相対的貧困と相対的剥奪の違い|相対的貧困率との違いも過去問で解説

社会福祉の原理と政策
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相対的貧困と相対的剥奪

相対的貧困も相対的剥奪も、「他者との比較」において貧困を捉えるという共通点があります。どちらも「相対的」という言葉が付いていることからも、比較という概念が含まれていることがわかります。しかし、決定的な違いがあります。それは、相対的貧困が「所得」に着目しているのに対し、相対的剥奪は「生活様式」に着目している点です。小さな違いに見えますが、その違いを理解しないと、なかなかすっきり問題を解くことができないので、その点を踏まえながら読み進めましょう。

相対的剥奪は、タウンゼント(Townsend, P.)が提唱した考え方です。その社会で当たり前とされている生活習慣・食事・社会活動に参加できていない状態を貧困と捉えます。

タウンゼントは、その社会で平均的とされる12の生活活動を選び、それができているかどうかを調べました。1年の間に家の外で休暇を過ごしたか、この4週間に友人を食事に招いたか、子どもが誕生日にパーティーを開いたか、といった項目です。所得の額ではなく、実際にどのような生活を送れているかから貧困を測ろうとしました。

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相対的貧困率とは

相対的貧困率は、所得によって貧困を測る統計指標です。世帯の手取り収入を世帯人員に応じて1人あたりに調整し(等価可処分所得)、それを全世帯員について並べた中央値の半分を貧困線とします。この貧困線に満たない世帯員の割合が相対的貧困率です。

OECD(経済協力開発機構)の作成基準に基づいて算出されており、日本では厚生労働省が国民生活基礎調査から公表しています。

相対的貧困率とは|2025年調査でみる貧困線・中央値と子どもの貧困率

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2つの違いを表で確認する

相対的貧困(相対的貧困率)相対的剥奪
何を見るか所得生活様式
判断の方法中央値の半分という基準で線を引くその社会で標準的な生活様式ができているか
提唱・算出OECD基準、厚生労働省が公表タウンゼント

相対的貧困率は、共通の計算式を用いて算出されるため、年ごとの推移も国際比較もできます。ただし見ているのは所得だけなので、その世帯が実際にどんな暮らしをしているかまでは分かりません。持ち家があるか、貯蓄を取り崩しているかによって、同じ所得でも生活水準は違います。

相対的剥奪は、生活の中身を直接尋ねるため実態に近づけます。ただし何を標準的な生活とするかは時代や社会によって変わるため、調べる項目の決め方に議論が残ります(例えばタウンゼントが当時用いていた指標は現代にあわない可能性が高いので、時代が変化するにつれて、何を指標にするかが議論になりやすいということです)。

絶対的貧困と相対的貧困の違いについてはこちらに整理しています
絶対的貧困と相対的貧困|SDGsの極度の貧困は国際貧困線

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過去問

第34回 問題26(現:原理と政策)

イギリスにおける貧困を問う設問です。この記事に関係する選択肢を抜粋します。

4 タウンゼント(Townsend, P.)は,等価可処分所得の中央値の50%を下回る所得しか得ていない者を相対的剥奪の状態にある者とし,イギリスに多数存在すると指摘した。

解説

→× 等価可処分所得の中央値の50%を下回る状態は、相対的貧困率の考え方です。タウンゼントの相対的剥奪は、所得の額ではなく、その社会で当たり前とされている生活様式ができているかどうかで判断します。

第38回 問題18(社会学と社会システム)

事例を読んで,次のうち,社会福祉士としてひとり親世帯であるAさん親子の状況を把握するうえで,妥当な社会学の概念として,最も適切なものを1つ選びなさい。

〔事例〕
非正規の仕事を2つ掛け持ちしながら小学生の子どもBさんを育てている母親Aさんから相談が入った。「怒鳴っても子どもが言うことを聞かなくて困っている。子どもをしつけるにはどうしたらよいか」という。詳しく話を聞いたところ,Bさんは流行りのゲーム機を買ってもらえないため駄々をこねているという。また「自分は親に怒鳴られて育ってきた。おかげでまともな人間になったと思っているし,怒鳴る以外に言うことを聞かない子どもをしつけるやり方もわからない」とのことである。

1 予言の自己成就
2 相対的剥奪
3 社会的孤立
4 役割葛藤
5 互酬性

まとめて解説

1 →× 予言の自己成就は、誤った認識に基づいて行動した結果、その認識どおりの状況が実現してしまうことを指します。
2 →○ 周りの子が持っているゲーム機を持てないという状態は、その社会で当たり前とされている生活から取り残されている状態です。
3 →× 社会的孤立は、他者との交流や関係が乏しい状態を指します。
4 →× 役割葛藤は、一人が担う複数の役割の要求が両立しない状態を指します。
5 →× 互酬性は、受け取ったものに対してお返しをするという関係のあり方を指します。

この事例のBさんは、食べるものがない状態にあるわけではありません。生きていけないほどの欠乏ではなく、周囲と同じことができないという形で表れる不足を捉えるのが相対的剥奪です。

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