精神保健指定医と特定医師
精神保健福祉法の入院形態を勉強すると、精神保健指定医のほかに「特定医師」という医師が出てきます。できることと時間の上限が違うため、混同しやすいポイントです。この記事では、精神保健指定医と特定医師の違いを整理します。
5つの入院形態そのものの整理は、こちらの記事をどうぞ。
→医療保護入院と措置入院の違い|精神保健福祉法5つの入院形態の覚え方を表で整理
精神保健指定医とは
精神保健指定医は、厚生労働大臣が指定する医師です。5年以上の診断・治療の実務経験と、そのうち3年以上の精神障害の診断・治療の経験を持ち、ケースレポートの提出と研修を経て指定されます。
この年数は出題実績があります。第33回問題61では、精神科診療の経験を「1年」とした選択肢が×として出題されています。正しくは3年以上です。
指定医の職務の中心は、本人の意思によらない医療に関する判定です。措置入院や医療保護入院の要否の判定のほか、入院中の行動制限、すなわち12時間を超える隔離や身体的拘束の要否も、指定医が判定します。本人の自由を制限する場面には必ず指定医が関わる、という設計です。
特定医師とは
特定医師は、一定の基準を満たす精神科病院(特定病院)において、緊急その他やむを得ない理由により指定医の診察を受けることができない場合に、指定医に代わって診察を行うことができる医師です。医籍登録後4年以上を経過し、2年以上の精神科での診断・治療の経験があることが要件です。
あくまで指定医が間に合わない場面の代替なので、特定医師の診察による場合は、時間の上限が12時間に短くなります。12時間以内に指定医の診察につなげることが前提の、つなぎの仕組みだと理解しておきましょう。
表で整理|72時間と12時間
| 精神保健指定医 | 特定医師 | |
|---|---|---|
| 任意入院の退院制限 | 72時間 | 12時間 |
| 医療保護入院 | 可能 | 12時間以内に限り可能 |
| 応急入院 | 72時間以内 | 12時間以内 |
| 措置入院・緊急措置入院 | 可能(措置入院は2名の一致) | 関与できない |
特定医師が関われるのは、任意入院の退院制限、医療保護入院、応急入院の3つだけです。措置入院と緊急措置入院は、指定医でなければ判定できません。自傷他害のおそれを判断する場面は、代替がきかないということです。
指定医なら72時間、特定医師なら12時間。この2つの数字と、措置入院・緊急措置入院には特定医師が関与できないことを意識しましょう。


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