照表です。事業活動計算書は、1年間のフローを表します。
5→○ 貸借対照表の左右の合計は、必ず一致します。

財務の用語についての記事はこちら。
→社会福祉法人の財務の用語|財務会計と管理会計・直接金融と間接金融・社会福祉充実残額

次は貸借対照表の読み方を確認しましょう
→計算書類シリーズ②貸借対照表の読み方|借方・貸方・純資産・負債を簡単に整理

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