男女共同参画に関わる3つの法律
男女共同参画社会基本法(1999年)は、社会のあらゆる分野で男女がともに参画する社会をつくるために、基本理念と、国・地方公共団体・国民の責務を定めた法律です。「あらゆる分野で」「男女がともに参画する社会」をつくることが目的で、政府はこの法律に基づいて男女共同参画基本計画を策定し、おおむね5年ごとに見直しています。2026年3月13日には、第6次男女共同参画基本計画が閣議決定されました。
一方、雇用の分野では、個別の法律が具体的なルールを定めています。
〇男女雇用機会均等法(1985年)は、募集・採用、配置・昇進などでの性別による差別を禁止し、事業主にセクシュアルハラスメントを防止する措置を義務付けています。
〇女性活躍推進法(女性の職業生活における活躍の推進に関する法律)(2015年)は、事業主に女性の活躍に関する行動計画の策定と、女性の活躍状況の情報の公表を求めています。
3つの法律の目的、計画、罰則を並べると次のとおりです。
【計画】
都道府県・市町村に計画を求めているのは、男女共同参画社会基本法と女性活躍推進法です。男女共同参画社会基本法は都道府県計画が義務、市町村計画が努力義務です。女性活躍推進法は都道府県・市町村とも努力義務です。事業主に計画を求めているのは女性活躍推進法だけで、常時雇用する労働者が101人以上の事業主は一般事業主行動計画の策定が義務、100人以下の事業主は努力義務です。
【罰則】
男女共同参画社会基本法は、基本理念と施策の方向を定める法律で、罰則の規定を置いていません。男女雇用機会均等法と女性活躍推進法も、差別そのものを罰する規定は置いておらず、厚生労働大臣が求めた報告をしない・虚偽の報告をした事業主に過料を科しています。男女雇用機会均等法では、厚生労働大臣の勧告に従わない事業主の企業名を公表することもできます。
男女雇用機会均等法についての記事はこちらです。
→男女雇用機会均等法とLGBT理解増進法|間接差別・セクハラ措置義務・理念法の違い
2026年3月に閣議決定された第6次男女共同参画基本計画
男女共同参画基本計画は、男女共同参画社会基本法に基づいて政府が定める計画です。第5次計画は2020年(令和2年)12月に策定され、第6次計画は2026年(令和8年)3月13日に閣議決定されました。2030年度末までの施策の方向と具体的な取組を定めています。主な取組は次の五つです。
①あらゆる分野の意思決定への女性の参画拡大
②女性特有の健康課題への対応
③テクノロジーの進展を踏まえた男女共同参画の推進
④性犯罪・性暴力、DVなどへの対応の充実
⑤女性が活躍でき、暮らしやすい地域づくり
②の健康課題には、乳がんや子宮頸がんなど女性特有のがんに加えて、月経に伴う不調、妊娠・出産や不妊治療、更年期の症状などが含まれます。第6次計画は、ライフステージごとに変わる健康課題を切れ目なく支える「生涯を通じた男女の健康への支援」を掲げています。
女性活躍推進法の一般事業主行動計画と情報公表
女性活躍推進法は、事業主に二つのことを求めています。
①一般事業主行動計画の策定 自社の女性の活躍状況を把握して課題を分析し、数値目標と取組を盛り込んだ計画を策定して届け出ます。
②情報公表 女性の活躍に関する情報を、求職者などが見られるように公表します。
国や地方公共団体も特定事業主として、行動計画の策定と情報公表を行います。
女性活躍推進法は、制定時は2026年3月31日までの10年間の時限立法でした。2025年(令和7年)の改正で有効期限が2036年3月31日まで延長され、2026年4月1日からは、常時雇用する労働者が101人以上の事業主に、男女間賃金差異と女性管理職比率の公表が義務付けられました。
「+2項目以上」「+1項目以上」は、必須の項目に加えて事業主が選んで公表する項目です。301人以上の事業主は、女性労働者に対する職業生活に関する機会の提供(採用者に占める女性の割合など)と、職業生活と家庭生活との両立に資する雇用環境の整備(男女別の育児休業取得率など)から、それぞれ1項目以上を選びます。101~300人の事業主は、どちらかの区分から1項目以上を選びます。
同じ改正では、女性の活躍の推進は女性の健康上の特性に配慮して行うことが基本原則に加わり、政府の基本方針にハラスメント対策が位置付けられました。ハラスメントと法律についての記事はこちらです。
→労働施策総合推進法改正 ハラスメント|パワハラ・カスハラ・セクハラと事業主の措置義務
過去問を解いてみましょう
第33回 問題28(現代社会と福祉)
問題28 日本における男女共同参画に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
1 男女共同参画社会基本法は、男女が様々な活動に参加できるよう、性別役割分担の強化に努めなければならないとしている。
2 男女共同参画社会基本法は、男女が性別による差別的扱いを受けることを防止するため、行政機関や事業主に対する罰則を規定している。
3 男女共同参画社会基本法は、都道府県が都道府県男女共同参画計画を定めるように努めなければならないとしている。
4 2018年(平成30年)7月時点で、国家公務員の本省係長相当職以上の職員に占める女性の割合は3割に達していない。
5 「ジェンダー・ギャップ指数2020」における153か国の総合スコアでは、日本はジェンダー平等が進んでいる方から数えて上位50位以内に入っている。
(注)「ジェンダー・ギャップ指数2020」とは、世界経済フォーラムが2019年12月に報告書「グローバル・ジェンダー・ギャップ・レポート2020」において発表した、経済・政治・教育・健康の4分野における各国のジェンダー平等度を示す指数のことである。
解説
1→× 基本法は、性別による固定的な役割分担を反映した社会の制度や慣行が、男女の活動の選択に中立でない影響を及ぼさないよう配慮することを基本理念にしています。
2→× 基本法は基本理念と施策の方向を定める法律で、行政機関や事業主に対する罰則の規定は置いていません。
3→× 都道府県は都道府県男女共同参画計画を定めなければなりません。努力義務なのは市町村男女共同参画計画です。
4→○ 2018年7月時点で、本省係長相当職以上に占める女性の割合は3割に達していませんでした。最新の2025年(令和7年)7月時点では、本省係長相当職が30.8%、国の地方機関課長・本省課長補佐相当職が16.7%、本省課室長相当職が8.9%です。
5→× ジェンダー・ギャップ指数2020で、日本は153か国中121位でした。2026年は145か国中117位です。
※選択肢4・5の最新の数値は、内閣人事局「女性国家公務員の登用状況のフォローアップ」(2025年11月)と世界経済フォーラム「Global Gender Gap Report 2026」に基づいています。
ジェンダー・ギャップ指数についての記事はこちらです。
→ジェンダーギャップ指数とは|4分野のスコアと日本の順位を確認
第35回 問題31(現代社会と福祉)
問題31 男女雇用機会均等政策に関する次の記述のうち,最も適切なものを1つ選びなさい。
1 常時雇用する労働者数が101人以上の事業主は,女性の活躍に関する一般事業主行動計画を策定することが望ましいとされている。
2 セクシュアルハラスメントを防止するために,事業主には雇用管理上の措置義務が課されている。
3 総合職の労働者を募集・採用する場合は,理由のいかんを問わず,全国転勤を要件とすることは差し支えないとされている。
4 育児休業を取得できるのは,期間の定めのない労働契約を結んだフルタイム勤務の労働者に限られている。
5 女性労働者が出産した場合,その配偶者である男性労働者は育児休業を取得することが義務づけられている。
解説
1→× 女性活躍推進法は、常時雇用する労働者が101人以上の事業主に一般事業主行動計画の策定を義務付けています。努力義務なのは100人以下の事業主です。
2→○ 男女雇用機会均等法は、事業主にセクシュアルハラスメントを防止するための雇用管理上の措置を義務付けています。
3→× 合理的な理由がないのに、募集・採用で転居を伴う転勤に応じることを要件にすることは、男女雇用機会均等法の間接差別にあたります。
4→× 有期雇用の労働者も、子が1歳6か月に達する日までに労働契約が満了することが明らかでなければ、育児休業を取得できます。
5→× 育児休業は、労働者が申し出て取得するもので、取得は義務付けられていません。


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