この記事について
社会福祉法人の財務・会計の問題には、計算書類の中身のほかに、財務の用語を問う選択肢がまじって出題されています。計算書類の記事に入れると流れが途切れるので、用語だけをこの記事にまとめました。
計算書類についての記事はこちら。
→計算書類シリーズ①3つの計算書類|貸借対照表・資金収支計算書・事業活動計算書を簡単に整理
財務会計と管理会計
財務会計と管理会計は、誰に向けた会計かで分かれます。
①財務会計→法人の外部の人(利用者、寄附者、所轄庁、金融機関など)に、財務の状況を報告するための会計。決められた会計基準に従って作る
②管理会計→法人の内部で、経営の判断に使うための会計。法人が独自のルールで作ってよい
社会福祉法人の計算書類は、社会福祉法人会計基準に従って作り、外部に公表します。これは財務会計です。事業所ごとの採算を見て、来年度の計画を立てるために使う資料は、管理会計です。
国家試験では、次のように出題されました。
×「財務会計は、組織内での使用を目的とする。」(第30回問題122)
×「管理会計は、組織外部者への情報開示を目的とする。」(第32回問題125)
×「財務会計は組織内部における管理を目的としているため、通常、組織独自の会計ルールを用いる。」(第33回問題124)
直接金融と間接金融
お金を借りたり集めたりする方法は、間に金融機関が入るかどうかで分かれます。
①直接金融→株式や債券を発行して、出資者や投資家から直接お金を集める
②間接金融→銀行などの金融機関からお金を借りる。預金者のお金が、金融機関を間にはさんで貸し出される
社会福祉法人などの非営利組織は、株式を発行してお金を集めることができません。
国家試験では、次のように出題されました。
×「非営利組織は株式発行による資金調達ができる。」(第31回問題121)
×「金融機関からの借入れを直接金融という。」(第31回問題121)
収益と利益
収益は、事業によって得たお金の合計です。介護報酬や利用料、補助金、寄附金などが入ります。利益は、収益から費用を引いた残りです。会計では、この二つを区別します。
国家試験では、次のように出題されました。
×「会計上、収益とは利益を指す。」(第31回問題121)
クラウドファンディングとファンドレイジング
①クラウドファンディング→不特定多数の人から、インターネットを通じて資金を集めること
②ファンドレイジング→事業や活動に必要な資金を、寄附、会費、助成金、クラウドファンディングなど、さまざまな方法で集めること
国家試験では、次のように出題されました。
○「クラウドファンディングとは,不特定多数から通常インターネット経由で資金調達することを指す。」(第34回問題123)
○「ファンドレイジングとは,事業や活動を行うために必要な資金を様々な方法を使って調達することを指す。」(第36回問題122)
アカウンタビリティ
アカウンタビリティは、利用者や寄附者、地域住民などのステークホルダーに対する説明責任のことです。お金の集め方の用語ではありません。
国家試験では、次のように出題されました。
×「アカウンタビリティとは、間接金融を指す。」(第29回問題124)
○「アカウンタビリティとは,ステークホルダーに対する説明責任を指す。」(第36回問題123)
社会福祉充実残額と社会福祉充実計画
社会福祉法人は、毎会計年度、社会福祉充実残額を算定しなければなりません(社会福祉法第55条の2)。社会福祉充実残額は、法人が持っている財産から、事業を続けるために必要な財産を差し引いても、なお残る額です。地域の福祉のために、もう一度使うことができる財産(再投下可能な財産)にあたります。
社会福祉充実残額が生じた法人は、それを使って社会福祉事業などを充実させるための社会福祉充実計画を作り、所轄庁の承認を受けなければなりません。
国家試験では、次のように出題されました。
○「再投下可能な財産(社会福祉充実残額)を算定しなければならない。」(第30回問題122)
×「社会福祉充実残額とは、社会福祉法人における事業継続に必要な財産額をいう。」(第33回問題124)
×「社会福祉充実残額が生じた場合は地域福祉計画を策定する必要がある。」(第34回問題123)
第33回の選択肢は、「事業継続に必要な財産」と「それを差し引いて残る財産」を入れ替えています。第34回の選択肢は、「社会福祉充実計画」を市町村の「地域福祉計画」に入れ替えています。

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