3つの専門機関を整理するポイント
身体障害者更生相談所、知的障害者更生相談所、精神保健福祉センターはいずれも都道府県(指定都市)が設置する機関で、市町村に対する援助と、専門的な判定を担っています。
なぜこのような機関が都道府県に設置されているのか、共通する役割、機能に着目して整理します。
市町村と都道府県の役割分担
障害者総合支援法には多くのサービス(介護給付・相談支援・訓練等給付)や給付(自立支援医療・補装具)が規定されていますが、そのほとんどは市町村が支給決定をします。また介護給付については、障害支援区分の認定を行わなければなりません。これらの判断には医学的・心理学的な専門性が必要な場面がありますが、全ての市町村に専門性を有する職員が配置されているわけではありません。そこで、市町村の決定を専門的な立場から支える機関が必要だということです。
実際に、障害者総合支援法第26条は、都道府県が市町村に対し、その求めに応じて技術的事項についての協力その他市町村に対する必要な援助を行うと定めています。この援助を実際に担うのが、3つの専門機関です。
つまり、申請窓口としての機能や決定権は市町村にありますが、専門的な判定や助言は都道府県という構造です。
市町村が行う支給決定のプロセスについては、こちらで整理しています。
→介護給付のサービスと対象者|障害支援区分の認定プロセスを過去問で解説
身体障害者更生相談所
身体障害者福祉法第11条に基づき、都道府県が設置しなければなりません(指定都市は任意)。主な業務は以下の通りです。
①市町村相互間の連絡調整、市町村に対する情報提供等
②身体障害者に関する相談及び指導のうち、専門的な知識及び技術を必要とするものを行うこと。
③身体障害者の医学的、心理学的及び職能的判定を行うこと。
④必要に応じ、補装具の処方及び適合判定を行うこと。
⑤市町村の支給要否決定や補装具の支給要否決定について意見を述べ、技術的協力や援助を行うこと。
これらの専門性を有する機関として身体障害者福祉司を置かなければならないとされています。
各福祉士の要件等についてはこちらに整理しています
→身体障害者福祉司と知的障害者福祉司|配置される場所と任用要件を整理
知的障害者更生相談所
知的障害者福祉法第12条に基づき、都道府県が設けなければならない機関です。指定都市は任意)。主な業務は以下の通りです。身体障害者更生相談所とほぼ同様の内容でですが、知的障害者に「補装具」が必要ないので、その部分のみ削除されています。
①市町村相互間の連絡調整、市町村に対する情報提供等
②知的障害者に関する相談及び指導のうち、専門的な知識及び技術を必要とするものを行うこと。
③18歳以上の知的障害者の医学的、心理学的及び職能的判定を行うこと。
④市町村の支給要否決定について意見を述べ、技術的協力や援助を行うこと。
③に「18歳以上」とあるとおり、18歳未満の判定は児童相談所が行います。
これらの専門性を有する機関として知的障害者福祉司を置かなければならないとされています。
各福祉士の要件等についてはこちらに整理しています
→身体障害者福祉司と知的障害者福祉司|配置される場所と任用要件を整理
精神保健福祉センター
精神保健福祉法第6条に基づき、都道府県が置く機関です(指定都市にも置かれます)。精神保健及び精神障害者の福祉に関する技術的中核機関と位置づけられています。業務は次のとおりです。
①精神保健及び精神障害者の福祉に関する知識の普及を図り、及び調査研究を行うこと。
②精神保健及び精神障害者の福祉に関する相談及び指導のうち複雑又は困難なものを行うこと。
③精神医療審査会の事務を行うこと。
④精神障害者保健福祉手帳の交付の申請に対する決定、及び自立支援医療(精神通院医療)の支給認定に関する事務のうち、専門的な知識及び技術を必要とするものを行うこと。
⑤市町村の支給要否決定について意見を述べ、技術的協力や援助を行うこと
特に③④については、精神保健福祉士の専門科目での出題傾向が高い分野です。
精神保健福祉センターについては、こちらで詳しく整理しています。
自立支援医療については、こちらで整理しています。
→自立支援医療の3つの種類と対象者|更生・育成・精神通院の支給認定を行うのは誰か
3機関の比較
| 身体障害者更生相談所 | 知的障害者更生相談所 | 精神保健福祉センター | |
|---|---|---|---|
| 根拠法 | 身体障害者福祉法第11条 | 知的障害者福祉法第12条 | 精神保健福祉法第6条 |
| 設置主体 | 都道府県(必置) 指定都市(任意) | 都道府県(必置) 指定都市(任意) | 都道府県(必置) 指定都市(必置) |
| 配置される職員 | 身体障害者福祉司 (必置) | 知的障害者福祉司 (必置) | 精神保健福祉相談員 (任意) |
| 各法上の市町村への援助 | 連絡調整、情報提供その他必要な援助 | 連絡調整、情報提供その他必要な援助 | ― |
| 支給要否決定への関与 (総合支援法第22条第2項) | 市町村は意見を聴くことができる | 市町村は意見を聴くことができる | 市町村は意見を聴くことができる |
| 技術的協力その他の援助 (総合支援法第26条) | あり | あり | あり |
| 専門的な判定・事務 | 医学的・心理学的・職能的判定、補装具の処方及び適合判定 | 18歳以上の知的障害者の医学的・心理学的・職能的判定 | 精神医療審査会の事務、精神障害者保健福祉手帳・自立支援医療(精神通院医療)に関する専門的事務 |
過去問で確認しましょう
設置主体は、旧「福祉行財政と福祉計画」(現在の「地域福祉と包括的支援体制」に相当)から繰り返し出題されています。関連する選択肢を抜粋します。
第35回 問題45 中核市は、精神保健福祉センターを設置しなければならない。
→× 精神保健福祉センターの設置義務があるのは都道府県及び指定都市です。中核市に設置義務はありません。
第35回 問題45 市は、知的障害者更生相談所を設置しなければならない。
→× 知的障害者更生相談所を設けるのは都道府県です。指定都市は任意で設置できます。
第36回 問題46 市町村は、身体障害者更生相談所を設置しなければならない。
→× 身体障害者更生相談所を設置するのは都道府県です。
身体障害者更生相談所と知的障害者更生相談所については、設置義務や福祉司の配置を含めて、こちらで詳しく整理しています。
→身体障害者更生相談所と知的障害者更生相談所|設置主体と福祉司の配置を整理
精神保健福祉センターについては、こちらで詳しく整理しています。


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