補装具と日常生活用具の違いを整理するポイント
補装具と日常生活用具は、どちらも障害者総合支援法上の給付ですが、補装具は自立支援給付(補装具費の支給)、日常生活用具は地域生活支援事業(日常生活用具給付等事業)に該当します。
それぞれの法律上の定義と具体的な種目を整理します。
補装具とは|法律上の定義
補装具は、障害者総合支援法第5条第25項で定義されています。次の3つの要件をすべて満たすものが補装具です。
①身体の欠損又は損なわれた身体機能を補完・代替するものでその身体への適合を図るように製作されたものであること。
②身体に装着することにより、その日常生活において又は就労若しくは就学のために、同一の製品につき長期間にわたり継続して使用されるものであること。
③医師等による専門的な知識に基づく意見又は診断に基づき使用されることが必要とされるものであること
この3要件に照らすと、補装具の具体例が理解しやすくなります。
義肢(義手・義足)は、失われた手足そのものを代替する用具です。本人の身体に合わせて製作し、長期間使い続け、製作には医師の判断が必要です。3要件をすべて満たす、補装具の典型例といえます。
装具は、四肢や体幹の機能障害に対して、その機能を補完するために装着する用具です。下肢装具、体幹装具などがあります。
車椅子・電動車椅子は、失われた歩行機能を代替する用具です。身体状況に合わせた適合が必要で、長期間継続して使用します。
補聴器は聴力を、眼鏡(弱視用・遮光用など)や義眼は視覚に関する機能を補完・代替します。
そのほか、座位保持装置、盲人安全つえ、歩行器、歩行補助つえ(T字状・棒状のものを除く)、重度障害者用意思伝達装置が補装具の種目とされています。身体障害児のみを対象とする種目として、座位保持椅子、起立保持具、頭部保持具、排便補助具があります。
補装具の種目は、このように国(厚生労働省告示)で定められています。市町村が独自に種目を追加する仕組みではありません。
日常生活用具とは|3つの要件
日常生活用具は、地域生活支援事業の必須事業である日常生活用具給付等事業によって給付・貸与されます。用具の要件は、次の3つをすべて満たすものとされています。
①障害者等が安全かつ容易に使用できるもので、実用性が認められるものであること。
②障害者等の日常生活上の困難を改善し、自立を支援し、かつ、社会参加を促進すると認められるものであること。
③用具の製作、改良又は開発に当たって障害に関する専門的な知識や技術を要するもので、日常生活品として一般に普及していないものであること。
③の要件が、日常生活用具を考えるうえで分かりやすい手がかりになります。一般に普及している家電や日用品は、たとえ生活に必要でも日常生活用具には当たりません。
具体例として、ストーマ装具があります。人工肛門・人工膀胱を造設した人(オストメイト)が使用する装具で、排せつに関する日常生活上の困難を改善するものですが、身体機能そのものを補完・代替して長期間同一製品を使い続けるという補装具の要件には当たりません。一般には普及していない専門的な用具であり、日常生活用具に位置づけられています。
そのほか、特殊寝台、特殊マット、入浴補助用具、移動用リフト、点字ディスプレイ、聴覚障害者用情報受信装置、住宅改修費なども日常生活用具として扱われます。
日常生活用具の種目は、市町村が地域の実情に応じて定めます。国が示す参考例はありますが、実際にどの用具を給付対象とするかは市町村の判断によります。同じ用具でも、市町村によって取扱いが異なる場合があるということです。
補装具と日常生活用具の違い
| 補装具 | 日常生活用具 | |
|---|---|---|
| 位置づけ | 自立支援給付 (補装具費の支給) | 地域生活支援事業 (日常生活用具給付等事業) |
| 種目を定めるのは | 国 | 市町村 |
| 申請先 | 市町村 | 市町村 |
| 更生相談所の判定 | 種目により必要 | 不要 |
| 主な例 | 義肢、装具、車椅子、補聴器、 義眼、歩行器など | ストーマ装具、特殊寝台、入浴補助用具、点字ディスプレイなど |
申請先はどちらも市町村です。この点は共通しているため、違いとして問われるのは位置づけと種目の定め方、そして次に述べる判定の仕組みです。
補装具の支給決定と更生相談所
補装具費の支給を受けようとする人は、市町村に申請します。市町村は、必要に応じて身体障害者更生相談所等の判定又は意見に基づいて支給の要否を決定します。義肢、装具、座位保持装置、電動車椅子、重度障害者用意思伝達装置などは、更生相談所の判定が必要とされる種目です。
身体障害者更生相談所は、身体障害者福祉法に基づき都道府県が設置しなければならないとされている機関です。専門的な相談・指導、医学的・心理学的・職能的判定などを行います。
日常生活用具には、このような判定の仕組みはありません。市町村が給付等の決定を行い、利用者負担についても市町村が定めます。
補装具費の支給と所得制限
補装具費は、購入・借受け・修理に要した費用の額(基準額)から、家計の負担能力その他の事情をしん酌して政令で定める額を控除して支給されます。利用者負担は原則1割で、所得に応じた負担上限月額が設定されています。
ただし、障害者本人又は世帯員のいずれかが一定所得以上の場合、具体的には市町村民税所得割の最多納税者の納税額が46万円以上の場合には、補装具費の支給対象外となります。
障害者総合支援法の中での位置づけについては、こちらで整理しています。
→障害者に関する法律は階層になっている|基本法→個別法→総合支援法→雇用促進法の関係を整理する
自立支援給付のサービスについては、こちらで整理しています。
→介護給付のサービスと対象者|障害支援区分の認定プロセスを過去問で解説


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