離婚時の年金分割の出題のポイント
離婚時の年金分割は、婚姻期間中の厚生年金の記録(標準報酬)を夫婦で分ける仕組みです。2004年の年金制度改正で導入されました。
離婚時の年金分割について、出題のポイントは次の三つです。
①何を分割するのか
②二種類の分割の仕方
③分割された年金はどのようにして支払われるのか
このポイントに着目しながら、以下を確認しましょう。
①分割するのは厚生年金の記録だけ
年金分割で分けるのは、厚生年金(報酬比例部分)の記録です。基礎年金は分割の対象になりません。
②分割の仕方は合意分割と3号分割の二つ
年金分割は合意分割と3号分割の二つです。
①合意分割:夫婦の合意で分ける割合を決める。合意できないときは、家庭裁判所が割合を定める
②3号分割:第3号被保険者だった者が請求すれば、相手の合意がなくても2分の1に分ける
合意分割と3号分割のどちらの場合も、分割されるのは厚生年金の記録だけで、基礎年金は分割されません。
③分割された年金は自分の支給開始年齢から
分割を受けた記録は、分割を受けた者自身の厚生年金の記録になります。そのため、分割を受けた記録に基づく老齢厚生年金を受けられるのは、自分が支給開始年齢に達してからです。相手が老齢厚生年金を受け始めても、その時点から分割分を受けられるわけではありません。年金分割は財産分与とは違い、離婚してすぐに現金化され支払われるわけではありません。
請求できる期間は離婚の翌日から5年に
年金分割の請求は、原則として離婚した日の翌日から5年以内に行います。5年になったのは2026年4月1日以降に離婚した場合で、それより前に離婚した場合は2年です。同じ2026年4月から、民法の財産分与を請求できる期間も2年から5年に延びました。
2026年4月施行の民法改正についての記事はこちら
→離婚後の共同親権|2026年4月施行の民法改正のポイントと法定養育費
離婚したあとの医療保険、年金、手当を事例で確認する一問一答はこちら
→離婚の事例で考える一問一答(6問)|任意継続・年金分割・児童扶養手当・母子父子寡婦福祉資金
過去問を解いてみましょう
第37回問題34
事例を読んで,Aさんに適用される社会保険制度に関する次の記述のうち,最も適切なものを1つ選びなさい。
〔事 例〕
Aさん(55歳)は配偶者のBさんと離婚した。Aさんは離婚以前,国民年金の第三号被保険者及び健康保険の被扶養者であった。二人の間に子はおらず,Aさんは,現在,単身で暮らしている。離婚時に年金分割の手続きは済ませている。
1 離婚前は,Bさんが,Bさん自身の厚生年金保険料に加えて,Aさんの国民年金保険料を納付していた。
2 Aさんは,離婚前に被扶養者の認定を受けていた健康保険の任意継続被保険者となることができる。
3 Aさんは,離婚の前後を通じて,介護保険料を市町村から直接徴収されている。
4 Aさんは,分割した年金記録に基づく老齢厚生年金を,自身の支給開始年齢に達するまでは受給できない。
5 Aさんは,国民年金保険料の納付猶予制度を利用することができる。
解説
1→× 第3号被保険者の保険料は、配偶者が加入する厚生年金保険が基礎年金拠出金としてまとめて負担しています。Bさんが、Aさんの国民年金保険料を個別に納めていたわけではありません。
2→× 任意継続被保険者になれるのは、退職した被保険者本人です。被扶養者だったAさんはなれません。
3→× 55歳のAさんは介護保険の第2号被保険者です。第2号被保険者の介護保険料は、加入している医療保険の保険料と一緒に納めます。離婚前は被扶養者だったので、Aさん自身が介護保険料を納めることはありませんでした。
4→○ 分割を受けた記録は、Aさん自身の厚生年金の記録になります。老齢厚生年金を受けられるのは、Aさんが支給開始年齢に達してからです。
5→× 国民年金保険料の納付猶予制度を利用できるのは、50歳未満の者です。
第38回問題34
2000年(平成12年)以降の公的年金の制度改正に関する次の記述のうち,最も適切なものを1つ選びなさい。
1 20歳以上の学生を国民年金の強制加入とした。
2 国民年金に障害基礎年金制度が創設された。
3 厚生年金保険において,離婚時の年金分割制度を導入した。
4 年金額の改定の仕組みとして,物価スライド制を導入した。
5 国民年金に第3号被保険者を設けた。
解説
1→× 20歳以上の学生が国民年金の強制加入になったのは、1991年です。
2→× 障害基礎年金は、1985年の改正で基礎年金とともに創設されました(1986年施行)。
3→○ 離婚時の年金分割は、2004年の改正で導入されました。合意分割は2007年4月、3号分割は2008年4月に始まりました。
4→× 物価スライド制は、1973年に導入されました。
5→× 第3号被保険者は、1985年の改正で設けられました(1986年施行)。
年金制度の改正の流れについての記事はこちら
→社会保障の歴史⑥|年金の歴史・1941年から2004年まで一気読み

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