障害者の定義の違い|障害者基本法・総合支援法・精神保健福祉法・発達障害者支援法を比較

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障害者の定義の違い 障害者福祉
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障害者の定義で出題された論点

障害者の定義は、法律ごとに異なります。社会福祉士の「障害者福祉」(旧科目「障害者に対する支援と障害者自立支援制度」)と、精神保健福祉士の「精神保健福祉の原理」の両科目で出題されており、出題のポイントは次のとおりです。

①障害者基本法の定義と社会的障壁(第38回問題53、第34回問題61、第29回問題61)
②障害者差別解消法・障害者虐待防止法の定義と障害者基本法の関係(第37回問題55、第33回問題57、第32回問題57、第27回問題56、第36回問題56)
③身体障害者・知的障害者・発達障害者の定義(第36回問題56、第35回問題61、第32回問題60、第29回問題61)
④障害者総合支援法と児童福祉法の定義、18歳の区切りと難病(第36回問題56、第30回問題57、第29回問題61)
⑤精神障害者の定義(精神保健福祉士第28回問題20)

一つの問題の選択肢に、いくつもの法律の定義が並ぶ形で出題されているので、法律ごとに条文を並べて整理しておきましょう。

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障害者基本法の障害者の定義と社会的障壁

障害者基本法は、障害者の定義を次のように定めています(第2条第1号)。

「身体障害、知的障害、精神障害(発達障害を含む。)その他の心身の機能の障害(以下「障害」と総称する。)がある者であつて、障害及び社会的障壁により継続的に日常生活又は社会生活に相当な制限を受ける状態にあるもの」

障害者基本法の対象は、次の順番で広がりました。

・1970年 心身障害者対策基本法の制定で、身体障害者と知的障害者(当時は精神薄弱者)が対象になる
・1993年 障害者基本法への改正・改称で、精神障害者が対象に加わる
・2011年 障害者基本法の改正で、発達障害が精神障害に含まれることと「その他の心身の機能の障害」が明記され、制限の原因に「社会的障壁」が加わる

2011年の改正前の定義は「身体障害、知的障害又は精神障害があるため、継続的に日常生活又は社会生活に相当な制限を受ける者」で、制限の原因を本人の心身の障害だけに置いていました。2011年の改正で「社会的障壁」が制限の原因に加わり、障害を社会との関係でとらえる社会モデルの考え方が取り入れられました。

社会的障壁は、障害がある者にとって日常生活又は社会生活を営む上で障壁となるような社会における事物、制度、慣行、観念その他一切のものをいいます(第2条第2号)。また、定義は「継続的に」制限を受ける状態としているので、けがなどで一時的に歩行が困難になった者は含まれません。

障害者差別解消法と障害者虐待防止法は、障害者基本法と同じ範囲の障害者を対象にしています。

障害者基本法の目的や基本原則、障害者計画についての記事はこちら
→障害者基本法をわかりやすく解説|障害者の定義・社会的障壁・障害者計画・障害者政策委員会

障害者差別解消法についての記事はこちら
→障害者差別解消法

国家試験では、障害者基本法の定義について次のように出題されました。
×「「障害者」とは、「身体障害、知的障害又は精神障害により、長期にわたり日常生活又は社会生活に相当な制限を受ける者をいう」と定義されている。」(第34回問題61)
→今の定義は、「その他の心身の機能の障害」を含み、「障害及び社会的障壁により継続的に」制限を受ける状態にあるものです。
×「社会モデルを踏まえた障害者の定義は、国際障害者年に向けた取組の一環として導入された。」(第34回問題61)
→社会的障壁を含む定義になったのは、2011年の改正です。国際障害者年は1981年です。
×「障害者基本法における「障害者」には、一時的に歩行困難になった者も含まれる。」(第29回問題61)
→定義は「継続的に」制限を受ける状態にあるものです。
×「心身障害者対策基本法が障害者基本法に改正、改称された際(1993年(平成5年))に、精神障害には発達障害が含まれることが明確にされた。」(第38回問題53)
→精神障害に発達障害が含まれることが明記されたのは、2011年の改正です。

国家試験では、障害者差別解消法と障害者虐待防止法の定義について次のように出題されました。
○「「障害者差別解消法」(2013年(平成25年))では、「障害者」について、障害者基本法と同様の定義がなされた。」(第27回問題56)
×「この法律に基づく障害者の定義は、障害者基本法に規定されている障害者の定義より狭い。」(第37回問題55)
×「障害者の定義は、障害者基本法に規定されている障害者の定義より広い。」(第33回問題57)
→どちらも同じ定義です。
×「2013年(平成25年)に成立した「障害者差別解消法」では、障害者を医学モデルに基づいて定義している。」(第32回問題57)
→社会的障壁を含む、社会モデルの考え方に立った定義です。
×「「障害者虐待防止法」における障害者とは、心身の機能の障害がある者であって、虐待を受けたものをいう。」(第36回問題56)
→障害者虐待防止法の障害者は、障害者基本法第2条第1号の障害者です。虐待を受けたかどうかは要件ではありません。

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身体障害者・知的障害者・発達障害者の定義

障害の種類ごとの法律は、それぞれの対象者を次のように定めています。

法律 定義(条文の言葉) 身体障害者福祉法 (第4条) 「別表に掲げる身体上の障害がある十八歳以上の者であつて、都道府県知 事から身体障害者手帳の交付を受けたもの」 知的障害者福祉法 知的障害者の定義の規定はありません。 発達障害者支援法 (第2条第2項) 「発達障害がある者であって発達障害及び社会的障壁により日常生活又は 社会生活に制限を受けるもの」(このうち十八歳未満のものが「発達障害 児」) 各法律の条文をもとに著者が作成した図です。無断転載・複製はご遠慮ください。

身体障害者福祉法の身体障害者は、18歳以上であることと、身体障害者手帳の交付を受けていることの両方が要件です。手帳の交付を受けていなければ、身体障害者福祉法の身体障害者にはあたりません。18歳未満の者は、児童福祉法の障害児として支援を受けます。

知的障害者福祉法には、知的障害者の定義がありません。療育手帳も法律に定められた手帳ではなく、国の通知(療育手帳制度要綱)にもとづいて、都道府県知事(指定都市の市長)が交付しています。知的障害の判定は、18歳未満は児童相談所、18歳以上は知的障害者更生相談所が行いますが、判定を受けた者を知的障害者とする規定もありません。

発達障害者支援法の定義には、障害者基本法と同じく「社会的障壁」が入っています。発達障害は、自閉症、アスペルガー症候群その他の広汎性発達障害、学習障害、注意欠陥多動性障害その他これに類する脳機能の障害であって、その症状が通常低年齢において発現するものとして政令で定めるものです(第2条第1項)。

国家試験では、身体障害者・知的障害者・発達障害者の定義について次のように出題されました。
○「発達障害者とは、発達障害がある者であって発達障害及び社会的障壁により日常生活又は社会生活に制限を受けるものをいう。」(第32回問題60)
×「身体障害者の定義は、身体障害者手帳の交付を受けたかどうかにかかわらず、別表に掲げる身体上の障害がある18歳以上の者をいうと規定されている。」(第35回問題61)
→身体障害者手帳の交付を受けていることが要件です。
×「知的障害者福祉法における知的障害者とは、知的障害がある者であって、都道府県知事から療育手帳の交付を受けたものをいう。」(第36回問題56)
×「知的障害者福祉法における「知的障害者」とは、児童相談所において知的障害であると判定された者をいう。」(第29回問題61)
→知的障害者福祉法には、知的障害者の定義がありません。
×「発達障害者支援法における発達障害者とは、発達障害がある者であって、教育支援を必要とするものをいう。」(第36回問題56)
→発達障害者の定義は、発達障害及び社会的障壁により日常生活又は社会生活に制限を受けるものです。

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障害者総合支援法と児童福祉法の定義

障害者総合支援法は、障害の種類ごとの法律の定義を使って、サービスの対象になる障害者を定めています(第4条第1項)。障害児は、児童福祉法の障害児をそのまま使っています(第4条第2項)。

区分 対象になる者 障害者 (障害者総合支援法 第4条第1項) ①身体障害者福祉法第4条の身体障害者 ②知的障害者福祉法にいう知的障害者のうち十八歳以上の者 ③精神保健福祉法第5条第1項の精神障害者(発達障害者を含み、知的障害 者を除く)のうち十八歳以上の者 ④治療方法が確立していない疾病その他の特殊の疾病(難病等)による障 害の程度が主務大臣が定める程度である十八歳以上の者 障害児 (児童福祉法 第4条第2項) 身体に障害のある児童、知的障害のある児童、精神に障害のある児童(発 達障害児を含む)、難病等による障害の程度が主務大臣が定める程度であ る児童(児童は満十八歳に満たない者) 各法律の条文をもとに著者が作成した図です。無断転載・複製はご遠慮ください。

障害者総合支援法の障害者は18歳以上と規定されており、18歳未満は児童福祉法の障害児です。なお、障害児も、居宅介護や短期入所など、障害者総合支援法のサービスの一部を利用できます。定義の区切りと、利用できるサービスの範囲は分けて理解しておきましょう。

障害者総合支援法の対象は、次の順番で広がりました。

・2005年 障害者自立支援法の制定で、身体障害者・知的障害者・精神障害者が対象になる
・2010年 障害者自立支援法の改正で、発達障害者が精神障害者に含まれることが明記される
・2012年 障害者総合支援法への改正で、難病等の者が対象に加わる(2013年4月施行)

障害者総合支援法の改正の流れについての記事はこちら
→障害者総合支援法の改正経緯年表で整理|応能負担へ・発達障害者を対象者へ明記

国家試験では、障害者総合支援法と児童福祉法の定義について次のように出題されました。
○「「障害者総合支援法」における障害者の定義では、難病等により一定の障害がある者を含む。」(第36回問題56)
×「「障害者総合支援法」における「障害者」は、20歳以上の者とされている。」(第29回問題61)
×「児童福祉法における障害児の定義では、障害がある者のうち、20歳未満の者をいう。」(第36回問題56)
→区切りは18歳です。障害者総合支援法の障害者は18歳以上、児童福祉法の障害児は18歳未満です。
×「「障害者総合支援法」の施行により、同法による障害者の範囲に発達障害者が新たに含まれた。」(第30回問題57)
→発達障害者が含まれることが明記されたのは、2010年の障害者自立支援法の改正です。障害者総合支援法の施行で加わったのは難病等です。

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精神障害者の定義(精神保健福祉法・障害者基本法・障害者総合支援法)

精神障害者の定義は、精神保健福祉士の「精神保健福祉の原理」で出題されています。出題基準の小項目には、障害者基本法、障害者総合支援法、精神保健福祉法の三つが挙げられています。

法律 定義(条文の言葉) 精神保健福祉法 (第5条第1項) 「統合失調症、精神作用物質による急性中毒又はその依存症、知的障害その 他の精神疾患を有する者」 障害者基本法 (第2条第1号) 「身体障害、知的障害、精神障害(発達障害を含む。)その他の心身の機能 の障害(以下「障害」と総称する。)がある者であつて、障害及び社会的障 壁により継続的に日常生活又は社会生活に相当な制限を受ける状態にあるも の」(障害者の定義) 障害者総合支援法 (第4条第1項) 「精神保健及び精神障害者福祉に関する法律第五条第一項に規定する精神障 害者(発達障害者支援法(平成十六年法律第百六十七号)第二条第二項に規 定する発達障害者を含み、知的障害者福祉法にいう知的障害者を除く。…) のうち十八歳以上である者」(障害者の定義のうち精神障害者の部分) 各法律の条文をもとに著者が作成した図です。無断転載・複製はご遠慮ください。

精神保健福祉法の定義は、病名を並べた医学的な定義で、知的障害も含まれています。障害者総合支援法は、この精神保健福祉法の精神障害者をもとにしながら、発達障害者を含め、知的障害者を除いています。知的障害者は、障害者総合支援法では別に「知的障害者」として対象になるからです。「社会的障壁」が入っているのは、障害者基本法の定義です。

ほかの法律の定義も選択肢として出題されたので、あわせて確認しておきます。

・難病法の難病→発病の機構が明らかでなく、かつ、治療方法が確立していない希少な疾病であって、長期にわたり療養を必要とすることとなるもの(第1条)
・障害者雇用促進法の障害者→障害があるため、長期にわたり、職業生活に相当の制限を受け、又は職業生活を営むことが著しく困難な者(第2条第1号)

国家試験では、精神保健福祉法の精神障害者の定義について次のように出題されました。
○「精神作用物質による急性中毒又はその依存症の者」(精神保健福祉士第28回問題20)
×「社会的障壁により継続的に日常生活又は社会生活に相当な制限を受ける状態にある者」(精神保健福祉士第28回問題20)
→「社会的障壁」が入っているのは、精神保健福祉法ではなく、障害者基本法の定義です。
×「「精神保健福祉法」における「精神障害者」とは、精神障害がある者であって精神障害及び社会的障壁により日常生活又は社会生活に制限を受けるものをいう。」(第29回問題61)
→精神保健福祉法の定義は、統合失調症などの精神疾患を有する者です。

過去問を解いてみましょう

第36回問題56(障害者に対する支援と障害者自立支援制度)

障害者等の法律上の定義に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。

1 「障害者虐待防止法」における障害者とは、心身の機能の障害がある者であって、虐待を受けたものをいう。
2 「障害者総合支援法」における障害者の定義では、難病等により一定の障害がある者を含む。
3 知的障害者福祉法における知的障害者とは、知的障害がある者であって、都道府県知事から療育手帳の交付を受けたものをいう。
4 発達障害者支援法における発達障害者とは、発達障害がある者であって、教育支援を必要とするものをいう。
5 児童福祉法における障害児の定義では、障害がある者のうち、20歳未満の者をいう。
(注)1 「障害者虐待防止法」とは、「障害者虐待の防止、障害者の養護者に対する支援等に関する法律」のことである。
2 「障害者総合支援法」とは、「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律」のことである。

解説

1→×障害者虐待防止法の障害者は、障害者基本法第2条第1号の障害者です。虐待を受けたかどうかは要件ではありません。
2→○障害者総合支援法の障害者には、難病等による障害の程度が主務大臣が定める程度である18歳以上の者が含まれます。
3→×知的障害者福祉法には、知的障害者の定義がありません。療育手帳は国の通知にもとづく手帳です。
4→×発達障害者は、発達障害がある者であって発達障害及び社会的障壁により日常生活又は社会生活に制限を受けるものです。
5→×児童福祉法の児童は満18歳に満たない者で、障害児も18歳未満です。

第29回問題61(障害者に対する支援と障害者自立支援制度)

障害者の法律上の定義に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。

1 障害者基本法における「障害者」には、一時的に歩行困難になった者も含まれる。
2 発達障害者支援法における「発達障害者」とは、発達障害がある者であって発達障害及び社会的障壁により日常生活又は社会生活に制限を受けるものをいう。
3 「障害者総合支援法」における「障害者」は、20歳以上の者とされている。
4 知的障害者福祉法における「知的障害者」とは、児童相談所において知的障害であると判定された者をいう。
5 「精神保健福祉法」における「精神障害者」とは、精神障害がある者であって精神障害及び社会的障壁により日常生活又は社会生活に制限を受けるものをいう。

解説

1→×障害者基本法の障害者は、継続的に日常生活又は社会生活に相当な制限を受ける状態にあるものです。一時的に歩行が困難になった者は含まれません。
2→○発達障害者支援法第2条第2項の定義のとおりです。
3→×障害者総合支援法の障害者は18歳以上の者です。
4→×知的障害者福祉法には、知的障害者の定義がありません。
5→×精神保健福祉法の精神障害者は、統合失調症、精神作用物質による急性中毒又はその依存症、知的障害その他の精神疾患を有する者です。社会的障壁は定義に入っていません。

精神保健福祉士 第28回問題20(精神保健福祉の原理)

次のうち、「精神保健福祉法」の精神障害者の定義に示されているものとして、正しいものを1つ選びなさい。

1 社会的障壁により継続的に日常生活又は社会生活に相当な制限を受ける状態にある者
2 精神作用物質による急性中毒又はその依存症の者
3 発病の機構が明らかでなく、かつ、治療方法が確立していない希少な疾病の者
4 職業生活を営むことが著しく困難な者
5 静止時振戦、筋固縮、寡動・無動、姿勢反射障害の症状がみられる者
(注)「精神保健福祉法」とは、「精神保健及び精神障害者福祉に関する法律」のことである。

解説

1→×「社会的障壁により」が入っているのは、障害者基本法の定義です。
2→○精神保健福祉法の定義には、統合失調症、知的障害などとともに、精神作用物質による急性中毒又はその依存症が挙げられています。
3→×発病の機構が明らかでなく、治療方法が確立していない希少な疾病は、難病法の難病の定義です。
4→×職業生活を営むことが著しく困難な者は、障害者雇用促進法の障害者の定義の言葉です。
5→×静止時振戦、筋固縮などは、パーキンソン病の症状です。

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