2025年国民生活基礎調査とは
国民生活基礎調査は、厚生労働省が毎年行う、世帯の構造、所得、健康、介護などを調べる調査です。3年ごとに大規模調査を行い、それ以外の年は簡易調査が実施されます。介護の状況と貧困率は、大規模調査の該当年のみ確認されるデータです。
2025年調査は大規模調査で、2025年6月に調査が行われ、2026年7月に結果が公表されましたので、39回の試験はこの調査結果に基づくデータが根拠になる可能性が高いです。第37回・第38回は今回の新しいデータが出てないときの出題ですから、2022年調査から出題されています。
今回の最新データで特に覚えておきたいポイントは以下の通りです。
覚えておきたいポイント
①全世帯の世帯構造:単独世帯>夫婦のみの世帯>夫婦と未婚の子のみの世帯
②65歳以上の者のいる世帯:単独世帯>夫婦のみの世帯(2025年は順位が入れ替わった)
③生活が苦しい世帯:母子世帯>児童のいる世帯>全世帯>高齢者世帯
④子どもがいる現役世帯の貧困率:大人が一人>大人が二人以上
⑤主な介護者:同居>事業者>別居の家族等。同居では配偶者>子>子の配偶者
世帯構造
この節で使う言葉の定義は次のとおりです。
①核家族世帯:夫婦のみの世帯、夫婦と未婚の子のみの世帯、ひとり親と未婚の子のみの世帯の三つ。三世代世帯は含まない
②65歳以上の者のいる世帯:65歳以上の者が一人でもいる世帯
③高齢者世帯:65歳以上の者のみで構成するか、またはこれに18歳未満の未婚の者が加わった世帯
④児童のいる世帯:18歳未満の未婚の者がいる世帯
全世帯は5,505万8千世帯です。世帯構造で最も多いのは単独世帯で、35.4%です。単独世帯は世帯数・割合とも調査開始以来の過去最高になりました。
65歳以上の者のいる世帯は2,761万4千世帯で、全世帯の50.2%です。2022年調査では夫婦のみの世帯が1位でしたが、2025年調査では単独世帯が1位になり、順位が入れ替わりました。
昔ながらの三世代同居(サザエさんスタイル)は全世帯でも65歳以上の者のいる世帯でも減少しています。
65歳以上の単独世帯は、女性が62.4%、男性が37.6%で、女性のほうが多くなっています。高齢者世帯は全世帯の31.9%(前回31.2%)で、世帯数・割合とも過去最高でした。児童のいる世帯は全世帯の16.7%(前回18.3%)で、減っています。児童のいない世帯は83.3%で、全世帯の8割以上を占めます。
国家試験では次のように出題されています。
第34回問題18「国民生活基礎調査においては、「核家族世帯」には「三世代世帯」は含まない。」→○
第34回問題18「「65歳以上の者のいる世帯」の中で、「三世代世帯」の割合は「夫婦のみの世帯」の割合よりも高い。」→×
第34回問題18「全世帯に占める「児童のいる世帯」の割合は「児童のいない世帯」の割合よりも高い。」→×
所得と生活意識
2024年の1世帯当たり平均所得金額は575万2千円(前回545万7千円)で、約30万円増えました。しかし、平均所得金額は、所得の高い一部の世帯に引き上げられやすいため、平均所得金額以下の世帯が61.5%を占めます。所得を低い順に並べたときの真ん中の世帯(中央値)は451万円でした。
世帯の種類別の平均所得金額は、児童のいる世帯857万3千円>全世帯575万2千円>母子世帯345万3千円>高齢者世帯336万1千円です。公的年金・恩給を受給している高齢者世帯のうち、公的年金・恩給が総所得の100%の世帯(年金以外に所得がない世帯)は41.3%です。
国民生活基礎調査では、現在の暮らしの状況を「大変苦しい」「やや苦しい」「普通」「ややゆとりがある」「大変ゆとりがある」の5段階で尋ねています(生活意識)。次の図は、「大変苦しい」と「やや苦しい」と答えた世帯の割合を、世帯の種類別に比べたものです。
生活意識が「苦しい」(「大変苦しい」と「やや苦しい」の合計)とした世帯は、全世帯で55.4%(前回51.3%)でした。半数を超えています。以下の表を確認すると、特に母子世帯が「苦しい」と感じていることが多いことがわかります。
国家試験では次のように出題されています。
第37回問題16「1世帯当たり平均所得金額は300万円を下回っている。」→×
第37回問題16「現在の暮らしの状況が「大変苦しい」「やや苦しい」とした世帯は、50%を超えている。」→○
第37回問題16「公的年金・恩給を受給している高齢者世帯の中で「公的年金・恩給の総所得に占める割合が100%の世帯」は、90%を超えている。」→×
第37回問題47「生活状況を苦しいと感じている母子世帯が母子世帯全体に占める割合は約50%となっている。」→×
貧困率
2024年の相対的貧困率は15.0%(前回15.4%)、子ども(17歳以下)の貧困率は11.0%(前回11.5%)で、どちらも下がりました。子どもがいる現役世帯のうち、大人が一人の世帯の貧困率は44.7%で、大人が二人以上の世帯の6.7%を大きく上回ります。上記のことから、母子世帯や父子世帯などのひとり親世帯は、貧困率が高いことがわかります。
相対的貧困率と子どもの貧困率、OECD平均との比較についての記事はこちら
→相対的貧困率と子どもの貧困率|2025年国民生活基礎調査とOECD平均との比較
国家試験では次のように出題されています。
第36回問題24「子どもがいる現役世帯の世帯員の「貧困率」は、「大人が二人以上」の世帯員よりも「大人が一人」の世帯員の方が高い。」→○
第37回問題16「相対的貧困率は20%を超えた。」→×
第37回問題16「子ども(17歳以下)の相対的貧困率は25%を超えた。」→×
介護の状況
要介護者等の主な介護者は、同居の家族等が46.1%で最も多く、次いで事業者16.0%、別居の家族等13.4%です。同居の主な介護者の内訳は、配偶者22.5%>子18.2%>子の配偶者4.2%です。
現在は同居している配偶者と子が介護の担い手となっているケースが多く、昔ながらの「同居している長男の嫁」が介護をするというのはごくわずかであることがわかります。
同居の主な介護者は、女性が63.5%、男性が36.5%です。要介護者等と同居の主な介護者の年齢の組み合わせは、60歳以上同士が79.0%、65歳以上同士が61.9%、75歳以上同士が37.1%で、いわゆる老老介護が多くなっています。
国家試験では次のように出題されています。
第38回問題86「同居の配偶者が要介護や要支援認定者の「主な介護者」である割合は、3割を上回っている。」→×
過去問を解いてみましょう
解説は、2025年国民生活基礎調査の数字に基づいています。
第34回問題18
「平成27年国勢調査」(総務省)並びに「2019年国民生活基礎調査」(厚生労働省)における家族と世帯に関する次の記述のうち,最も適切なものを1つ選びなさい。
1 国勢調査においては,世帯を「一般世帯」と「非親族世帯」の二つに大きく分類している。
2 国民生活基礎調査においては,「核家族世帯」には「三世代世帯」は含まない。
3 国民生活基礎調査においては,2019年(令和元年)現在,「65歳以上の者のいる世帯」の中で,「三世代世帯」の割合は「夫婦のみの世帯」の割合よりも高い。
4 国民生活基礎調査においては,2019年(令和元年)現在,65歳以上の単独世帯に占める割合は「男の単独世帯」の方が「女の単独世帯」よりも高い。
5 国民生活基礎調査においては,2019年(令和元年)現在,全世帯に占める「児童のいる世帯」の割合は「児童のいない世帯」の割合よりも高い。
解説
1→× 国勢調査は、世帯を「一般世帯」と「施設等の世帯」の二つに分類しています。
2→○ 核家族世帯は、夫婦のみの世帯、夫婦と未婚の子のみの世帯、ひとり親と未婚の子のみの世帯です。三世代世帯は含まれません。
3→× 2025年調査でも、65歳以上の者のいる世帯の三世代世帯は5.8%で、夫婦のみの世帯の32.0%を大きく下回ります。
4→× 2025年調査では、65歳以上の単独世帯は女が62.4%、男が37.6%で、女のほうが多くなっています。
5→× 2025年調査では、児童のいる世帯は全世帯の16.7%です。
第37回問題16
次の記述のうち,2022(令和4)年の国民生活基礎調査の結果(「2022(令和4)年国民生活基礎調査の概況」(厚生労働省))についての説明として,最も適切なものを1つ選びなさい。
1 1世帯当たり平均所得金額は300万円を下回っている。
2 現在の暮らしの状況が「大変苦しい」「やや苦しい」とした世帯は,50%を超えている。
3 相対的貧困率は20%を超えた。
4 子ども(17歳以下)の相対的貧困率は25%を超えた。
5 公的年金・恩給を受給している高齢者世帯の中で「公的年金・恩給の総所得に占める割合が100%の世帯」は,90%を超えている。
解説
1→× 2025年調査では575万2千円です。
2→○ 2025年調査では55.4%で、50%を超えています。
3→× 2025年調査では15.0%です。
4→× 2025年調査では11.0%です。
5→× 2025年調査では41.3%です。
第37回問題47
日本における世帯や地域社会などの動向に関する次の記述のうち,最も適切なものを1つ選びなさい。
1 総務省の「令和2年国勢調査」によると,単独世帯が一般世帯に占める割合は約10%となっている。
2 法務省の「在留外国人統計」によると,2022年(令和4年)12月現在,在留外国人が総人口に占める割合は20%を超えている。
3 総務省の「人口推計」によると,2022年(令和4年)10月現在,15歳から64歳までの生産年齢人口が総人口に占める割合は約30%となっている。
4 内閣官房の「孤独・孤立の実態把握に関する全国調査(令和5年)」によると「孤独であると感じることがある」と回答した者の割合は約40%となっている。
5 厚生労働省の「国民生活基礎調査」によると,2022年(令和4年)現在,生活状況を苦しいと感じている母子世帯が母子世帯全体に占める割合は約50%となっている。
解説
1→× 令和2年国勢調査では、単独世帯は一般世帯の約4割(38.0%)です。
2→× 在留外国人の割合は、総人口の2%台です。
3→× 生産年齢人口の割合は約6割(59.4%)です。
4→○ 約4割(39.3%)でした。
5→× 2025年調査では、生活が苦しいとした母子世帯は82.1%です。
第36回問題24
日本の貧困に関する次の記述のうち,最も適切なものを1つ選びなさい。
(注)ここでいう「貧困率」とは,等価可処分所得が中央値の半分に満たない世帯員の割合(相対的貧困率)を指す。
1 日本の2010年代における「貧困率」は,経済協力開発機構(OECD)加盟国の平均を大きく下回っている。
2 「2019年国民生活基礎調査の概況」(厚生労働省)によれば,子どもがいる現役世帯の世帯員の「貧困率」は,「大人が二人以上」の世帯員よりも「大人が一人」の世帯員の方が高い。
3 「2019年国民生活基礎調査の概況」(厚生労働省)によれば,子どもの「貧困率」は10%を下回っている。
4 「平成29年版厚生労働白書」によれば,高齢者の「貧困率」は,子どもの「貧困率」に比べて低い。
5 2018年(平成30年)の時点で,生活保護世帯に属する子どもの大学進学率は60%を超えている。
解説
1→× 日本の貧困率は、OECD加盟国の平均を上回っています。
2→○ 2025年調査でも、大人が一人の世帯は44.7%、大人が二人以上の世帯は6.7%です。
3→× 2025年調査では11.0%で、10%を上回っています。
4→× 高齢者の貧困率は、子どもの貧困率より高くなっています。
5→× 生活保護世帯の子どもの大学等進学率は3割台で、60%には届きません。
第38回問題86
高齢者の生活実態に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。
1 「令和2年国勢調査」(総務省)によると,65歳以上の単独世帯の人口は,2020年(令和2年)に初めて1,000万人を上回った。
2 「令和4年度介護保険事業状況報告(年報)」(厚生労働省)によると,第1号被保険者の要介護(要支援)認定者は,2022年(令和4年)に初めて500万人を超えた。
3 「2022(令和4)年国民生活基礎調査の概況」(厚生労働省)によると,同居の配偶者が要介護や要支援認定者の「主な介護者」である割合は,3割を上回っている。
4 「労働力調査(基本集計)2024年(令和6年)平均結果」(総務省)によると,65歳から69歳の者の就業率は,2024年(令和6年)では5割を上回っている。
5 「家計調査報告(貯蓄・負債編)-2024年(令和6年)平均結果の概要-(二人以上の世帯)」(総務省)によると,世帯主が65歳以上の世帯(二人以上の世帯)の貯蓄現在高の中央値は,およそ600万円である。
解説
1→× 令和2年国勢調査の65歳以上の単独世帯の人口は、約670万人です。
2→× 第1号被保険者の要介護(要支援)認定者が500万人を超えたのは2022年より前で、令和4年度末は約690万人です。
3→× 2025年調査では、同居の配偶者は22.5%で、3割に届きません。
4→○ 65歳から69歳の就業率は、5割を上回っています。
5→× 貯蓄現在高の中央値は、600万円を大きく上回ります。


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