国民年金の第1号被保険者の独自給付|付加年金・寡婦年金・死亡一時金の要件と違い

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国民年金の第1号被保険者の独自給付 社会保障
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第1号被保険者だけにある給付

会社員や公務員は、国民年金の第2号被保険者であると同時に厚生年金保険の被保険者でもあり、老齢・障害・遺族基礎年金に厚生年金が上乗せされます。

一方、自営業者などの第1号被保険者には、この厚生年金の上乗せがありません。そのため国民年金法は、第1号被保険者だけを対象にした独自の給付を設けています。
①付加年金:老後の老齢基礎年金に上乗せする
②寡婦年金:夫が亡くなったとき、妻に60歳から65歳になるまで支給する
③死亡一時金:保険料を納めた者が亡くなり、遺族基礎年金を受けられる者がいないときに支給する

②③は、保険料を納めてきた者が年金を受けないまま亡くなったときに、納めた保険料に対する給付を、遺族が受け取れるようにする仕組みです。

国民年金の第1号・第2号・第3号被保険者についての記事はこちら。
→国民年金の被保険者|第1号・第2号・第3号を事例で確認

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付加年金と国民年金基金

付加年金は、第1号被保険者が国民年金の保険料に上乗せして付加保険料(月額400円)を納めると、老齢基礎年金に上乗せして支給される年金です(サラリーマンの厚生年金のような役割を担います)。

付加保険の対象者は、第1号被保険者のみであり、第2号被保険者、第3号被保険者は対象外です。

国民年金基金も、第1号被保険者が老齢基礎年金に上乗せするための仕組みです。付加年金と比較すると保険料は数万円程度となり、しっかりと上乗せ部分の年金を積み立てたい方用の制度です。国民年金基金に加入している者は付加保険料を納めることができないので、付加年金と国民年金基金のどちらか一方を選ぶことになります。

付加年金は、第31回問題52で「第一号被保険者を対象とする独自の給付」として○、第37回問題33で「第三号被保険者を対象とする独自の給付」として×で出題されています。

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寡婦年金

寡婦年金は、第1号被保険者だった夫が、老齢基礎年金を受けないまま亡くなったときに、妻に支給される年金です。夫が納めてきた保険料分の給付を、遺された妻が受け取ることができる仕組みであり、妻が60歳から65歳になるまで支給されます。

寡婦年金を受けるには、夫と妻の両方に要件があります。
①夫:第1号被保険者として保険料を納めた期間(免除された期間を含む)が10年以上ある
②夫:老齢基礎年金を受けたことがない
③妻:夫に生計を維持されていた
④妻:夫との婚姻関係が10年以上続いていた(事実婚を含む)

遺族基礎年金を受けていた妻も、子が18歳になった年度の末日を過ぎて遺族基礎年金がなくなったあと、60歳から寡婦年金を受けられます。同じ時期に両方を受けることはできず、その場合はどちらか一方を選びます。

名前のとおり妻だけを対象にした給付であり、夫が対象外です。

寡婦年金は、第38回問題36で、夫と死別した40歳の妻について「寡婦年金の支給を受けることができた」という選択肢で出題されています。60歳から65歳になるまでの給付なので、40歳の妻は受けられず×です。

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死亡一時金

死亡一時金は、第1号被保険者として保険料を納めてきた者が、年金を受けないまま亡くなり、遺族基礎年金を受けられる遺族もいないときに、遺族に一度だけ支給される給付です。

死亡一時金が支給される要件は次のとおりです。
①亡くなった者:第1号被保険者として保険料を納めた期間が36か月以上ある
②亡くなった者:老齢基礎年金も障害基礎年金も受けたことがない
③遺族:亡くなった者と生計を同じくしていた(配偶者、子、父母、孫、祖父母、兄弟姉妹の順)
④遺族基礎年金を受けられる者がいない

子のある配偶者や子がいる場合は遺族基礎年金が支給されるので、死亡一時金は支給されません。死亡一時金は、遺族基礎年金が出ない遺族のために、納めた保険料が無駄にならないようにする給付です。

妻が寡婦年金と死亡一時金の両方の要件を満たす場合は、どちらか一方を選びます。

項目 寡婦年金 死亡一時金 対象者 夫に生計を維持されていた妻 生計を同じくしていた遺族 配偶者・子・父母・孫・祖父母・兄弟姉妹 要件 ・死亡した者の第1号期間が 10年以上 ・死亡した者が老齢基礎年金を 受けていない ・婚姻関係が10年以上 ・死亡した者の第1号の保険料 納付が36か月以上 ・死亡した者が老齢基礎年金も 障害基礎年金も受けていない 支給 妻が60歳から65歳になるまでの年金 一時金 支給制限 ― 遺族基礎年金を受けられる者が いる場合 両方の要件を満たす妻は、どちらか一方を選択 国民年金法をもとに著者が作成した図です。無断転載・複製はご遠慮ください。

死亡一時金は、第36回問題52で、妻を業務上の事故で亡くした夫について、支給される給付の選択肢の一つとして出題されています。夫には中学生の子がいて遺族基礎年金を受けられるので、死亡一時金は×です。

夫が自営業の死亡事例で、寡婦年金と死亡一時金を三択で確認する一問一答はこちら。
→夫が自営業の死亡事例で考える一問一答(6問)|遺族基礎年金・寡婦年金・死亡一時金・葬祭費

夫が会社員の場合の遺族年金を三択で確認する一問一答はこちら。
→夫が会社員の死亡事例で考える一問一答(8問)|遺族基礎年金・遺族厚生年金・埋葬料・児童扶養手当

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過去問を解いてみましょう

第38回問題36

事例を読んで,Aさんの家族に適用される社会保障制度に関する次の記述のうち,最も適切なものを 1 つ選びなさい。
〔事 例〕
5 年前に夫と死別したAさん(40 歳)は,遺族基礎年金を受給しながら中学生の子どもBさんと 2 人で暮らしていたが,会社員のCさんと再婚し 3 人で一緒に暮らすようになった。Cさんは健康保険組合の被保険者である。AさんとBさんはCさんに生計を維持されるようになったが,CさんとBさんは養子縁組をする予定はない。

1 再婚前に,Aさんは児童扶養手当の支給を受けることができた。
2 再婚前に,Aさんは寡婦年金の支給を受けることができた。
3 再婚後も,Aさんは引き続き遺族基礎年金の支給を受けることができる。
4 再婚後は,AさんとBさんはCさんの健康保険の被扶養者になることができる。
5 再婚後は,AさんではなくCさんが児童手当の支給を受けることになる。

解説

1→× 遺族年金を受けている場合、児童扶養手当は、遺族年金の額が手当の額より低いときに差額分だけ支給されます。子の加算がついた遺族基礎年金は児童扶養手当の額を上回るので、Aさんは受けられません。
2→× 寡婦年金は60歳から65歳になるまでの給付です。40歳のAさんは受けられません。
3→× 遺族基礎年金の受給権は、再婚(婚姻)によってなくなります。
4→○ Cさんに生計を維持されていれば、配偶者のAさんも、Cさんと同居する配偶者の子のBさんも、Cさんの健康保険の被扶養者になれます。
5→× 児童手当は、児童を監護し生計を同じくする父母などに支給されます。CさんはBさんと養子縁組をしていないので、引き続きAさんが受けます。

第38回問題36の考え方についての記事はこちら。
→事例問題の解き方|社会保障 第38回問題36 遺族基礎年金・児童扶養手当・健康保険の被扶養者

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第36回問題52

事例を読んで,Hさんに支給される社会保障給付として,最も適切なものを 1 つ選びなさい。
〔事 例〕
Hさん(45 歳)は,妻と中学生の子との 3 人家族だったが,先日,妻が業務上の事故によって死亡した。Hさんは,数年前に,持病のためそれまで勤めていた会社を退職し,それ以来,無職,無収入のまま民間企業で働く妻の健康保険の被扶養者になっていた。

1 国民年金法に基づく死亡一時金
2 厚生年金保険法に基づく遺族厚生年金
3 国民年金法に基づく遺族基礎年金
4 健康保険法に基づく埋葬料
5 労働者災害補償保険法に基づく傷病補償年金

解説

1→× Hさんには中学生の子がいて遺族基礎年金を受けられるので、死亡一時金は支給されません。
2→× 現行の制度では、夫が遺族厚生年金を受けるには、妻が亡くなったときに55歳以上であることが必要です。45歳のHさんは対象になりません。この要件は2028年4月からの改正で見直されます。
3→○ 子のある配偶者として、Hさんは遺族基礎年金を受けられます。2014年4月から、父子家庭の父も対象になりました。
4→× 業務上の事故で亡くなった場合は、健康保険の埋葬料ではなく、労災保険の葬祭料が支給されます。
5→× 傷病補償年金は、療養を続けている労働者本人に支給される給付です。亡くなった場合の遺族には、遺族補償給付と葬祭料が支給されます。

2028年4月から施行される遺族厚生年金の改正についての記事はこちら。
→遺族厚生年金の改正を図で解説|妻と夫の差がなくなり60歳未満は5年の有期給付に

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第37回問題33

公的年金の給付に関する次の記述のうち,最も適切なものを 1 つ選びなさい。

1 老齢厚生年金は,受給権者が請求の手続きをとらなくても,支給開始年齢に達すれば自動的に支給が開始される。
2 老齢厚生年金を受給しながら就労する場合,収入によっては老齢厚生年金の一部又は全部の支給が停止される場合がある。
3 老齢基礎年金は,繰上げ受給又は繰下げ受給を選択できるが,いずれを選択しても受給額は変わらない。
4 障害基礎年金の受給者が遺族基礎年金の受給要件を満たした場合,両方の年金を受給することができる。
5 国民年金には,第三号被保険者を対象とする独自の給付として,付加年金がある。

解説

1→× 年金は、受給権者が請求の手続きをしないと支給されません。
2→○ 在職老齢年金です。賃金と老齢厚生年金の合計額によって、老齢厚生年金の一部または全部が支給停止になります。
3→× 繰上げ受給は減額され、繰下げ受給は増額されます。
4→× 障害基礎年金と遺族基礎年金は、どちらか一方を選んで受けます。
5→× 付加年金は、第1号被保険者を対象とする独自の給付です。第3号被保険者は付加保険料を納められません。

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