コミュニティワーク|ロスマンの3つのモデルと事例で出題された進め方

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ソーシャルワーク
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コミュニティワークで出題された論点

コミュニティワークは、地域で起きている生活課題に、住民や関係機関と一緒に取り組むソーシャルワークの方法です。一人を支えるケースワーク、グループを支えるグループワークに対して、コミュニティワークは地域に働きかけます。アメリカでは、コミュニティ・オーガニゼーションと呼ばれてきました。

ソーシャルワークの科目では、第31回から第38回までに、コミュニティワークが次の形で出題されています。
①ロスとロスマン→コミュニティ・オーガニゼーションの理論(第32回問題101、第36回問題108)
②地域の課題に取り組むときの進め方→事例問題(第37回問題120、第37回問題122)
③ソーシャルワーカーの役割→事例問題(第38回問題116)

第37回と第38回の事例問題は、専門科目の「ソーシャルワークの理論と方法(専門)」で出題されました。

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ロスとロスマン

ロスは、コミュニティ・オーガニゼーションの考え方を広めた人物です。ロスは、住民が自分たちで地域の課題を見つけ、協力して解決していく過程そのものを重視しました。

ロスマンは、1960年代に、コミュニティ・オーガニゼーションの実践を三つのモデルに整理しました。
①小地域開発モデル→住民が話し合い、協力して、地域の課題を自分たちで解決する力を育てる
②社会計画モデル→地域のニーズを調査し、計画を立てて、サービス提供機関の間を調整する
③ソーシャルアクションモデル→不利な立場に置かれた人々が連帯し、権力をもつ相手に働きかけて、制度や資源の配分を変える

同じ「高齢者が買い物に行けない」という地域の課題でも、モデルによって取り組み方が変わります。
①小地域開発モデル→住民が集まって話し合い、ボランティアの送迎や移動販売の誘致を自分たちで始める
②社会計画モデル→社会福祉協議会や市が買い物の実態を調査し、配食や移動販売の事業者と調整して計画を立てる
③ソーシャルアクションモデル→路線バスの廃止で買い物に行けなくなった住民が集まり、署名を集めて市議会にバス路線の存続を求める

ロスが重視した「住民が自分たちで課題を見つけ、協力して取り組む」という考え方は、ロスマンの小地域開発モデルに近いものです。

国家試験では、ロスとロスマンについて次のように出題されました。
○「社会計画モデルとは,住民や当事者が求めるサービスや資源の提供を達成するために地域のニーズを調査して,サービス提供機関間の調整を図る方法である。」(第36回問題108)
×「小地域開発モデルとは,不利な立場に置かれた人々が直面する状況を自らの力では変革できない時に,同じ問題意識を共有する人々と連帯し,権力構造に対して政治的に働きかける方法である。」(第36回問題108)→これは小地域開発モデルではなく、ソーシャルアクションモデルのことです。
×「組織化モデルとは,住民の地域生活支援を目標として,当事者の個別支援と連動させて,地域の生活基盤の整備に向けた地域支援を展開する方法である。」(第36回問題108)→ロスマンが示したのは、小地域開発、社会計画、ソーシャルアクションの三つです。組織化モデルは、その中に入っていません。
×「ロス(Ross, M.)のコミュニティ・オーガニゼーション説は、地域における団体間調整の方法としてのインターグループワークを提唱した。」(第32回問題101)→インターグループワークを提唱したのは、ニューステッターです。

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地域の課題に取り組むときの進め方

地域の課題に取り組む事例問題では、ソーシャルワーカーの動き方として、次の考え方が共通しています。
①住民主体→企画し、決めるのは住民。ソーシャルワーカーがリーダーを指名したり、作業を割り振ったりしない
②丸投げしない→企業、行政、教育委員会などに、解決を任せきりにしない
③まず共有する→当事者も加えて、関係者が課題を共有し、話し合う場をつくる
④一緒に進める→日程や協力団体への依頼などの段取りも、住民と一緒に考える

事例の場面が変わっても、この四つの考え方で選択肢を見ていくことができます。第37回問題120と第37回問題122は、この考え方で解くことができます。

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コミュニティワークでのソーシャルワーカーの役割

地域の課題に取り組むとき、ソーシャルワーカーは場面に応じて次のような役割を担います。
①プログラムディベロッパー→地域に必要な新しい事業やプログラムをつくる(例:空き店舗を使った居場所づくりを企画する)
②ファシリテーター→話し合いを進め、参加者の意見を引き出す(例:住民懇談会の進行役をして、発言を促す)
③メディエーター→対立している人どうしの間に入って調整する(例:騒音をめぐる住民どうしの言い分を聞き、折り合いをつける)
④コンビナー→関係者に呼びかけて集め、会議を招集する(例:自治会、学校、事業所に声をかけて連絡会を開く)
⑤ブローカー→支援が必要な人と社会資源を結びつける(例:一人暮らしの高齢者を配食サービスにつなぐ)

事例問題では、その場面でソーシャルワーカーが何をしようとしているかを読み取ると、どの役割にあたるかがわかります。第38回問題116で、この役割が出題されています。

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過去問を解いてみましょう

解説の( )内の①〜④は、上の「地域の課題に取り組むときの進め方」で挙げた考え方の番号です。

第36回問題108

ロスマン(Rothman, J.)が 1960 年代に提唱したコミュニティ・オーガニゼーション実践のモデルに関する次の記述のうち,最も適切なものを 1 つ選びなさい。

1 組織化モデルとは,住民の地域生活支援を目標として,当事者の個別支援と連動させて,地域の生活基盤の整備に向けた地域支援を展開する方法である。
2 小地域開発モデルとは,不利な立場に置かれた人々が直面する状況を自らの力では変革できない時に,同じ問題意識を共有する人々と連帯し,権力構造に対して政治的に働きかける方法である。
3 社会計画モデルとは,住民や当事者が求めるサービスや資源の提供を達成するために地域のニーズを調査して,サービス提供機関間の調整を図る方法である。
4 ソーシャルアクションモデルとは,地域が求める目標を達成するために,サービス提供機関が地域の資源を利用して活動を推進する方法である。
5 統合モデルとは,地方自治体による政策実践と,福祉施設等における運営管理実践を一体のものとして,地域を変革することを主たる目標とする方法である。

解説

1→×ロスマンが示したのは、小地域開発、社会計画、ソーシャルアクションの三つです。組織化モデルは、その中に入っていません。
2→×これは小地域開発モデルではなく、ソーシャルアクションモデルのことです。小地域開発モデルは、住民が話し合い、協力して、地域の課題を自分たちで解決する力を育てるモデルです。
3→○社会計画モデルの説明です。調査して、計画を立てて、機関の間を調整します。
4→×ソーシャルアクションモデルは、不利な立場に置かれた人々が連帯し、権力をもつ相手に働きかけるモデルです。主役は、サービス提供機関ではなく当事者たちです。
5→×統合モデルも、ロスマンの三つのモデルには入っていません。

第37回問題120

事例を読んで,A町社会福祉協議会のB職員(社会福祉士)の総合的かつ包括的支援に基づく次の記述のうち,最初の対応として,最も適切なものを 1 つ選びなさい。

〔事 例〕
A町では,大規模な工業団地が開発された結果,海外から来た労働者とその家族が増加傾向にある。街中を歩く外国人家族の姿が日常的となった。そのような中,民生委員から,Bに「慣れない文化に戸惑う外国籍家族の存在が顕著であることや,また一方で,在留外国人との交流を望んでいるものの,どのようにすればよいか困惑している地域住民の声が多く聞かれる」と情報提供があった。

1 教育委員会に外国籍の子どもの生活状況の改善策を講じるよう要望する。
2 在留外国人も加え,学校,自治会等がこの問題を共有化するための懇談の場を企画する。
3 外国の文化や習慣について解説した日本人向けパンフレットを作成し,地域住民に配布する。
4 企業の人事担当者に状況を説明し,問題解決を依頼する。
5 外国籍住民と地域住民の交流の場を設け,広く参加を求める。

解説

1→×教育委員会に解決を任せることになります(②丸投げしない)。
2→○外国籍の住民という当事者も加えて、関係者で課題を共有する場をつくります(③まず共有する)。
3→×日本人向けのパンフレットを配るだけでは、外国籍住民の声が入りません。
4→×企業に解決を任せることになります(②丸投げしない)。
5→×交流の場は、関係者で課題を共有して話し合ったあとで考える取組です。最初の対応としては、一歩先に進みすぎています(③まず共有する)。

第37回問題122

事例を読んで,A市社会福祉協議会のB職員(社会福祉士)の会議における発言として,適切なものを 2 つ選びなさい。

〔事 例〕
Bは自治会役員Cさんから「新型感染症のためここ数年中止していた地域フェスタを再開したい。私としては,子どもをはじめ,高齢者や障害のある人も参加できるようにしたいと考えている。近々,他の自治会役員や関係者も含めて,実行委員会立ち上げのための会議を開催し,その会でご意見をいただきたい」と依頼を受けた。

1 「Cさんを今回の企画・運営のリーダーに指名したいと思います」
2 「社会福祉協議会主催で企画するので,自治会は協力してください」
3 「地域フェスタについて,まずみなさんのお考えをお聞かせください」
4 「今後のスケジュールと協力団体への依頼について,一緒に検討させてください」
5 「子どもがいる家庭を手分けして全戸訪問してください」

解説

1→×リーダーは、実行委員会のメンバーが話し合って決めます(①住民主体)。
2→×企画するのは地域の住民です。社会福祉協議会は、その企画を支えます(①住民主体)。
3→○まずは参加者の考えを聞くところから始めます(③まず共有する)。
4→○スケジュールや協力団体への依頼を、住民と一緒に検討します(④一緒に進める)。
5→×話し合いの前に、住民に作業を割り振ることになります(①住民主体)。

第38回問題116

事例を読んで,この段階でA市社会福祉協議会のB職員(社会福祉士)が担うソーシャルワーカーの役割として,次のうち,最も適切なものを 1 つ選びなさい。

〔事 例〕
C民生委員や地域住民が中心となって, 3 年前から商店街の空き店舗を活用した子ども食堂を開いている。独居高齢者やサービスを利用していない障害者など,見守りを必要としている人が多数いると感じているA市のC民生委員は,子ども食堂に日常的に関わっているBへ,「子どもだけでなく,地域全体を見守るようなネットワークをつくれないだろうか。商店街には空いている店舗があるので拠点として利用できないだろうか」と相談した。BはC民生委員の意向を踏まえて空き店舗の活用に取り組むことにした。

1 メディエーター
2 ファシリテーター
3 コンサルティ
4 プログラムディベロッパー
5 コンビナー

解説

1→×メディエーターは、対立している人どうしの間に入って調整する役割です。この事例では、誰も対立していません。
2→×ファシリテーターは、話し合いを進め、参加者の意見を引き出す役割です。この段階でBが取り組むのは、空き店舗の活用です。
3→×コンサルティは、専門家からコンサルテーション(助言)を受ける側です。
4→○空き店舗を拠点にした見守りネットワークという、地域に必要な新しいプログラムをつくる役割です。
5→×コンビナーは、関係者に呼びかけて集め、会議を招集する役割です。

ロスの選択肢が出題された第32回問題101は、こちらの記事に全文を載せています。
→診断主義アプローチ|リッチモンドの診断主義×フロイトの精神分析

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