計画の提出先は、基本指針を定める大臣で決まる
この記事では、福祉計画の提出先、計画どうしの関係(一体のもの)、計画の評価の3つを、基本指針を定める大臣を軸にして確認します。
→①策定義務と計画期間の記事はこちら
②指針・提出先・一体・評価(今ここ)
計画の提出先
市町村が策定した計画は、原則として都道府県知事に提出します。例外的に、地域福祉計画、障害者計画、こども計画、自殺対策計画などには、都道府県知事に提出する規定がありません。
都道府県が策定した計画は、その計画に関する基本指針等を定めた大臣に提出します。以前、次のような問題が出題されました。
「次のうち、内閣総理大臣に提出しなければならない計画はどれか」
この問題は提出先を問うていますが、基本指針を誰が定めているかが分かれば解けます。第32回問題45で出題。
基本指針を定める大臣は、主に内閣総理大臣、厚生労働大臣、主務大臣の3種類です。表を使って整理しましょう。
上の表を覚えたら、少し範囲を広げて、次の表まで覚えておくとより安心です。
市町村地域福祉計画と都道府県地域福祉支援計画には、法律に基づく国の基本指針がありません。国は、策定のガイドラインを通知で示しています。第30回問題46で出題。
計画どうしの関係は、一体のものを確認する
計画どうしの関係は、法律に「一体のもの」「調和が保たれたもの」「整合性の確保が図られたもの」などと書かれています。ここでは、一体のものとして作成する計画だけを確認します。
一体のものとして作成しなければならない計画は、老人福祉計画と介護保険事業計画です。市町村どうし、都道府県どうしで一体にします。第31回問題45で出題。市町村老人福祉計画と市町村介護保険事業計画は、どちらも策定が義務で、一体のものとして作成します。第29回問題47で出題。
一体のものとして作成することができる計画は、障害福祉計画と障害児福祉計画です。こども計画は、子ども・若者計画、こどもの貧困の解消に向けた対策についての計画などと、一体のものとして作成することができます。
計画の評価は誰がするか
計画の進み具合や達成状況を確かめるのは当然ですが、評価について法律に規定がある計画と、規定がない計画があります。法律に評価の規定がある計画は、その計画を定めた市町村、都道府県が、自分で評価します。
過去問を解いてみましょう
第29回問題47
福祉計画等の策定に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
1 市町村障害者計画と市町村障害福祉計画は、一体のものとして策定されなければならない。
2 市町村は、市町村障害福祉計画を定めたときは、厚生労働大臣に提出しなければならない。
3 市町村は、市町村老人福祉計画と市町村介護保険事業計画のうち、いずれか一つを策定すればよい。
4 市町村子ども・子育て支援事業計画は、都道府県知事の定める基本指針に即して策定される。
5 都道府県介護保険事業支援計画は、医療計画との整合性の確保が図られたものでなければならない。
解説
1→×障害者計画と障害福祉計画の関係は「一体」ではなく「調和」です。施策の基本を定める計画と、サービスの量を定める計画を別々に作り、食い違わないようにします。
2→×市町村障害福祉計画の提出先は都道府県知事です。都道府県障害福祉計画は、国に提出します(出題時は厚生労働大臣、2023年の法改正後は主務大臣で、原則は厚生労働大臣です)。
3→×どちらか一つではなく、両方の策定が義務で、しかも一体のものとして作成します。
4→×子ども・子育て支援事業計画の基本指針を定めるのは、都道府県知事ではなく内閣総理大臣です。
5→○都道府県介護保険事業支援計画は、医療計画との整合性の確保が図られたものでなければなりません。
第30回問題46
次の記述のうち、厚生労働大臣の役割として、正しいものを1つ選びなさい。
1 介護保険事業に係る保険給付の円滑な実施を確保するための基本的な指針を定める。
2 都道府県が老人福祉計画に確保すべき老人福祉事業の量の目標を定めるに当たって従うべき基準を定める。
3 障害者基本法に規定される障害者基本計画を作成しなければならない。
4 市町村が市町村地域福祉計画を策定する際に参酌すべき基準を定める。
5 子ども・子育て支援事業計画の基本的な指針を定める。
解説
1→○介護保険事業計画・介護保険事業支援計画の基本指針は、厚生労働大臣が定めます。
2→×厚生労働大臣が定めるのは、市町村が老人福祉事業の量の目標を定めるにあたって参酌すべき標準です。都道府県が従うべき基準を定める規定はありません。
3→×障害者基本計画を策定するのは、厚生労働大臣ではなく政府です。
4→×市町村地域福祉計画には、法律に基づく国の基本指針や基準がありません。国はガイドラインを通知で示しています。
5→×子ども・子育て支援事業計画の基本指針を定めるのは、厚生労働大臣ではなく内閣総理大臣です。
第31回問題45
福祉計画の策定に際して、相互の計画を一体のものとして作成することが法律で規定されているものを1つ選びなさい。(注)「教育振興基本計画」とは、教育基本法第17条第2項の規定により市町村が定める「教育の振興のための施策に関する基本的な計画」のことである。
1 市町村地域福祉計画と市町村老人福祉計画
2 市町村障害福祉計画と市町村障害者計画
3 市町村老人福祉計画と市町村介護保険事業計画
4 市町村子ども・子育て支援事業計画と「教育振興基本計画」
5 都道府県介護保険事業支援計画と都道府県地域福祉支援計画
解説
1→×市町村老人福祉計画と市町村地域福祉計画の関係は「一体」ではなく「調和」です。
2→×市町村障害福祉計画と市町村障害者計画の関係も「調和」です。
3→○市町村老人福祉計画と市町村介護保険事業計画は、一体のものとして作成しなければなりません。
4→×市町村子ども・子育て支援事業計画と教育振興基本計画の関係は「調和」です。
5→×都道府県介護保険事業支援計画と都道府県地域福祉支援計画の関係は「調和」です。都道府県介護保険事業支援計画と一体なのは、都道府県老人福祉計画です。
第32回問題45
次の計画のうち、定めたとき、又は変更したときに内閣総理大臣に提出しなければならないものを1つ選びなさい。
1 都道府県介護保険事業支援計画
2 都道府県における子どもの貧困対策についての計画(現在の名称は都道府県におけるこどもの貧困の解消に向けた対策についての計画)
3 都道府県障害福祉計画
4 都道府県老人福祉計画
5 都道府県子ども・子育て支援事業支援計画
解説
1→×都道府県介護保険事業支援計画の提出先は厚生労働大臣です。
2→×子どもの貧困への対策についての都道府県計画は努力義務の計画で、内閣総理大臣に提出する規定はありません。
3→×都道府県障害福祉計画の提出先は、出題時は厚生労働大臣でした。2023年の法改正後は主務大臣で、原則は厚生労働大臣です。
4→×都道府県老人福祉計画の提出先は厚生労働大臣です。
5→○都道府県子ども・子育て支援事業支援計画は、内閣総理大臣に提出します。基本指針を定めるのも内閣総理大臣です。
第32回問題46
次の各計画の策定を規定している法律に、計画の実績について評価を行うと明記されているものを1つ選びなさい。
1 市町村自殺対策計画
2 市町村介護保険事業計画
3 市町村障害者計画
4 市町村子ども・子育て支援事業計画
5 市町村老人福祉計画
解説
1→×自殺対策基本法には、計画の評価の規定がありません。
2→○介護保険法は、市町村が市町村介護保険事業計画の実績に関する評価を行うことを定めています。
3→×障害者基本法には、計画の評価の規定がありません。障害福祉計画の評価を定めているのは障害者総合支援法です。
4→×子ども・子育て支援法には、計画の評価の規定がありません。実施状況は地方版子ども・子育て会議が調査審議します。
5→×老人福祉法には、計画の評価の規定がありません。


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