社会保険と公的扶助の違い
社会保障の給付の仕組みは、社会保険と社会扶助に分けられます。社会扶助の中心にあるのが公的扶助で、日本では生活保護がこれにあたります。
社会保険と公的扶助の違いを、観点ごとにまとめました。
社会保険は、あらかじめ保険料を納めることで、病気、けが、失業、加齢、要介護状態といった保険事故が起きたときに給付を受ける仕組みです。給付を受ける時点で資産や収入を調査することなく、保険料を納めていたという事実が、給付を受ける根拠になります。
公的扶助は、保険料の拠出を必要としません。資力調査によって、資産や収入では最低限度の生活を営めないことが確認された場合に、その不足分を補う形で給付が行われます。困窮に至った原因は問いません。
防貧と救貧
社会保険は、貧困に陥る前の段階で働きます。失業したときに基本手当が出る、病気で働けないときに傷病手当金が出る等、、収入が途絶えることによって生活が立ち行かなくなるのを防ぎます。このため防貧施策に位置付けられます。
公的扶助は、すでに困窮している人を救う仕組みです。これを救貧といいます。
過去問を確認しましょう
第34回問題51
社会保険と公的扶助に関する次の記述のうち,最も適切なものを 1 つ選びなさい。
1 社会保険は特定の保険事故に対して給付を行い,公的扶助は貧困の原因を問わず,困窮の程度に応じた給付が行われる。
2 社会保険は原則として金銭給付により行われ,公的扶助は原則として現物給付により行われる。
3 社会保険は救貧的機能を果たし,公的扶助は防貧的機能を果たす。
4 社会保険は事前に保険料の拠出を要するのに対し,公的扶助は所得税の納付歴を要する。
5 公的扶助は社会保険よりも給付の権利性が強く,その受給にスティグマが伴わない点が長所とされる。
解説
正答は1です。
1→○ 記述のとおりです。社会保険は保険事故が起きたときに給付し、公的扶助は原因を問わず、困窮の程度に応じて給付します。
2→× どちらにも金銭給付と現物給付があります。
3→× 社会保険が防貧、公的扶助が救貧です。
4→× 公的扶助に所得税の納付歴は必要ありません。
5→× 公的扶助は資力調査を伴うため、受給にスティグマが伴いやすいとされています。
第29回問題67
日本の公的扶助と公的年金保険の特質に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。
1 公的扶助は扶養義務者の扶養を優先するが、公的年金保険は扶養義務者の扶養を優先することなく給付される。
2 公的扶助は個人単位で給付されるが、公的年金保険は世帯単位で給付される。
3 公的扶助は画一的に給付されるが、公的年金保険は所得に応じて給付される。
4 公的扶助は原則として金銭で給付されるが、公的年金保険は原則として現物により給付される。
5 公的扶助は貧困予防のための給付であるが、公的年金保険は貧困救済のための給付である。
解説
正答は1です。
1→○ 記述のとおりです。生活保護法は、扶養義務者の扶養を保護に優先して行われるものと定めています。
2→× 生活保護は世帯単位で給付されます。公的年金保険は個人単位です。
3→× 生活保護は世帯の状況に応じて算定されます。画一的な給付ではありません。
4→× 公的年金保険は金銭で給付されます。
5→× 公的扶助が救貧、社会保険である公的年金保険が防貧です。


コメント