ミクロ・メゾ・マクロで出題された論点
ソーシャルワークは、働きかける相手によって、ミクロ、メゾ、マクロの3つのレベルに分けて捉えられます。第34回から第38回までに、この3つのレベルに関する事例問題が4回出題されています。
①第34回問題95→病院の医療ソーシャルワーカーの実践
②第36回問題92→福祉事務所の職員の対応
③第37回問題113→社会福祉協議会の実践
④第38回問題111→メゾレベルの実践
第37回と第38回は、専門科目の「ソーシャルワークの基盤と専門職(専門)」で出題されました。
ミクロ・メゾ・マクロの見分け方
どのレベルにあたるかは、ソーシャルワーカーが誰に働きかけているかで見分けることができます。
①ミクロ→一人の人、一つの家族に直接働きかける
②メゾ→グループ、自分の所属機関内での調整、地域の関係者や関係機関に働きかける
③マクロ→制度や政策、国や自治体全体の仕組みに働きかける
一つの事例の中に、複数のレベルの働きかけが必要なこともあります。たとえば、視覚障害者から「行政の情報が届かない」という相談を受けて話を聞くのはミクロレベル、同じ相談をきっかけに、市に要望して点字や音声による情報提供の仕組みを検討してもらうのはマクロレベルです。事例を読むときは、それぞれの働きかけの相手が誰かを確かめていきます。
過去問を解いてみましょう
第34回問題95
事例を読んで、Y病院のC医療ソーシャルワーカー(社会福祉士)が行う介入レベルごとのソーシャルワーク実践として、最も適切なものを1つ選びなさい。
〔事 例〕
Q政令指定都市の拠点病院であるY病院には、患者サポートセンターがあり、そこには複数の社会福祉士が配置されている。患者サポートセンターでは、ここ数年、身寄りのない患者の退院支援に取り組んできたが、その数は増加傾向にある。そこでC医療ソーシャルワーカーは、増加傾向にあるこうした患者に対する総合的かつ包括的な援助活動や、支援体制の構築に向けた活動を行うこととした。
1 ミクロレベルの介入として、民生委員児童委員協議会に、身寄りのない患者が増加している問題を訴える。
2 ミクロレベルの介入として、Q市と福祉事務所との総合的な連携の在り方について協議する。
3 メゾレベルの介入として、身寄りのない患者との詳細なアセスメント面接を行う。
4 メゾレベルの介入として、病院内に対策検討委員会を設置することを提案する。
5 メゾレベルの介入として、退院の際、個別に日常生活自立支援事業の活用を提案する。
解説
1→×民生委員児童委員協議会は、地域の関係者です。一人の人への働きかけではないので、ミクロレベルにはあたりません。
2→×市や福祉事務所との連携のあり方を協議するのは、地域の関係機関への働きかけです。ミクロレベルにはあたりません。
3→×一人の患者との面接は、一人の人への働きかけなので、ミクロレベルです。
4→○病院という自分の所属機関の中に委員会をつくる働きかけなので、メゾレベルです。
5→×一人の患者に個別に事業の利用を提案するのは、ミクロレベルです。
第36回問題92
次の事例を読んで,福祉事務所に勤務するK職員(社会福祉士)が取り組む様々な対応のうち,メゾレベルの対応として,適切なものを 2 つ選びなさい。
〔事 例〕
L民生委員は,Mさん(45 歳)の件で市の福祉事務所を訪れ,Kに相談をした。Mさんは勤め先を 3 年前に人員整理で解雇されてからは仕事をせず,親が残してくれた自宅で一人,昼夜逆転の生活をしているとのことであった。現時点では,Mさんには緊急の要保護性は感じられないが,仕事をしておらず,生活費が底をつく心配がある。Mさんは「今すぐに仕事をする自信はないが,今後に備えて相談をしたい」と望んでおり,Mさんの了解のもとに相談に訪れたとのことであった。
1 中高年を対象とする就労支援制度の課題を,所属機関を通して国に提示する。
2 相談意欲のあるMさんと相談援助の関係を樹立する。
3 Mさんに対して,生活費を確保するために,不動産担保型生活資金を検討するよう勧める。
4 市内の事業所に対して,Mさんのような中高年者が利用可能な自立相談支援に関する事業の実施状況の情報を収集する。
5 L民生委員からの情報をもとに,同様の事例に関する今後の支援について,所内で検討する。
解説
1→×制度の課題を国に示すのは、制度への働きかけなので、マクロレベルです。
2→×Mさん一人との相談関係づくりなので、ミクロレベルです。
3→×Mさん一人に制度の利用を勧めるので、ミクロレベルです。
4→○市内の事業所という、地域の関係機関に働きかけているので、メゾレベルです。
5→○福祉事務所という、自分の所属機関の中で検討するので、メゾレベルです。
第37回問題113
事例を読んで,A市社会福祉協議会がソーシャルワーク実践の対象としたシステムとして,最も適切なものを 1 つ選びなさい。
〔事 例〕
A市社会福祉協議会では,市内の視覚障害者から,行政機関が発信する生活や災害に関する情報が十分に届いていないため困っているという相談が相次いだ。こうした中,A市社会福祉協議会は行政機関と視覚障害者をつなぐ情報伝達経路が不十分であり,その改善が必要であることをA市に要望した。それを受け,A市は視覚障害者への情報提供支援として,点字や音声による情報提供や広報を開始し,情報が広く行き届くようになった。
1 ミクロシステムのみ
2 メゾシステムのみ
3 マクロシステムのみ
4 ミクロシステムとメゾシステム
5 ミクロシステムとマクロシステム
解説
1→×A市社会福祉協議会は、視覚障害者からの相談だけでなく、市の情報提供の仕組みにも働きかけています。
2→×この事例の働きかけの相手は、視覚障害者と、市の情報提供の仕組みです。
3→×A市社会福祉協議会は、市への要望の前に、視覚障害者からの相談に応じています。
4→×市に要望して情報提供の仕組みを変えたのは、制度への働きかけなので、マクロレベルです。
5→○視覚障害者からの相談に応じるのがミクロレベル、市に要望して点字や音声による情報提供を始めてもらうのがマクロレベルです。
第38回問題111
次の記述のうち,メゾレベルの実践として示されたものとして,適切なものを 2 つ選びなさい。
1 A市社会福祉協議会の社会福祉士が行う,50 歳代のひきこもり男性の母親と本人との間の調整。
2 難病患者を支援する社会福祉士が行う,全国難病患者の家族会の要望書を国会へ提出することの支援。
3 B県の社会福祉士会の会長が,委員としてB県の地域福祉支援計画策定に参画。
4 C障害者就労支援施設の社会福祉士が,特別支援学校の教員と協働で行う進路に関わるイベントの企画。
5 D市の生活保護担当の現業員が行う,E市の民生委員との意見交換会のファシリテーション。
解説
1→×母親と本人という、一つの家族への働きかけなので、ミクロレベルです。
2→×国会に要望書を出すのは、制度への働きかけなので、マクロレベルです。
3→×県の計画づくりに加わるのは、政策への働きかけなので、マクロレベルです。
4→○施設の社会福祉士と特別支援学校の教員という、地域の関係機関どうしの取組なので、メゾレベルです。
5→○他市の民生委員という、地域の関係者との意見交換会なので、メゾレベルです。
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