国際障害者年とは?完全参加と平等|障害者権利条約までの歴史

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社会福祉の原理と政策
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障害者福祉の歴史シリーズ

語呂合わせで、年表を覚えようとしていませんか。法律は、いつできたかではなく、どのような背景で、どのような内容だったかを覚えていないと解けません。時代背景と一緒に、流れで覚えていきましょう。

この記事は、国連の流れをまとめたものです。日本の障害者の歴史は以下の通り、全4回で整理しています。
→①戦後から福祉六法体制へ
→②障害者基本法の歴史
→③支援費制度から障害者自立支援法へ
→④障害者権利条約の批准が与えた影響

歴史の勉強の仕方についての記事はこちら
→歴史の勉強の仕方

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今回のテーマは国連の障害者福祉の流れ

障害者福祉の歴史の補足として、国連の障害者福祉の流れを確認します。1971年の知的障害者の権利宣言から、2006年の障害者権利条約までです。この時代の中心は、1971年の知的障害者の権利宣言、1975年の障害者の権利宣言、1981年の国際障害者年、2006年の障害者権利条約の採択です。

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知的障害者の権利宣言(1971年)

国連が障害者の権利について最初に出した宣言が、1971年の知的障害者の権利宣言です。知的障害のある人も、ほかの人と同じ権利を持つことを国際的に確認しました。

障害者全般ではなく、知的障害者の権利宣言が先に出された背景には、ノーマライゼーションの理念が知的障害の分野から生まれたという経緯があります。

ノーマライゼーションが生まれた経緯についての記事はこちら
→ノーマライゼーションとは?誰が提唱した?|ニィリエ・IL運動のロバーツも整理

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障害者の権利宣言(1975年)

1975年には、障害者の権利宣言が採択されました。対象が知的障害からすべての障害へと広がりました。障害のある人の市民的・政治的権利、経済的・社会的保障などを確認した宣言です。

ただし、宣言は各国に呼びかけるもので、法的な拘束力がありません。そこで、実効性を持たせるための取り組みがこのあと続きます。

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国際障害者年(1981年) 完全参加と平等

1981年は国際障害者年です。テーマは「完全参加と平等」でした。障害のある人が社会のあらゆる活動に完全に参加し、平等な生活を実現することを、世界共通の目標として掲げました。

翌1982年には、「完全参加と平等」をより実効的なものにしていくために「障害者に関する世界行動計画」が採択され、1983年から1992年までの10年間は「国連・障害者の十年」とされました。テーマを掲げるだけでなく、期間を区切って各国に具体的な行動を求める内容です。

日本でも、この国際的な流れを受けて障害者施策の見直しが進みました。1993年に心身障害者対策基本法が障害者基本法へと改正されたのは、その一つです。

国家試験では、次のように出題されました。
×「国連で定めた国際障害者年(1981年(昭和56年))のテーマは、「万人のための社会に向けて」であった。」(第31回問題57)→国際障害者年のテーマは「完全参加と平等」です。

障害者の権利に関する条約(2006年採択)

2006年、障害者の権利に関する条約が国連総会で採択されました。宣言と違い、条約には法的な拘束力があります。批准した国は、条約の内容に合わせて国内の法律を整備する義務を負います。

条約の作成過程には、障害のある当事者が参加しました。「Nothing about us without us(私たちのことを、私たち抜きに決めないで)」という言葉は、この条約を象徴しています。差別の禁止や合理的配慮の提供などを各国に求める内容です。

日本は2007年に署名し、国内法の整備を経て2014年に批准しました。批准までの国内法整備の流れについての記事はこちら
→障害者福祉の歴史④障害者権利条約の批准が与えた影響

国家試験では、次のように出題されました。
○「障害者の権利に関する条約(2014年(平成26年)批准)では、「合理的配慮」という考え方が重要視された。」(第31回問題57)
○「障害者の権利に関する条約を締結するための国内法制度の整備の一環として制定された。」(第28回問題56)→障害者差別解消法についての出題です。

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すっきり整理 国連の流れ

国連の障害者福祉の流れ 年 できごと ポイント 1971年 知的障害者の権利宣言 対象は知的障害 1975年 障害者の権利宣言 すべての障害へ拡大、拘束力なし 1981年 国際障害者年 テーマは完全参加と平等 1983〜1992年 国連・障害者の十年 期間を区切って行動を求める 2006年 障害者権利条約の採択 法的拘束力あり、日本は2014年批准 各宣言や条約の内容をもとに著者が作成した図です。無断転載・複製はご遠慮ください。

関連する記事はこちら

障害者差別解消法についての記事はこちら
→障害者差別解消法の不当な差別的取扱いと合理的配慮|障害者の定義・環境の整備・対応指針

障害者福祉の歴史の一問一答についての記事はこちら
→障害者福祉の歴史の一問一答(30問)|戦後・1990年代・2010年代以降

ほかの分野の歴史の記事はこちら
→歴史の記事マップ

過去問を解いてみましょう

第31回 障害者に対する支援と障害者自立支援制度 問題57

障害者福祉制度の発展過程に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。

1 国連で定めた国際障害者年(1981年(昭和56年))のテーマは、「万人のための社会に向けて」であった。
2 「障害者虐待防止法」(2011年(平成23年))における障害者虐待には、障害者福祉施設従事者によるものは除外された。
3 「障害者雇用促進法」の改正(2013年(平成25年))では、雇用分野における障害を理由とした不当な差別的取扱いの禁止について、努力義務が課された。
4 「障害者差別解消法」(2013年(平成25年))では、障害を理由とした不当な差別的取扱いの禁止について、民間事業者に努力義務が課された。
5 障害者の権利に関する条約(2014年(平成26年)批准)では、「合理的配慮」という考え方が重要視された。

解説

1→× 国際障害者年のテーマは「完全参加と平等」です。
2→× 障害者虐待防止法の障害者虐待は、養護者、障害者福祉施設従事者等、使用者によるものの3つです。施設従事者は除外されていません。
3→× 雇用分野の不当な差別的取扱いの禁止は、努力義務ではなく義務です。
4→× 不当な差別的取扱いの禁止は、民間事業者にも義務です。努力義務とされていたのは合理的配慮の提供で、2021年の改正で義務になりました。
5→○ 合理的配慮という考え方が重視されました。

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第28回 障害者に対する支援と障害者自立支援制度 問題56

「障害者差別解消法」に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。

1 障害者基本法には、障害者差別の禁止についての基本的理念が定められていなかったため、この法律が制定された。
2 人種を理由とする差別の禁止も包含した規定とされている。
3 障害者の権利に関する条約を締結するための国内法制度の整備の一環として制定された。
4 差別の解消の推進に関する政府の基本方針は、いまだ策定されていない。
5 差別を解消するための支援措置として、新たに専門の紛争解決機関を設けることとされている。

解説

1→× 障害者基本法には、2004年の改正で差別の禁止の理念が定められていました。
2→× この法律が扱うのは障害を理由とする差別です。人種を理由とする差別は含まれていません。
3→○ 障害者権利条約を締結するための国内法制度の整備の一環として制定されました。
4→× 政府の基本方針は2015年(平成27年)に閣議決定されています。
5→× 新たな紛争解決機関は設けず、既存の相談や紛争解決の仕組みを活用することとされました。

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