生活のしづらさなどに関する調査とは
生活のしづらさなどに関する調査は、厚生労働省が、在宅で暮らす障害児・者の生活の実態を調べる調査です。毎年ではなく、数年に1回行われていて、これまで平成23年、平成28年、令和4年に行われました。
最新は令和4年の調査で、次の調査は、令和8年11月に行われますので、第39回の受験生が覚えるべきデータは、令和4年の調査のデータということになります。
この調査は、第31回、第32回、第33回、第34回、第37回の5回出題されており、障害者の分野のデータの中で、最も優先順位が高いデータです。
ただし、調査の項目は回によって少し変わるため、この記事では、毎回調べられている項目を前半に書き、以前の調査にはあって令和4年の調査にはない項目を、出題された問題の目安として後半に載せます。
まずは、手帳の人数、身体障害の種類と原因、年齢、親との同居の順に押さえましょう。それぞれの数字には理由があるので、暗記に偏りすぎないよう、背景を考えながら理解しましょう。
この記事の○×は、出題当時の数値ではなく、令和4年の調査の数値で判定しています。
手帳の人数
障害者手帳は、身体障害者手帳、療育手帳、精神障害者保健福祉手帳の三つです。令和4年の調査では、身体障害者手帳が最も多く、415.9万人です。
〇精神障害者保健福祉手帳は、43.0%増えて、大きく増加しています。療育手帳を上回りました。
〇療育手帳も、18.5%増えて、増加しています。障害者白書は、知的障害への認知度が高まり、療育手帳を取る人が増えたことを、増加の一因としています。
〇身体障害者手帳だけが、3.0%減っています。
国家試験では、次のように出題されました。
×「障害者手帳の種類別でみると、精神障害者保健福祉手帳所持者数が最も多い。」(第31回問題56)→最も多いのは身体障害者手帳です。
×「障害者手帳の種類別でみると、療育手帳所持者が最も多い。」(第34回問題56)→最も多いのは身体障害者手帳です。
×「療育手帳所持者数は、前回の調査時よりも減少している。」(第31回問題56)→療育手帳は増えています。
身体障害の種類
身体障害者手帳所持者の中で、最も多いのは肢体不自由で、次が内部障害です。0〜17歳の身体障害児も、ほぼ同じ順番です。
国家試験では、次のように出題されました。
○「身体障害者手帳所持者のうち、障害の種類で最も多いのは肢体不自由である。」(第34回問題56)
×「身体障害者手帳所持者のうち、障害の種類で最も多いのは内部障害である。」(第31回問題56)→内部障害は2番目です。
×「身体障害者手帳を所持している身体障害児(0〜17歳)では、内部障害が最も多い。」(第32回問題56)→身体障害児でも、肢体不自由が最も多くなっています。
身体障害の原因
身体障害の原因で最も多いのは、病気です。けがや生まれた時からの障害よりも、病気によって身体障害を持つ人が多くなっています。
国家試験では、次のように出題されました。
×「65歳以上の障害者手帳所持者の「障害の原因」は、「事故・けが」が最も多い。」(第33回問題56)→最も多いのは病気です。
年齢
〇身体障害者手帳を持つ人は、65歳以上が7割を超えています。
〇精神障害者保健福祉手帳を持つ人は、50〜59歳(20.4%)>40〜49歳(19.3%)>70歳以上(17.3%)>30〜39歳(13.1%)の順に多くなっています。
〇療育手帳を持つ人は、18〜39歳が最も多く、次いで0〜17歳が多くなっています。
国家試験では、次のように出題されました。
○「身体障害者手帳所持者のうち、65歳以上の者は3分の2を超えている。」(第31回問題56)→71.2%です。
×「身体障害者手帳所持者のうち、65歳以上の者は半分に満たない。」(第34回問題56)→71.2%です。
×「在宅の身体障害者と知的障害者を比較すると、知的障害者の方が身体障害者よりも65歳以上の者の割合が高い。」(第37回問題52)→身体は71.2%、知的は14.6%です。
×「精神障害者保健福祉手帳所持者のうち、最も多い年齢階級は「20歳〜29歳」である。」(第31回問題56)→最も多いのは50〜59歳です。
親との同居
ここまでの数字から、親と同居している人の割合の違いも説明できます。療育手帳の対象者は中途障害ではないため、19〜64歳の手帳対象者は91.2%が親と同居しています。
一方、身体障害者手帳所持者は、中高年になってから病気で障害を持つ人が多くなっています。結婚したあとに障害を有する場合も少なくなく、19〜64歳では、親(47.5%)より配偶者(48.8%)と暮らしている人のほうが多くなっています。
国家試験では、次のように出題されました。
×「19歳以上65歳未満の在宅の身体障害者と知的障害者を比較すると、知的障害者の方が身体障害者よりも親との同居率が低い。」(第37回問題52)→知的障害者(91.2%)のほうが、身体障害者(47.5%)より高くなっています。
サービスの利用
65歳未満の手帳所持者のうち、障害福祉サービスを利用している人は47.1%で、半数に届きません。65歳以上の手帳所持者で、介護保険の要介護・要支援の認定を受けている人は約4割です。
国家試験では、次のように出題されました。
×「「障害者手帳所持者等」(65歳未満)で、「障害者総合支援法」に基づく福祉サービスを利用している者は半数を超えている。」(第32回問題56)→47.1%で、半数に届きません。
×「65歳以上の障害者手帳所持者の3分の2以上が、介護保険法に基づくサービスを利用している。」(第33回問題56)→要介護・要支援の認定を受けている人が約4割です。
外出と収入
〇外出の頻度で最も多いのは、「1日に1回程度」です。
〇19〜64歳の手帳所持者の収入で最も多い区分は、「8万円以上15万円未満」です。
国家試験では、次のように出題されました。
×「「障害者手帳所持者等」(65歳未満)で、「外出の状況」をみると、「1ヶ月に1〜2日程度」が最も多い。」(第32回問題56)→最も多いのは「1日に1回程度」です。
×「18歳以上65歳未満の障害者手帳所持者のうち、一月当たりの平均収入として18万円〜21万円未満と答えた者が最も多い。」(第34回問題56)→最も多い区分は「8万円以上15万円未満」です。
以前の調査にあった項目
次の項目は、平成28年の調査にはありましたが、令和4年の調査にはありません。こういう問題が出題された、という目安として載せておきます。
〇今後の暮らしの希望
「「障害者手帳所持者等」(65歳未満)で、「今後の暮らしの希望」をみると、「施設で暮らしたい」が最も多い。」(第32回問題56、出題時の正答は×)
〇生活のしづらさの有無
「65歳未満の障害者手帳所持者で、「特に生活のしづらさは無かった」と答えた者は半数を超えている。」(第33回問題56、出題時の正答は×)
〇困った時の相談相手
「「障害者手帳所持者等」(65歳未満)で、「困った時の相談相手」をみると、家族が最も多い。」(第32回問題56、出題時の正答は○)
「障害者手帳所持者のうち、困った時の相談相手として、相談支援機関と答えた者が最も多い。」(第34回問題56、出題時の正答は×)
令和4年の調査には、日常的に支えている「主な支援者」の項目があり、最も多いのは家族・親戚(68.0%)です。
過去問を解いてみましょう
解説は、最新の数値に基づいています。
第31回 問題56
「平成28年生活のしづらさなどに関する調査(全国在宅障害児・者等実態調査)」における障害者の実態に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。
1 障害者手帳の種類別でみると、精神障害者保健福祉手帳所持者数が最も多い。
2 身体障害者手帳所持者のうち、65歳以上の者は3分の2を超えている。
3 療育手帳所持者数は、前回の調査時(平成23年)よりも減少している。
4 精神障害者保健福祉手帳所持者のうち、最も多い年齢階級は「20歳〜29歳」である。
5 身体障害者手帳所持者のうち、障害の種類で最も多いのは内部障害である。
解説
1→× 最も多いのは身体障害者手帳(415.9万人)です。
2→○ 65歳以上は71.2%で、3分の2を超えています。
3→× 療育手帳は114.0万人で、前回より増えています。
4→× 最も多いのは50〜59歳です。
5→× 最も多いのは肢体不自由で、内部障害は2番目です。
第32回 問題56
「平成28年生活のしづらさなどに関する調査(全国在宅障害児・者等実態調査)」(厚生労働省)における障害児・者の実態に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。
1 身体障害者手帳を所持している身体障害児(0〜17歳)では、内部障害が最も多い。
2 「障害者手帳所持者等」(65歳未満)で、「障害者総合支援法」に基づく福祉サービスを利用している者は半数を超えている。
3 「障害者手帳所持者等」(65歳未満)で、「今後の暮らしの希望」をみると、「施設で暮らしたい」が最も多い。
4 「障害者手帳所持者等」(65歳未満)で、「困った時の相談相手」をみると、家族が最も多い。
5 「障害者手帳所持者等」(65歳未満)で、「外出の状況」をみると、「1ヶ月に1〜2日程度」が最も多い。
(注)1「障害者総合支援法」とは、「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律」のことである。
(注)2「障害者手帳所持者等」とは、障害者手帳所持者及び障害者手帳非所持でかつ「障害者総合支援法」に基づく自立支援給付等を受けている者のことである。
解説
1→× 障害児でも肢体不自由が最も多くなっています。
2→× 65歳未満の手帳所持者で障害福祉サービスを利用している人は47.1%で、半数に届きません。
3→× 令和4年の調査には、この項目がありません。
4→○ 令和4年の調査には「困った時の相談相手」の項目はありません。日常的に支えている「主な支援者」では、家族・親戚が最も多くなっています。
5→× 最も多いのは「1日に1回程度」です。
第33回 問題56
厚生労働省の「平成28年生活のしづらさなどに関する調査(全国在宅障害児・者等実態調査)」及び「社会福祉施設等調査」(2018年(平成30年))に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。
1 65歳未満の障害者手帳所持者で、「特に生活のしづらさは無かった」と答えた者は半数を超えている。
2 就労移行支援サービス、就労継続支援(A型)サービス及び就労継続支援(B型)サービスのうち、利用実人員が最も多いのは就労継続支援(B型)サービスである。
3 65歳以上の障害者手帳所持者の「障害の原因」は、「事故・けが」が最も多い。
4 障害児通所支援等事業所のうち、利用実人員が最も多いのは、児童発達支援サービスである。
5 65歳以上の障害者手帳所持者の3分の2以上が、介護保険法に基づくサービスを利用している。
解説
1→× 令和4年の調査には、この項目がありません。
2→○ 令和6年の調査でも、利用実人員が最も多いのは就労継続支援B型です。
3→× 最も多いのは病気です。
4→× 最も多いのは放課後等デイサービスです。
5→× 65歳以上の手帳所持者で、要介護・要支援の認定を受けている人は約4割です。3分の2には届きません。
第34回 問題56
「平成28年生活のしづらさなどに関する調査(全国在宅障害児・者等実態調査)」(厚生労働省)における障害者の実態に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。
1 身体障害者手帳所持者のうち、65歳以上の者は半分に満たない。
2 身体障害者手帳所持者のうち、障害の種類で最も多いのは肢体不自由である。
3 障害者手帳所持者のうち、困った時の相談相手として、相談支援機関と答えた者が最も多い。
4 18歳以上65歳未満の障害者手帳所持者のうち、一月当たりの平均収入として18万円〜21万円未満と答えた者が最も多い。
5 障害者手帳の種類別でみると、療育手帳所持者が最も多い。
解説
1→× 65歳以上は71.2%です。
2→○ 最も多いのは肢体不自由(38.0%)です。
3→× 令和4年の調査では、日常的に支えている「主な支援者」で最も多いのは家族・親戚です。福祉サービス事業所や福祉施設の職員は1割に届きません。
4→× 令和4年の調査で、19〜64歳の手帳所持者の収入で最も多い区分は「8万円以上15万円未満」です。
5→× 最も多いのは身体障害者手帳です。
第37回 問題52
「令和4年生活のしづらさなどに関する調査」(厚生労働省)、「令和5年度障害者雇用実態調査」(厚生労働省)及び「令和5年版障害者白書」にみられる障害児・者の実態に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
1 2012年(平成24年)から2022年(令和4年)の間に、特別支援教育を受ける児童生徒の数は減少した。
2 身体障害者と知的障害者を比較すると、知的障害者の方が身体障害者よりも施設入所者の割合が高い。
3 19歳以上65歳未満の在宅の身体障害者と知的障害者を比較すると、知的障害者の方が身体障害者よりも親との同居率が低い。
4 在宅の身体障害者と知的障害者を比較すると、知的障害者の方が身体障害者よりも65歳以上の者の割合が高い。
5 雇用されている身体障害者と知的障害者を比較すると、知的障害者の方が身体障害者よりも週の所定労働時間が30時間以上である者の割合が高い。
解説
1→× 特別支援教育を受ける児童生徒の数は、増えています。
2→○ 知的は10.1%、身体は1.7%です。
3→× 親と同居している割合は、療育手帳を持つ人が91.2%、身体障害者手帳を持つ人が47.5%で、知的障害者のほうが高くなっています。
4→× 65歳以上の割合は、身体が71.2%、知的が14.6%です。
5→× 30時間以上の割合は、身体障害者が75.1%、知的障害者が64.2%です。


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