生活支援体制整備事業とは
生活支援体制整備事業は、介護保険法第115条の45第2項第5号に基づき、市町村が実施する事業です。地域支援事業のうち包括的支援事業の一つで、2014年(平成26年)の介護保険法改正で任意で実施する事業として導入され、2015年(平成27年)4月から実施されています。
【目的】高齢者の生活支援と介護予防のサービスを提供する体制を地域に整えることを目的としています。行政がサービスを増やすのではなく、地域にある担い手を見つけ、つなぎ、足りないものを作り出す形をとります。
【実施主体】市町村です。市町村が直接行うほか、地域包括支援センター、社会福祉協議会、その他の適切な団体に委託することもできます。
この事業の中身は、
①生活支援コーディネーター(地域支え合い推進員)の配置
②協議体の設置
の二つです。
地域支援事業の全体像についての記事はこちらです。
→地域支援事業とは|サービス・活動事業と一般介護予防事業・包括的支援事業・任意事業を整理
生活支援コーディネーター(地域支え合い推進員)
生活支援コーディネーターは、地域における生活支援サービスの体制整備を進める者です。地域支え合い推進員とも呼ばれます。市町村が配置します。
【業務】次の三つです。
・資源開発は、地域に不足しているサービスを作り出し、担い手を養成し、高齢者が活躍できる場を確保します。
・ネットワーク構築は、関係者の間の情報を共有し、連携できる関係を作ります。
・ニーズと取組のマッチングは、地域の支援ニーズと、活動している団体の取組とを結びつけます。
【資格要件】特定の資格は求められていません。地域における支え合いの推進に理解があり、多様な主体と連携できる者であれば就くことができます。社会福祉協議会の職員、地域包括支援センターの職員、地域で活動してきた者などが担っています。
配置は層に分かれます。
・第1層は、市町村全域を担当します。資源開発とネットワーク構築を行います。
・第2層は、中学校区を基本とする日常生活圏域を担当します。資源開発、ネットワーク構築、ニーズと取組のマッチングの三つすべてを行います。
・第3層は、個々のサービス提供主体に置かれるもので、市町村の判断で配置します。利用者と提供者のマッチングを行います。
協議体
協議体は、市町村が設置します。生活支援コーディネーターと、生活支援サービスの提供主体が、定期的に情報を共有し、連携を強化する場です。
【構成】市町村の職員、生活支援コーディネーター、地域包括支援センターの職員、社会福祉協議会、自治会や老人クラブなどの地縁組織、特定非営利活動法人、社会福祉法人、民間企業、ボランティア団体、民生委員などが参加します。介護の分野に限らず、地域で活動している多様な主体に参加を呼びかけます。
【設置の単位】第1層は市町村全域、第2層は日常生活圏域に置きます。生活支援コーディネーターの層と対応しています。
【役割】定期的な情報共有と連携強化を通じて、地域に不足している資源の開発を進めます。すでにある会議体を活用して協議体として位置づけることもできます。
協議体と地域ケア会議は別のものです。協議体は生活支援体制整備事業で設置し、資源開発を進める場です。地域ケア会議は地域ケア会議推進事業で開催し、個別の事例の検討を通じて地域課題を把握する場です。地域ケア会議で出てきた地域課題を協議体で検討することはできますが、二つは別の事業に基づいています。
過去問を解いてみましょう
第34回問題40
事例を読んで,U地域包括支援センターに配属されたB生活支援コーディネーター(地域支え合い推進員)が「協議体」の運営について提案したことに関する次の記述のうち,適切なものを 2 つ選びなさい。
〔事例〕
担当地域(小学校区)で協議体を組織するに当たり,B生活支援コーディネーターは,事務局を構成する予定の行政や社会福祉協議会の担当者と協議体の運営のための準備会を行うことになった。準備会では,B生活支援コーディネーターが,協議体の目的と,それを具体化するための方針を提案した。
(注)ここでいう「協議体」とは,介護保険の生活支援・介護予防サービスの体制整備に向けて,市町村が資源開発を推進するために設置するものである。
1 地域のニーズを共有化するために,これまで地域ケア会議で出された地域課題を検討することを提案した。
2 協議体を効率的に運営するために,既存の会議体で協議されている介護分野以外の内容については,協議の対象としないことを提案した。
3 多様な主体の協力を確保するために,地縁組織だけでなく,社会福祉法人や特定非営利活動法人などの民間団体にも参加を呼び掛けることを提案した。
4 地域づくりにおける意思統一を図るために,あらかじめ行政が目指す地域の姿を提示し,それに向かって協議することを提案した。
5 生活支援サービスを開発するために,市外の先行事例を紹介し,協議体の参加者にそれと同じ活動を実施することを提案した。
解説
1 ○ 地域ケア会議で把握された地域課題を協議体で共有し、資源開発につなげます。
2 × 協議体は介護分野に限らず、地域で活動する多様な主体が参加します。介護分野以外を外すと、地域の課題を広く扱えなくなります。
3 ○ 地縁組織に加えて、社会福祉法人や特定非営利活動法人などにも参加を呼びかけます。
4 × 行政が示した姿に向けて協議するのではなく、参加した主体が地域の実情を持ち寄って方向を決めます。
5 × 他の市の活動をそのまま実施するのではなく、地域の実情に応じた資源を開発します。
第36回問題41
事例を読んで,A市社会福祉協議会のG生活支援コーディネーター(社会福祉士)が提案する支援策等として,適切なものを 2 つ選びなさい。
〔事例〕
A市のUボランティアグループのメンバーから地域の空き家を活用した活動をしたいという相談があった。そこでGが「協議体」の会議で地区の民生委員に相談すると,その地区では外出せずに閉じこもりがちな高齢者が多いということであった。Gはグループのメンバーと相談し,そのような高齢者が自由に話のできる場にすることを目標に,週 2 回,通いの場を開設した。 1 年後,メンバーからは「顔馴染みの参加者は多くなったが,地域で孤立した高齢者が来ていない」という声が上がった。
(注)ここでいう「協議体」とは,介護保険制度の生活支援・介護予防サービスの体制整備に向けて,市町村が資源開発を推進するために設置するものである。
1 地域で孤立していると思われる高齢者が,通いの場になにを望んでいるかについて,地区の民生委員に聞き取り調査への協力を依頼する。
2 通いの場に参加している高齢者に対して,活動の満足度を調査する。
3 孤立した高齢者のための通いの場にするためにはなにが必要かについて「協議体」で議論する。
4 孤立した高齢者が参加するという目標を,現在の活動に合ったものに見直す。
5 孤立している高齢者向けに健康体操等の体を動かすプログラムを取り入れる。
解説
1 ○ 来ていない高齢者が何を望んでいるかを把握します。民生委員は地域の高齢者の状況を把握しており、協力を依頼する相手として適切です。
2 × すでに参加している高齢者の満足度を調べても、来ていない高齢者のニーズは分かりません。
3 ○ 協議体は資源開発を進める場です。何が必要かを多様な主体で議論します。
4 × 目標を現在の活動に合わせて下げると、孤立した高齢者に届かないままになります。
5 × プログラムを変えることが、孤立した高齢者が来ない理由への対応になるとは限りません。
第36回問題132
事例を読んで,病院のK医療ソーシャルワーカー(社会福祉士)が,この時点でLさんへの支援のために検討すべきこととして,最も適切なものを 1 つ選びなさい。
〔事例〕
Kは,変形性膝関節症で外来通院中のLさん(82歳,女性,独居,要支援 2 )から相談を受けた。Lさんは屋外の歩行が不自由で杖を使っているが,介護サービス等は利用していない。Lさんは,数年ぶりに趣味の歌舞伎鑑賞に出かけようと思い,介護保険制度のサービス利用について市役所に問い合わせたところ「本市では趣味のための移動支援は実施していない」と説明されたと言う。Lさんは転倒の心配もあり,歌舞伎鑑賞には見守り支援を利用したいと言っている。
1 Lさんの支援を在宅医療・介護連携推進事業の担当者に依頼する。
2 市役所の対応に関して,都道府県国民健康保険団体連合会へ苦情の申し立てを行うよう,Lさんに提案・助言を行う。
3 Lさんの歩行機能の改善を図るため,地域介護予防活動支援事業の利用を勧める。
4 Lさんの疑問や不安に対応してもらえるよう,介護サービス相談員と連携を図る。
5 Lさんの居住地を担当する「生活支援コーディネーター(第 2 層)」に連絡を取り,Lさんが利用できる,制度外の外出時の見守り支援策について相談・調整を図る。
(注)「生活支援コーディネーター(第 2 層)」は,中学校区域を基本とする日常生活圏域で業務に当たる職員である。
解説
1 × 在宅医療・介護連携推進事業は、医療と介護の連携を進める事業です。外出時の見守りは対象になりません。
2 × 市役所の説明は制度の運用を伝えたもので、苦情の申し立ての対象になる事柄ではありません。
3 × 地域介護予防活動支援事業は一般介護予防事業で、住民主体の介護予防活動を育成し支援する事業です。個人の歩行機能の改善を図るものではありません。
4 × 介護サービス相談員は、介護サービスの提供の場を訪問して利用者の相談に応じる者です。Lさんは介護サービスを利用していません。
5 ○ 生活支援コーディネーターは、制度によるサービス以外も含めて地域の資源を結びつけます。第2層は日常生活圏域を担当し、ニーズと取組のマッチングを行います。
第38回問題51
事例を読んで,次のうち,A市の地域包括支援センターのB社会福祉士が連携すべき相手として,適切なものを 2 つ選びなさい。
〔事例〕
Bは,民生委員から一人暮らしのCさん(70歳,男性)に関する相談を受けた。Cさんに結婚歴はなく,65歳の時にA市に転入し,警備会社で働いていたが,69歳の時に脳梗塞を発症して退職し,老齢厚生年金で生活している。右半身に不全感が残っており,文字を書くことに不自由さがあるが,生活に支障はない。
先日,民生委員が高齢者実態調査のために訪問した際,Cさんが住む民間賃貸住宅は以前から建て替えをすることが決まっており,立ち退きを求められていたが,周辺地域の家賃が高騰しており,引っ越し手続きや保証人等をどうしたらよいか分からないとの相談があった。
1 居住支援法人の担当者
2 生活支援体制整備事業の担当者
3 消費生活センターの担当者
4 日常生活自立支援事業の担当者
5 生活困窮者住居確保給付金の担当者
解説
1 ○ 居住支援法人は、住宅の確保に配慮を要する者に対し、賃貸住宅への入居に係る情報提供や相談、家賃債務保証などを行います。
2 × 生活支援体制整備事業は、地域の生活支援サービスの担い手を確保し、資源を開発する事業です。個別の転居の手続きに対応する相手ではありません。
3 × 消費生活センターは消費生活に関する苦情や相談に応じる機関です。建て替えに伴う立ち退きは対象になりません。
4 × 日常生活自立支援事業の対象は、判断能力が不十分な者です。Cさんは書字に不自由がありますが、生活に支障はありません。
5 ○ 住居確保給付金は、住居を失うおそれがある者に家賃相当額を支給します。
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