社会福祉士及び介護福祉士法|義務等と行政処分・罰則、精神保健福祉士法との違い

第39回社会福祉士国家試験まで
あと―日
精神保健福祉士1日目まであと―日
ソーシャルワーク
スポンサーリンク

社会福祉士と精神保健福祉士の資格

社会福祉士及び介護福祉士法は、第29回から第38回まで毎回、この科目の最初の問題で出題されています。法律の基本的な内容は、皆さんがお持ちのテキストに書かれていると思いますので、この記事では過去問で問われたところを抜き出してまとめています。

社会福祉士の資格は1987年(昭和62年)に制定された社会福祉士及び介護福祉士法に、精神保健福祉士の資格は1997年(平成9年)に制定された精神保健福祉士法に定められています。

名称独占と登録

社会福祉士と精神保健福祉士は、どちらも名称独占の資格です。資格を持たない者は、その名称を使うことができません(社会福祉士及び介護福祉士法第48条、精神保健福祉士法第42条)。相談援助の業務そのものは、資格を持たない者も行うことができます。社会福祉士が相談援助の業務を独占するとした選択肢は、第31回問題91と第35回問題91で出題。

名称を使えるようになるのは、国家試験に合格したときではなく、登録簿に登録を受けたときからです(両法とも第28条)。資格を持たない者が名称を使ったときは、30万円以下の罰金が科されます。第29回問題91、第35回問題91で出題。

資格の更新

社会福祉士と精神保健福祉士には、資格を更新する制度がありません。知識や技能を新しくしていくことは、更新研修ではなく、後で説明する資質向上の責務として定められています。資格更新のための研修や講習を受けなければならないとする選択肢は、第29回問題91、第30回問題91、第31回問題91、第33回問題91で出題。

スポンサーリンク

社会福祉士の義務等と違反したときの処分

社会福祉士及び介護福祉士法は、社会福祉士に次の5つの義務等を定めています。

①誠実義務(第44条の2)は、担当する者の立場に立って誠実に業務を行うことを求めています。
②信用失墜行為の禁止(第45条)は、社会福祉士の信用を傷つけるような行為を禁じています。
③秘密保持義務(第46条)は、正当な理由なく業務上知り得た人の秘密を漏らすことを禁じています。社会福祉士でなくなった後も、この義務は続きます。
④連携(第47条)は、福祉サービス関係者等との連携を保つことを求めています。
⑤資質向上の責務(第47条の2)は、相談援助に関する知識と技能の向上に努めることを求めています。

このうち、違反したときに厚生労働大臣が登録の取消しや名称の使用停止を命じることができるのは、信用失墜行為の禁止と秘密保持義務の2つです(第32条第2項)。第38回問題64で出題。

禁止の形で書かれた義務

信用失墜行為の禁止は「信用を傷つけるような行為をしてはならない」、秘密保持義務は「秘密を漏らしてはならない」と、どちらも禁止の形で書かれています。禁止された行為に該当する義務違反があったかを厚生労働大臣が確認し、それに関する処分を判断します。

努力や目標の形で書かれた義務

誠実義務は「誠実にその業務を行わなければならない」、連携は「連携を保たなければならない」、資質向上の責務は「向上に努めなければならない」と書かれています。どれも社会福祉士が目指す姿や努力を定めたもので、義務違反の線引きが困難です。そのため、この3つは処分の対象に含まれていません。

条文の語尾が「努めなければならない」になっているのは、資質向上の責務だけです。第37回問題64で出題。

行政処分と刑罰の違い

義務に違反したときの扱いには、行政処分と刑罰の2つがあります。

①行政処分は、資格を登録している厚生労働大臣が決めます。処分内容は、登録の取消しや名称の使用停止です。裁判を経ずに、厚生労働大臣が決定できます。
②刑罰は、刑事裁判を経て裁判所が決めます。中身は拘禁刑や罰金で、法律に違反した行為そのものに対して科されます。

この2つは別々の手続で行われるものであり、どちらも対象になることがあり得ます。たとえば、社会福祉士が業務で知った利用者の秘密を漏らした場合、厚生労働大臣は登録を取り消すことができ、それとは別に、裁判所は1年以下の拘禁刑または30万円以下の罰金を科すことができます(第50条第1項)。

ただし、秘密保持義務違反の罪は、告訴がなければ公訴を提起することができない親告罪です(第50条第2項)。秘密を漏らされた人が告訴しなければ、刑事裁判の対象になりません。精神保健福祉士の秘密保持義務違反も、同じく親告罪とされています(精神保健福祉士法第44条)。

秘密保持義務は、行政処分と刑罰の両方の対象になります。信用失墜行為の禁止は、行政処分の対象で、刑罰の規定はありません。

行政処分についての記事はこちら
→行政処分(行政行為)とは|要介護認定や生活保護決定の公定力

精神保健福祉士の義務等

精神保健福祉士法も、誠実義務、信用失墜行為の禁止、秘密保持義務、連携等、資質向上の責務を定めています。社会福祉士と精神保健福祉士に共通する責務として資質向上を問う問題は、第34回問題91で出題。

社会福祉士と違うのは、主治の医師の指導です。精神保健福祉士は、業務を行うにあたって精神障害者に主治の医師があるときは、その指導を受けなければなりません(精神保健福祉士法第41条第2項)。この規定は精神保健福祉士だけにあり、違反したときは行政処分の対象になります。

社会福祉士が主治医の指示や指導を受けなければならないとする選択肢は、第29回問題91、第30回問題91、第33回問題91で出題。

義務等 社会福祉士 精神保健福祉士 違反したとき 誠実義務 第44条の2 第38条の2 ― 信用失墜行為の禁止 第45条 第39条 登録の取消し・名称の使用停止 秘密保持義務 第46条 第40条 登録の取消し・名称の使用停止 1年以下の拘禁刑または30万円以下の罰金 連携 第47条 第41条第1項 ― 主治の医師の指導 ― 第41条第2項 登録の取消し・名称の使用停止 (精神保健福祉士のみ) 資質向上の責務 第47条の2 第41条の2 ― 名称の使用制限 第48条 第42条 30万円以下の罰金 条文をもとに著者が作成した図です。無断転載・複製はご遠慮ください。
スポンサーリンク

社会福祉士及び介護福祉士法の制定と見直し

福祉関係三審議会合同企画分科会の意見具申

法律の制定の前に、福祉関係三審議会合同企画分科会が、福祉関係者の資格制度について意見具申を行いました。意見具申は、高齢化と福祉ニードへの専門的な対応、国際化と福祉専門家の養成、シルバーサービスの動向と資格制度の必要性の3つを挙げ、法律に基づく資格制度の導入が必要だとしました。あわせて、ボランティアの振興は欠かせないものであり、資格の法制化がそれを妨げるものであってはならない、とも述べています。第38回問題65で出題。

2007年(平成19年)の改正

誠実義務と資質向上の責務は、2007年(平成19年)の改正で新しく設けられました。信用失墜行為の禁止と秘密保持義務は、1987年(昭和62年)の制定時からある規定です。「信用失墜行為の禁止」が2007年の改正で加えられたとする選択肢は、第33回問題91で出題。

スポンサーリンク

過去問を解いてみましょう

第38回問題64

次のうち,社会福祉士及び介護福祉士法における社会福祉士の義務等について,その違反に対し行政処分が規定されているものとして,正しいものを2つ選びなさい。

1 誠実義務
2 信用失墜行為の禁止
3 秘密保持義務
4 連携
5 資質向上の責務

解説

1→×誠実義務(第44条の2)は、行政処分の対象に含まれていません。
2→○信用失墜行為の禁止(第45条)に違反したときは、厚生労働大臣が登録の取消しや名称の使用停止を命じることができます(第32条第2項)。
3→○秘密保持義務(第46条)に違反したときも、行政処分の対象になります(第32条第2項)。あわせて刑罰の対象にもなります(第50条)。
4→×連携(第47条)は、行政処分の対象に含まれていません。
5→×資質向上の責務(第47条の2)は、行政処分の対象に含まれていません。

第38回問題65

次の記述のうち,社会福祉士及び介護福祉士法の制定にかかる福祉関係三審議会合同企画分科会の意見具申の内容に関するものとして,適切なものを2つ選びなさい。

1 ボランティアの振興は不可欠なものであるが,資格の法制化が,それを阻害するものであってはならないとした。
2 専門職のあり方では職務の標準化より専門職化を重視し,スペシャリスト,専門職者(上級ソーシャルワーカー,中級ソーシャルワーカー),準専門職者に区分した。
3 社会福祉職員の量質両面での充実を図るため,公私の社会福祉専門職者を包括的に捉える専門職として社会福祉士(仮称)制度を提言し,処遇改善を図ろうとした。
4 社会福祉事業従事者が専門的な教育・訓練を受け,利用者に充分な処遇を行い,またそのための適切な従事者の確保と,職務にふさわしい社会的な地位と処遇の確立が急がれる,とした。
5 高齢化と福祉ニードへの専門的な対応,国際化と福祉専門家の養成,シルバーサービスの動向と資格制度の必要性に鑑み,法律に基づく資格制度の導入が必要であるとした。

解説

1→○意見具申は、ボランティアの振興は欠かせないものであり、資格の法制化がそれを阻害するものであってはならないと述べています。
2→×意見具申が資格制度を必要とした理由は、選択肢5の3つです。
3→×社会福祉士(仮称)制度の提言は、1971年(昭和46年)に中央社会福祉審議会職員問題専門分科会起草委員会が示した「社会福祉士法」制定試案の内容です。
4→×意見具申が資格制度を必要とした理由は、選択肢5の3つです。
5→○意見具申は、高齢化と福祉ニードへの専門的な対応、国際化と福祉専門家の養成、シルバーサービスの動向と資格制度の必要性の3つを挙げ、法律に基づく資格制度の導入が必要だとしました。

第37回問題64

次の記述のうち,社会福祉士及び介護福祉士法において社会福祉士が努めなければならないと規定されていることとして,最も適切なものを1つ選びなさい。

1 社会福祉士の信用を傷つけるような行為をしないこと。
2 福祉サービス関係者等との連携を保つこと。
3 相談援助に関する知識及び技能の向上を行うこと。
4 正当な理由がなく,その業務に関して知り得た人の秘密を漏らさないこと。
5 常にその者の立場に立って誠実にその業務を行うこと。

解説

1→×信用失墜行為の禁止(第45条)は「してはならない」と禁止の形で書かれています。
2→×連携(第47条)は「連携を保たなければならない」と書かれています。
3→○資質向上の責務(第47条の2)は「知識及び技能の向上に努めなければならない」と書かれています。
4→×秘密保持義務(第46条)は「漏らしてはならない」と禁止の形で書かれています。
5→×誠実義務(第44条の2)は「誠実にその業務を行わなければならない」と書かれています。

第36回問題91

社会福祉士及び介護福祉士法における社会福祉士の義務等に関連する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。

1 後継者の育成に努めなければならない。
2 秘密保持義務として,その業務に関して知り得た人の秘密は,いかなる理由があっても開示してはならない。
3 社会福祉士の信用を傷つけるような行為を禁じている。
4 社会福祉士ではなくとも,その名称を使用できる。
5 誠実義務の対象は,福祉サービスを提供する事業者とされている。

解説

1→×法律が定めているのは、自らの知識と技能の向上に努める資質向上の責務(第47条の2)です。
2→×第46条は「正当な理由がなく」秘密を漏らすことを禁じています。正当な理由があるときは開示できます。
3→○信用失墜行為の禁止(第45条)です。
4→×社会福祉士は名称独占の資格です。社会福祉士でない者は、その名称を使用できません(第48条)。
5→×誠実義務の対象は、社会福祉士が担当する者です(第44条の2)。

第35回問題91

次の記述のうち,社会福祉士に関する説明として,適切なものを2つ選びなさい。

1 虐待に関わる相談は,社会福祉士が独占している業務である。
2 社会福祉士は,特定の職種の任用資格になっている。
3 社会福祉士の名称は,国家試験の合格をもって使用することができる。
4 社会福祉士でない者が社会福祉士の名称を使用した場合に罰則がある。
5 介護老人保健施設に社会福祉士を置かなければならない。

解説

1→×社会福祉士は名称独占の資格です。相談援助の業務は、資格を持たない者も行うことができます。
2→○社会福祉士は、社会福祉主事や児童福祉司などの任用資格になっています。
3→×名称を使用できるのは、登録簿に登録を受けたときからです(第28条)。
4→○社会福祉士でない者が名称を使用したときは、30万円以下の罰金が科されます(第53条)。
5→×介護老人保健施設に置かれる相談職は支援相談員です。社会福祉士を置く義務は定められていません。

第34回問題91

社会福祉士及び介護福祉士法における社会福祉士と,精神保健福祉士法における精神保健福祉士に関する次の記述のうち,これらの法律に明記されている共通する責務として,正しいものを1つ選びなさい。

1 集団的責任の保持
2 権利擁護の促進
3 多様性の尊重
4 資質向上
5 倫理綱領の遵守

解説

1→×集団的責任は、ソーシャルワーク専門職のグローバル定義(2014年)に示された原理です。
2→×権利擁護の促進は、両法には明記されていません。両法が定める責務は、誠実義務、信用失墜行為の禁止、秘密保持義務、連携、資質向上の責務です。
3→×多様性の尊重は、グローバル定義に示された原理です。
4→○資質向上の責務は、社会福祉士(第47条の2)と精神保健福祉士(第41条の2)の両方に定められています。
5→×倫理綱領は、職能団体が定めるものです。両法に遵守の規定はありません。

コメント

タイトルとURLをコピーしました