生活環境の調整とは
刑務所や少年院を出た後、帰る場所がなかったり、生活の見通しが立たなかったりすると、再び罪を犯すことにつながりかねません。そこで、収容されている間に、釈放後の生活の準備を進めておく必要があります。これが生活環境の調整です。
更生保護法に基づくもので、次のような特徴があります。
・行うのは保護観察所(保護観察官と保護司が担当)
・収容されている間に行う(仮釈放や仮退院の決定後ではない)
・調整する内容は、帰住予定地、引受人、就業先や通学先の確保など
*生活環境の調整は、収容中に開始します。仮釈放や仮退院が決まってから始めるものではありません。
帰住予定地の家族などを訪問して協力を求めることもあります。本人の希望を確認せずに更生保護施設への帰住を決める、といった進め方をするものではありません。
特別調整とは
生活環境の調整のうち、高齢または障害があり、自立が困難な人を対象とするものを特別調整といいます。2009年(平成21年)から実施されています。
通常の生活環境の調整は、帰る場所や引受人を調整するものです。しかし、高齢や障害のために自力で生活することが難しい人の場合、住まいが決まっただけでは足りません。介護保険や障害福祉のサービス、生活保護など、福祉の制度につなぐ必要があります。
そこで、釈放後すぐに福祉サービスを受けられるよう、収容中から福祉側と調整を進める仕組みが作られました。
対象となるのは、次のような要件を満たす人です。
・高齢(おおむね65歳以上)であるか、身体・知的・精神の障害があること
・釈放後の住居がないこと
・福祉サービスを受ける必要があると認められること
・本人が特別調整を希望していること
*本人の同意が必要です。本人の意思に関係なく進めるものではありません。
地域生活定着支援センター
特別調整で、福祉側の窓口となるのが地域生活定着支援センターです。地域生活定着促進事業に基づき、すべての都道府県に設置されています。
保護観察所から依頼を受けて、福祉サービスの調整を行います。帰住先の施設を探したり、必要な手続を進めたり、退所後のフォローアップを行ったりします。
刑事司法と福祉をつなぐ役割を担う機関だと考えてください。
過去問を確認しましょう
第38回問題60
事例を読んで,更生保護法におけるAさんの生活環境の調整に関する次の記述のうち,最も適切なものを 1 つ選びなさい。
〔事 例〕
刑務所で受刑中であるAさん(80 歳)は,生活環境の調整が進められており,釈放後は引受人の長男のもとに帰住することが決まっているが,認知症が進み介護が必要な状態になりつつある。
1 Aさんの生活環境の調整は,社会復帰調整官が担当している。
2 Aさんは,特別調整の対象者である。
3 Aさんの帰住予定地を管轄する保護観察所は,当該地域の地域生活定着支援センターに福祉サービスの調整を依頼することができる。
4 Aさんの生活環境の調整を保護司が担当することはない。
5 Aさんの生活環境の調整の状況は,地方検察庁に通知される。
解説
正答は3です。
1→× 生活環境の調整を担当するのは保護観察官と保護司です。社会復帰調整官は医療観察法の業務を担当します。
2→× Aさんは長男のもとに帰住することが決まっていますので、住居がない場合という要件を満たしません。
3→○ 記述のとおりです。
4→× 保護司が担当します。
5→× 地方検察庁に通知されるという定めはありません。
第34回問題148
少年院に収容中の者に対する生活環境の調整に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
1 仮退院決定後、速やかに開始する。
2 裁判所の発する令状をもって開始する。
3 調整すべき事項に借金返済のための金品の給与が含まれる。
4 少年院の法務技官によって行われる。
5 調整すべき事項に釈放後の就業先や通学先の確保が含まれる。
解説
正答は5です。
1→× 収容中に開始します。仮退院が決定してから始めるものではありません。
2→× 令状によって開始するものではありません。
3→× 借金返済のための金品の給与は含まれません。
4→× 行うのは保護観察所です。少年院の職員ではありません。
5→○ 記述のとおりです。
第32回問題150
事例を読んで、Z保護観察所が行うDさんの生活環境の調整に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
〔事 例〕
U矯正施設に収容されたDさん(55歳、男性)は、施設からの釈放後に家族のもとで生活することを希望している。Z保護観察所に対し、U矯正施設からその旨の通知があった。
1 Dさんの生活環境の調整は、Dさんの仮釈放決定後に開始する。
2 Dさんの希望に関係なく、まずU矯正施設の所在地域にある更生保護施設への帰住を調整する。
3 Dさんの生活環境の調整を、保護司と協力して行うことは認められていない。
4 Dさんの生活環境の調整の方法として、Dさんの家族その他の関係人を訪問して協力を求めることがある。
5 Dさんの釈放後の就業先を確保することは、Dさんの生活環境の調整を行う事項に含まれない。
解説
正答は4です。
1→× 収容中に開始します。
2→× 本人の希望を確認せずに更生保護施設への帰住を進めるものではありません。
3→× 保護司と協力して行います。
保護司についてはこちら
保護司とは|保護司法改正 任期・委嘱・定数・身分を整理
4→○ 記述のとおりです。
5→× 就業先の確保は調整の対象に含まれます。
第38回問題61
地域生活定着支援センターは、地域生活定着促進事業に基づき、すべての都道府県に設置されている。
解説
→○ 記述のとおりです。


コメント