生活保護法の令和6年改正|特定被保護者と生活困窮者自立支援法の関係

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貧困に対する支援
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令和6年改正の全体像

令和6年4月24日に「生活困窮者自立支援法等の一部を改正する法律」(令和6年法律第21号)が公布されました。生活困窮者自立支援法、生活保護法、社会福祉法などをまとめて改正する法律で、このうち生活保護法に関する改正は8つの柱に整理されています。

8つの柱は次のとおりです。
①子どもの貧困への対応
②被保護者に対する自立支援の強化等
③被保護者の支援に関係する機関等の連携強化等
④医療扶助の適正実施等
⑤保護の実施機関についての特例
⑥社会福祉住居施設の適正な運営を図るための規定の整備等
⑦救護施設等の機能強化等
⑧居住サポート住宅における住宅扶助の代理納付原則化

改正は三段階に分けて実施され、それぞれの施行日は最後に表でまとめてあります。⑧だけは住宅セーフティネット法の改正と関連があるため、施行日の定め方が異なります。

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子どもの貧困への対応

進学・就職準備給付金

平成30年改正で創設された進学準備給付金は、生活保護世帯の子どもが大学等に進学する際に一時金を支給する制度でした。令和6年改正では、高等学校等を卒業して安定した職業に就く場合も支給の対象に加えられ、名称が進学・就職準備給付金に改められました(法第55条の5)。支給額は、自宅外から通学・通勤する場合が30万円、自宅から通学・通勤する場合が10万円です。

子どもの進路選択支援事業の創設

生活保護を受給している子育て世帯に対し、支援員が家庭を訪問するアウトリーチ型の方法で、学習・生活環境の改善、進路選択、奨学金の活用などに関する相談・助言や、関係機関との連絡調整を行う事業です。保護の実施機関が実施することができる任意事業として法定化されました。

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被保護者に対する自立支援の強化

3事業の法定化

被保護者就労準備支援事業、被保護者家計改善支援事業、被保護者地域居住支援事業が、生活保護法に任意事業として法定化されました(法第55条の10)。一方、生活困窮者自立支援法では、就労準備支援事業と家計改善支援事業が都道府県等の努力義務とされています。

特定被保護者を生活困窮者自立支援法の事業対象に

生活困窮者自立支援法に基づく就労準備支援事業、家計改善支援事業、地域居住支援事業を、特定被保護者が利用できることになりました。特定被保護者については、自立相談支援事業における支援プランの作成は不要とされています。

特定被保護者とは、将来的に保護を必要としなくなることが相当程度見込まれる者その他厚生労働省令で定める被保護者をいいます。

この改正の背景には、自治体が被保護者向けの事業を実施していない場合、その自治体の受給者は就労準備支援等を受けられないという問題がありました。生活困窮者自立支援法の事業を使えるようにすることで、支援からもれる人を減らすねらいです。

就労自立給付金の見直し

就労自立給付金は、安定した職業に就いたこと等により保護を必要としなくなったと認められた者に対し、保護廃止時に世帯単位で一括支給されるものです。令和6年改正では、早期に保護が廃止された場合の給付額を引き上げ、就労期間に応じて金額に差をつける算定方法に改められました。早期に保護を脱却したほうが有利になる設計です。

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関係機関の連携強化と医療扶助の適正実施

調整会議の創設

地域の関係機関が連携して情報を共有し、個別ケースに対する支援方針や役割分担を決定したり、地域課題を把握したりすることを目的として、保護の実施機関が調整会議を設置することができることになりました(法第27条の3)。構成員には社会福祉協議会、地域包括支援センター、教育委員会・学校関係者、民生委員・児童委員、NPO等の民間団体などが想定されています。

調整会議の事務に従事する者または従事していた者には守秘義務が課されています。また、生活困窮者自立支援法または社会福祉法に基づく支援会議との相互連携が努力義務とされました。設置は任意、守秘義務あり、支援会議との連携は努力義務、という3点で整理してください。

医療扶助の適正実施

都道府県によるデータ分析等を通じた市町村支援の仕組みが、努力義務として創設されました。

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施設・住まいに関する改正

居住地特例の対象拡大

有料老人ホームと軽費老人ホームについて、特定施設入居者生活介護を行うものに限られていた対象範囲が、介護保険の住所地特例と対象をそろえる形で、特定施設入所者全体に拡大されました。

無料低額宿泊所の罰則創設

平成30年改正で事前届出制の導入、最低基準の創設、改善命令の創設といった規制強化が行われましたが、無届の施設が残っている状況がありました。そこで令和6年改正では、事前届出義務に違反した場合の罰則(30万円以下の罰金)が創設され、あわせて、無届の疑いがある施設を発見した場合に市町村から都道府県へ通知する努力義務が設けられました。いわゆる貧困ビジネスへの対応として位置づけられています。

救護施設等の機能強化

救護施設等における通所事業の拡充と就労機能の強化はすでに施行されており、救護施設および更生施設における個別支援計画の作成が令和6年10月1日から義務化されました。

代理納付の原則化

住宅セーフティネット法の改正により、居住サポート住宅に生活保護受給者が入居する場合の住宅扶助等について、代理納付が原則化されました。居住サポート住宅とは、居住支援法人等が要配慮者のニーズに応じて安否確認、見守り、福祉サービスへのつなぎを行う住宅です。

施行日で整理する

施行日主な内容
令和6年4月24日(公布日)進学・就職準備給付金への改称と対象拡大/救護施設等における通所事業の拡充・就労機能の強化
令和6年10月1日子どもの進路選択支援事業の創設/就労自立給付金の算定方法の見直し/救護施設等における個別支援計画作成の義務化
令和7年4月1日被保護者就労準備支援事業等3事業の法定化(任意事業)/特定被保護者の事業利用/調整会議の設置規定の創設/都道府県による市町村支援(努力義務)/居住地特例の対象拡大/無料低額宿泊所の届出義務違反に対する罰則等

演習問題

問題1 令和6年の生活保護法等の改正に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。

1 進学準備給付金は、名称が進学・就職準備給付金に改められ、高等学校等を卒業して就職する者も支給の対象となった。 
2 子どもの進路選択支援事業は、保護の実施機関に実施が義務づけられた。 
3 被保護者就労準備支援事業は、保護の実施機関の努力義務として生活保護法に規定された。 
4 生活困窮者自立支援法に基づく就労準備支援事業を利用する特定被保護者については、自立相談支援事業における支援プランの作成が必要とされた。 
5 調整会議の事務に従事する者には、守秘義務は課されていない。
正答 1
1 ○ 大学等への進学者に加えて、高等学校等を卒業して安定した職業に就く者が支給対象に加えられ、名称も改められました。
2 × 任意事業です。保護の実施機関が実施することができる事業として法定化されました。
3 × 法定化された点は正しいですが、努力義務ではなく任意事業です。
4 × 特定被保護者については、支援プランの作成は不要とされています。
5 × 正当な理由なく事務に関して知り得た秘密を漏らしてはならないとされています。
問題2 令和6年の生活保護法等の改正に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。

1 特定被保護者は、生活困窮者自立支援法に基づく就労準備支援事業を利用することができない。 
2 無料低額宿泊所について、事前届出の義務に違反した場合の罰則が創設された。 
3 救護施設及び更生施設における個別支援計画の作成は、努力義務とされた。 
4 就労自立給付金は、保護の廃止までの就労期間が長いほど給付額が高くなる算定方法に改められた。 5 生活保護法の調整会議は、生活困窮者自立支援法の支援会議と同様に、設置が努力義務とされている
正答 2
1 × 利用できることになりました。この場合、自立相談支援事業における支援プランの作成は不要とされています。
2 ○ 社会福祉法の改正により、届出義務違反に対する罰則が創設されました。
3 × 努力義務ではなく義務化されました。
4 × 早期に保護が廃止された場合の給付額を引き上げる算定方法に改められました。
5 × 生活困窮者自立支援法の支援会議は令和6年改正で設置が努力義務とされましたが、生活保護法の調整会議の設置は任意です。

生活困窮者自立支援法そのものの全体像は、こちらで整理しています。
「生活困窮者自立支援法」を簡単に説明すると?概要を理解して試験に備えましょう

支援会議については、こちらで整理しています。
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