波長合わせとは
グループワークを始める前に、ソーシャルワーカーが参加予定のメンバー一人ひとりについて、どのような思いでグループに臨もうとしているのかをあらかじめ理解しておくことを、波長合わせといいます。
把握するのは、グループに何を期待しているのか、何を不安に感じているのか、これまでにどのような経験をしてきたのかといったことです。個別の面談で直接聴くこともあれば、これまでの関わりや記録から見当をつけることもあります。
あわせて、ソーシャルワーカー自身が、そのメンバーに対してどのような感情を持っているかを整理します。
波長合わせはどの段階で行うか
グループワークは、準備期、開始期、作業期、終結期の4つの段階をたどります。波長合わせは、このうち準備期に行います。
準備期は、グループがまだ開催されていない状態で、ソーシャルワーカーが計画を立て、メンバーを募り、一人ひとりの状況を把握するプロセスに該当します。
事例問題では、次のような書き方がされていれば準備期です。
・開催前である
・個別に面談している
・参加を決めた人と話している
・グループはまだ開かれていない
ここで似た用語と注意したいのが、スクリーニングとアイスブレイクです。スクリーニングは、その人をグループに参加させるかどうかを見きわめることです。アイスブレイクは、初回にメンバーの緊張をほぐすために行う活動で、メンバーが集まってから行います。波長合わせは、参加が決まった人について、開催前に理解を深めることを指します。
開始期に移ると、ワーカーの役割が変わる
開始期は、メンバーが実際に集まり、グループが動き出す段階です。新しいメンバーが加わったときも、個人のメンバーの目線では開始期にあたります。
この段階でメンバーが感じているのは、他の人となじめるかという不安と、この場が自分に合うのかという迷いです。ソーシャルワーカーの役割は、メンバー同士がつながれるように橋渡しをすることです。
ソーシャルワーカーが特定のメンバーと話し込んでしまうと、その人はグループの中に入っていけません。逆に、まだ関係ができていない段階で、つらい経験を語らせたり、深く分かち合わせようとしたりするのも早すぎます。
この時期にメンバー同士の関係を結ぶ働きかけを、シュワルツは媒介機能と呼びました。ソーシャルワーカーがメンバーの間に立ち、両者をつなぐ役割です。
作業期と終結期
作業期は、メンバー同士の関係ができ、グループが目的に向かって動いている段階です。メンバー間の相互作用が支援の力になります。
この段階では葛藤も起こります。葛藤が起きたときに、表面化しないように抑えるのではなく、メンバーが互いの違いに向き合えるように支えます。
終結期は、グループの活動を終える段階です。メンバーがそれぞれの感情を言葉にし、互いに受けとめられるようにします。
過去問を確認しましょう
第37回問題77
事例を読んで,地域活動支援センターのA社会福祉士がBさんの家族と面談を行った時点で用いた方法として,最も適切なものを 1 つ選びなさい。
〔事例〕
Aは,複数の利用者家族から子どもの自立と今後についての心配があるという声を聞くことが多くなった。このことから,家族同士が不安を話し合い,将来の子どもの生活について考えるグループワークを行うことにした。Aは,その一環として開催前に参加を決定した利用者家族と個別面談を行った。面談の際,利用者Bさんの母親は「皆さんになじめるか不安です」と話した。AはBさんの母親がグループに期待していることや不安に感じていることを聴いた。
1 スクリーニング
2 波長合わせ
3 アイスブレイク
4 集団規範の形成
5 リーダーシップ
解説
「開催前に」「参加を決定した」「個別面談」と書かれています。グループはまだ始まっておらず、参加するかどうかも決まっています。準備期の場面です。
正答は2です。
1→× スクリーニングは、グループに参加させるかどうかを見きわめることです。事例ではすでに参加が決まっています。
2→○ 開催前に、Bさんの母親がグループに期待していることや不安に感じていることを聴いています。波長合わせです。
3→× アイスブレイクは、メンバーが集まってから緊張をほぐすために行うものです。事例は開催前の個別面談です。
4→× 集団規範は、グループが動き出したあとにメンバーの間で形づくられるものです。
5→× リーダーシップは、グループの中で発揮される働きかけです。開催前の個別面談で用いる方法ではありません。
第36回問題117
事例を読んで,ひきこもり地域支援センターのF職員(社会福祉士)による,グループワークのこの段階における関わりとして,最も適切なものを 1 つ選びなさい。
〔事例〕
Fは,ひきこもり地域支援センターが 1 か月前に開設した,ひきこもり状態にある人たちのための居場所であるカフェで,グループへの支援を行っている。Fは 2 年前から根気強く訪問していたGさん(38歳,男性)にもこのグループへ参加しないかと声をかけたところ,「どんなメンバーで,どんなことをしているのか」と興味を示し,久しぶりに外出し,カフェに初めて姿を見せた。Gさんは対人関係のつまずきからひきこもり状態となった経緯があり,人見知りがある。
1 人見知りが激しいことを知っているので,他のメンバーに対応を委ねる。
2 関係づくりができていることを活かしたいので,Gさんと二人で会話を続ける。
3 以前から参加している他のメンバーと話せるように橋渡しをする。
4 メンバー同士の関係を活用し,Gさんの長いひきこもり体験をメンバー間で分かち合うよう促す。
5 Gさんの過去の対人関係をメンバー間で振り返り,気持ちの分かち合いを促す。
解説
Gさんは「カフェに初めて姿を見せた」段階です。Gさんにとっては開始期にあたります。ソーシャルワーカーの役割は、Gさんが他のメンバーとつながれるようにすることです。
正答は3です。
1→× 他のメンバーに任せてしまうと、Fが媒介する役割を果たさないことになります。人見知りがあるGさんが自力で関係をつくることは難しい状況です。
2→× FとGさんの関係はできていますが、二人で話し続けるとGさんはグループの中に入っていけません。
3→○ Fが間に立ち、以前から参加しているメンバーとGさんをつなぎます。開始期にソーシャルワーカーが担う役割です。
4→× 初めて参加した日に、長いひきこもり体験を分かち合うよう促すのは早すぎます。メンバー同士の関係もまだできていません。
5→× Gさんは対人関係のつまずきからひきこもり状態になっています。初回にその経験をメンバー間で振り返らせることは、Gさんの負担になります。
第37回問題76
コノプカ(Konopka, G.)の提唱したグループワークの原則に関する次の記述のうち,適切なものを 2 つ選びなさい。
1 メンバー個々に新しい体験を付与することよりも,過去の体験を重視する。
2 援助者が積極的にプログラムに参加し,メンバーの問題を解決する。
3 グループ活動のルールを決め,メンバーの成長を阻害する場合には制限を設ける。
4 メンバー個人の相違点,及び当該グループが他のグループとは違う特徴をもつグループであることを認識するために個別化を行う。
5 メンバー間の相互作用の中で生じる葛藤は,表面化しないように働きかける。
解説
正答は3と4です。
1→× グループワークでは、メンバーが新しい体験を得られるようにします。過去の体験を重視するものではありません。
2→× 問題を解決するのはメンバー自身です。援助者が代わりに解決するのではなく、メンバー同士が力を発揮できるように働きかけます。
3→○ 制限の原則です。メンバーの成長を妨げる行動に対しては、制限を設けます。
4→○ 個別化の原則です。メンバー一人ひとりの違いを認識することと、そのグループが他のグループとは違う特徴を持つことを認識することの、両方が含まれます。
5→× 葛藤を表面化させないように抑えるのではなく、グループの中で扱えるようにします。
第36回問題109
グループワークに関する次の記述のうち,最も適切なものを 1 つ選びなさい。
1 グループの発達過程は,メンバー間の関係の変化に影響を受ける。
2 波長合わせとは,メンバー間の親しい接触を通して,お互いに刺激し,影響し合うことである。
3 グループメンバー間の暗黙の葛藤に対しては,メンバーが互いの違いに向き合えるように支えます。
4 プログラム活動では,全員が同じ動きを行うことを優先するように求める。
5 終結期には,メンバー間の感情の表出や分かち合いを避ける。
解説
正答は1です。
1→○ グループは、メンバー同士の関係が変わることで発達していきます。準備期から終結期までの進み方は、関係の変化に左右されます。
2→× 波長合わせは、開催前にソーシャルワーカーがメンバーの思いを理解しておくことです。この記述はメンバー間の相互作用の説明です。
3→× 葛藤を表面化させないように抑えるのではなく、グループの中で扱えるようにします。
4→× 全員が同じ動きを行うことを優先すると、メンバー一人ひとりの違いが尊重されません。
5→× 終結期には、メンバーが感情を表に出し、分かち合えるようにします。


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