地域共生社会推進検討会とは
正式名称は「地域共生社会に向けた包括的支援と多様な参加・協働の推進に関する検討会」です。長いので、通称として地域共生社会推進検討会と呼ばれます。国試でもこの略称で出題されます。
この検討会は、平成29年(2017年)の介護保険法等改正法の附則にある、公布後3年を目途とした見直し規定に基づいて設置されたものです。令和元年(2019年)5月に第1回の会合が開かれました。
とりまとめは2回出ています。中間とりまとめが令和元年7月19日、最終とりまとめが令和元年12月26日です。国試で問われるのは主に最終とりまとめの内容です。
中間とりまとめ|伴走型支援という考え方
中間とりまとめで示されたのは、支援のあり方そのものの見直しでした。
従来の社会福祉政策では、個別制度の要件に該当しなければ支援対象とならない、8050問題のような複合的なニーズに柔軟に対応できない、人生を通じた一貫した支援が受けられない、といった問題があると指摘されました。
そこで、現金・現物給付による「具体的な課題解決」を目的とするアプローチに加えて、相談支援を重視した「つながり続けること」を目的とするアプローチ、すなわち伴走型支援を、支援の両輪として位置づけました。
課題が解決したら支援も終わりではなく、解決しない課題を抱えながら生きていく人に、つながり続けること自体に意味がある、という考え方です。
最終とりまとめ|3つの支援を一体的に
最終とりまとめでは、市町村による包括的な支援体制において、次の3つの支援を一体的に行う新たな事業の創設が提言されました。
| 断らない相談支援 | 本人・世帯の属性にかかわらず受け止める |
|---|---|
| 参加支援 | 就労支援など、社会とのつながりを回復する |
| 地域づくりに向けた支援 | 住民同士のつながりや地域の資源を育てる |
この新たな事業は、市町村の手あげによる任意の事業とされました。この提言を受けて令和2年(2020年)に社会福祉法が改正され、重層的支援体制整備事業として制度化されます。
→とにかくよく出る!頻出重層的支援体制整備事業は義務?任意?同意は?よく出る5つのひっかけポイント【○×付き】
プラットフォームづくり
最終とりまとめでは、地域づくりに向けた支援について、多様な人や機関がその都度集い、相談し、協議し、学び合う場としてのプラットフォームづくりが重要であると指摘されました。
決まったメンバーで定期的に開く会議体ではなく、その時々の課題に応じて必要な人が集まる場、というイメージです。第37回で出題されています。
地域力強化検討会との違いに注意
紛らわしいのが、地域力強化検討会(地域における住民主体の課題解決力強化・相談支援体制の在り方に関する検討会)です。名前も似ていますし、扱うテーマも重なります。
| 地域力強化検討会 | 地域共生社会推進検討会 | |
|---|---|---|
| 最終とりまとめ | 2017年(平成29年) | 2019年(令和元年) |
| キーワード | 「我が事・丸ごと」 | 断らない相談支援 参加支援 地域づくり |
| つながる制度 | 2017年社会福祉法改正(第106条の3) | 2020年社会福祉法改正(重層的支援体制整備事業) |
→地域力強化検討会とは?「我が事・丸ごと」から重層的支援体制整備事業への流れを解説
国試での出題を確認しましょう
地域福祉の科目で出題されています。
第35回 問題34
地域共生社会の実現に向けた,厚生労働省の取組に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。
1 2015年(平成27年)の「福祉の提供ビジョン」において,重層的支援体制整備事業の整備の必要性が示された。
2 2016年(平成28年)の「地域力強化検討会」の中間とりまとめにおいて,初めて地域包括ケアシステムが具体的に明示された。
3 2017年(平成29年)の「地域力強化検討会」の最終とりまとめにおいて,縦割りの支援を当事者中心の「丸ごと」の支援とする等の包括的な支援体制の整備の必要性が示された。
4 2018年(平成30年)の「ソーシャルワーク専門職である社会福祉士に求められる役割等について」において,社会福祉士は特定の分野の専門性に特化して養成すべきであると提言された。
5 2019年(令和元年)の「地域共生社会推進検討会」の最終とりまとめにおいて,生活困窮者自立支援法の創設の必要性が示された。
解説
1→× 重層的支援体制整備事業の創設が提言されたのは、2019年の地域共生社会推進検討会の最終とりまとめです。
2→× 地域包括ケアシステムは、2003年(平成15年)の高齢者介護研究会報告書「2015年の高齢者介護」において初めて示された考え方であり、2016年の地域力強化検討会が最初ではありません。
3→○ 2017年の地域力強化検討会の最終とりまとめで、包括的な支援体制の整備の必要性が示されました。
4→× 社会福祉士については、特定分野への特化ではなく、包括的な相談支援や地域づくりを担う役割が求められると提言されました。
5→× 生活困窮者自立支援法は2013年(平成25年)に制定されており、2019年の最終とりまとめで創設が示されたものではありません。
第37回 問題48
包括的支援体制に関する次の記述のうち,最も適切なものを1つ選びなさい。
1 重層的支援体制整備事業によって包括的支援体制の整備に取り組んでいる自治体数は,令和5年度の時点で全体の半数を超えている。
2 包括的相談支援事業とは「複数の支援関係機関が有機的な連携の下,世帯が抱える地域生活課題の解決に資する支援を一体的に行う体制を整備する事業」である。
3 アウトリーチ等を通じた継続的支援事業とは「虐待の防止及びその早期発見のための援助を行う事業」である。 4 重層的支援会議とは「自ら支援を求めることが困難な人への支援について,支援を始める前に関係機関が情報を共有し,協議をする場」である。
5 「地域共生社会推進検討会」では,地域づくりに向けた支援において,多様な人や機関がその都度集い,相談,協議し,学び合う場としてのプラットフォームづくりが重要であると指摘した。
解説
1→× 重層的支援体制整備事業は任意事業であり、令和5年度の時点で実施している自治体は全体の一部にとどまっています。
2→× 記述は多機関協働事業の説明です。包括的相談支援事業は、属性を問わず相談を受け止める事業です。
3→× アウトリーチ等を通じた継続的支援事業は、支援が届いていない人に対して訪問等により働きかける事業であり、虐待防止の事業ではありません。
4→× 記述は支援会議の説明です。重層的支援会議は、本人の同意を得たうえで支援プランを検討する場です。
5→○ 地域共生社会推進検討会の最終とりまとめで、プラットフォームづくりの重要性が指摘されました。
すっきり整理
この論点で押さえておきたい内容をまとめます。
| 正式名称 | 地域共生社会に向けた包括的支援と多様な参加・協働の推進に関する検討会 |
|---|---|
| 設置 | 令和元年(2019年)5月 |
| 中間とりまとめ | 令和元年7月/伴走型支援を支援の両輪に位置づけ |
| 最終とりまとめ | 令和元年12月/3つの支援を一体的に行う新事業を提言 |
| 3つの支援 | 断らない相談支援・参加支援・地域づくりに向けた支援 |
| つながる制度 | 令和2年社会福祉法改正による重層的支援体制整備事業(任意事業) |


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