海外の社会保障の過去問|アメリカ・イギリス・ドイツ・スウェーデンの制度と福祉の歴史

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海外の社会保障の過去問|アメリカ・イギリス・ドイツ・スウェーデンの制度と福祉の歴史 社会福祉の原理と政策
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海外の社会保障で押さえること

海外の社会保障は、社会保障の科目では「諸外国における社会保障制度」として、社会福祉の原理と政策(旧:現代社会と福祉)では、イギリスとアメリカの福祉の歴史として出題されています。この記事では、両方の科目から過去問を集めました。

並べてみると、両科目から問われている事実は限られています。第27回から第38回までに出題されたものを、正解の選択肢だけでなく誤りの選択肢に使われた事実も含めて国ごとにまとめると、次のとおりです。過去に問われた内容をほぼ網羅しています。教科書にさまざま書かれている細かなことに気をとらわれず、まず大事なことをしっかりと押さえて、過去問を解いてみてください。

アメリカ

・全国民を対象とする公的な医療保障制度はなく、国民皆保険ではありません(第31回、第37回)。
・公的医療保険は、高齢者等のメディケアと、低所得者のメディケイドです(第29回、第33回)。メディケアは1965年に導入されました(第36回)。メディケイドも同じ1965年です。
・社会保障法は、1930年代のニューディール政策で1935年に制定されました(第36回)。
・公民権法は1964年、ADA(障害を持つアメリカ人法)は1990年、TANF(貧困家族一時扶助)は1996年です(第36回)。
・TANFは「福祉から就労へ」の政策転換でした(第30回)。

アメリカの社会保障の歴史についての記事はこちらです。
→アメリカの社会保障の歴史|社会保障法・メディケア・メディケイドからオバマケアまで

イギリス

・医療は、租税を主な財源とする国民保健サービス(NHS)で保障しています(第29回、第31回、第37回)。
・救貧法の時代は、居住地法(1662年)、ワークハウステスト法(1722年)、ギルバート法(1782年)、スピーナムランド制度(1795年)、新救貧法(1834年)の順で貧困に関する法律(制度)が制定されました。スピーナムランド制度は、パンの価格と家族の人数をもとに賃金との差額を補助しました。新救貧法は劣等処遇の原則を採用しました(第28回、第38回)。
・慈善組織協会(COS)は、救済に値する貧民を民間の慈善で救済することを主張しました(第28回)。
・ブースはロンドンで貧困調査を行い、「貧困線」の概念を示しました。ラウントリーが調査を行ったのはヨークです(第28回、第34回)。
・1908年の老齢年金法は、資力調査を条件に年金を支給しました(第28回)。
・ナショナル・ミニマムを示したのはウェッブ夫妻です(第28回、第32回)。
・ベヴァリッジ報告は、社会保険を中心に、国民扶助と任意保険を組み合わせる社会保障計画を示しました。疾病、失業、老齢、稼得者の死亡などのリスクを想定していましたが、仕事と家庭の両立の困難は想定していませんでした(第27回、第32回、第34回)。
・福祉サービスの供給主体の多元化を示したのは、ウルフェンデン報告です(第32回)。
・1960年代に、エイベル‒スミスとタウンゼントが貧困の再発見の契機をつくりました。タウンゼントの相対的剥奪は、標準的な生活様式から締め出されている状態を指します(第34回)。
・「第三の道」を掲げたのはブレア政権で、サッチャー政権ではありません。「大きな社会」はキャメロン政権の理念です(第30回、第32回、第34回)。

ドイツ

・介護保険では、公的医療保険の加入者が年齢にかかわらず被保険者になります(第29回)。
・介護保険では、介護手当(現金給付)を選ぶことができます(第31回)。
・介護保険は、障害者も対象にしています(第30回)。
・公的年金は職域ごとに制度が分かれていて、全国民共通の一元的な制度ではありません(第37回)。
・社会福祉は、民間の活動を優先し、公的サービスがそれを補う補完性の原則に基づいています(第33回)。

フランス

・医療保険の外来診療は、患者がいったん支払い、後で払い戻しを受ける償還払いが原則です(第29回、第37回)。
・医療保険は、被用者、自営業者、農業者など職域ごとに制度が分かれています(第31回)。

スウェーデン

・公的年金は、完全積立方式ではありません(第29回、第37回)。
・介護保険制度はなく、介護サービスは税を財源にコミューンが提供しています(第31回)。
・社会サービス法では、住民が必要な援助を受けられるよう、コミューンが最終責任を負います(第33回)。
・エーデル改革(1992年)で、高齢者の介護サービスの実施責任がコミューンに一元化されました(第30回)。

そのほかの国

・韓国の老人長期療養保険は、税方式ではなく社会保険方式です(第33回)。
 →日本の介護保険に近いと表現されています
・中国の一人っ子政策は、2015年に廃止されました(第33回)。

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諸外国の医療・年金・介護の制度(社会保障)

第29回 問題55

諸外国における社会保障制度に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。

1 アメリカには、国民保健サービス(NHS)と呼ばれる、原則無料の医療保障制度がある。
2 イギリスには、高齢者向けのメディケアという公的な医療保障制度がある。
3 ドイツの介護保険制度では、公的医療保険の加入者が年齢にかかわらず被保険者となる。
4 スウェーデンの老齢年金は、完全積立の財政方式に移行している。
5 フランスの医療保険では、外来診療に要した費用は保険者から直接医療機関に支払われるのが原則である。

解説

正答:3

1→× 国民保健サービス(NHS)はイギリスの制度です。
2→× メディケアはアメリカの高齢者等の医療保険です。
3→○ ドイツの介護保険は、公的医療保険の加入者が年齢にかかわらず被保険者になります。
4→× スウェーデンの老齢年金は、完全積立方式には移行していません。
5→× フランスの外来診療は、患者がいったん支払い、後で払い戻しを受ける償還払いが原則です。

第31回 問題55

諸外国における医療や介護の制度に関する次の記述のうち、正しいものを2つ選びなさい。

1 アメリカには、全国民を対象とする公的な医療保障制度が存在する。
2 イギリスには、医療サービスを税財源により提供する国民保健サービスの仕組みがある。
3 フランスの医療保険制度では、被用者、自営業者及び農業者が同一の制度に加入している。
4 ドイツの介護保険制度では、介護手当(現金給付)を選ぶことができる。
5 スウェーデンには、介護保険制度が存在する。

解説

正答:2と4

1→× アメリカには、全国民を対象とする公的な医療保障制度はありません。
2→○ イギリスの国民保健サービス(NHS)は、税を財源に医療サービスを提供しています。
3→× フランスの医療保険は、被用者、自営業者、農業者など職域ごとに制度が分かれています。
4→○ ドイツの介護保険では、現物給付のほかに介護手当(現金給付)を選べます。
5→× スウェーデンに介護保険制度はありません。介護サービスは税を財源にコミューンが提供しています。

第37回 問題36

諸外国における公的医療と公的年金の制度に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。

1 フランスの公的医療保険は、制度創設以来、外来診療については現物給付を原則としている。
2 ドイツの公的年金制度は、全国民共通の一元的な所得比例年金の構造となっている。
3 スウェーデンの公的年金制度は、完全積立の財政方式をとっている。
4 イギリスでは、租税を主財源とする医療サービスにより公的医療を保障している。
5 アメリカでは、連邦政府運営の公的医療保険によって国民皆保険を実現している。

解説

正答:4

1→× フランスの外来診療は、償還払いが原則です。
2→× ドイツの公的年金は職域ごとに制度が分かれていて、全国民共通の一元的な制度ではありません。
3→× スウェーデンの公的年金は、完全積立方式ではありません。
4→○ イギリスは、租税を主な財源とする国民保健サービス(NHS)で医療を保障しています。
5→× アメリカは国民皆保険ではありません。連邦政府の公的医療保険は、高齢者等のメディケアなどに限られます。

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各国の福祉改革と現状(原理と政策)

第30回 問題27

各国の福祉改革に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。

1 スウェーデンのエーデル改革は、高齢者の保健医療は広域自治体、介護サービスはコミューンが実施責任を負うとする改革であった。
2 イギリスのブレア内閣の社会的排除対策は、財政の効率化、市場化、家族責任など「大きな社会」理念に基づくものであった。
3 日本の介護保険制度は、給付に要する費用の全額を保険料の負担として、財源の安定を目指した。
4 ドイツの介護保険制度は、障害者の介護サービスを除外して創設された。
5 アメリカのTANF(貧困家族一時扶助)は、「就労から福祉へ」の政策転換であった。

解説

正答:1

1→○ エーデル改革(1992年)で、高齢者の介護サービスの実施責任がコミューンに一元化されました。
2→× 「大きな社会」はキャメロン政権の理念です。ブレア政権は「第三の道」を掲げました。
3→× 日本の介護保険の給付費は、保険料と公費で半分ずつ負担しています。
4→× ドイツの介護保険は、年齢や障害の種類にかかわらず、介護が必要な人を対象としています。
5→× TANFは「福祉から就労へ」の政策転換でした。

第33回 問題27

各国の社会福祉や社会保障の現状に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。

1 アメリカの公的医療保障制度には、低所得者向けのメディケアがある。
2 スウェーデンの社会サービス法では、住民が必要な援助を受けられるよう、コミューンが最終責任を負うこととなっている。
3 ドイツの社会福祉制度は、公的サービスが民間サービスに優先する補完性の原則に基づいている。
4 中国の計画出産政策は、一組の夫婦につき子は一人までとする原則が維持されている。
5 韓国の高齢者の介護保障(長期療養保障)制度は、原則として税方式で運用されている。

解説

正答:2

1→× 低所得者向けはメディケイドです。メディケアは高齢者等の医療保険です。
2→○ スウェーデンの社会サービス法では、コミューンが最終責任を負います。
3→× 補完性の原則は、民間の活動が優先し、公的サービスはそれを補うという考え方です。
4→× 中国の一人っ子政策は、2015年に廃止されました。
5→× 韓国の老人長期療養保険は、社会保険方式です。

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イギリスの救貧法から福祉国家まで(原理と政策)

第38回 問題19

次の記述のうち、イギリスのスピーナムランド制度の説明として、最も適切なものを1つ選びなさい。

1 救済を求めて都市部に集中する貧民を分散するために、生まれ故郷の教区へ強制的に送還した。
2 救済を申し込んだ貧民の労働能力の有無をテストするために、労役場を活用した。
3 労働能力のある貧民が雇用されるまでの間は自宅に待機させ、貧民救済委員会による救済を施した。
4 最低賃金制度がない状態で、パンの価格と家族の大きさによる基準と賃金との差額を賃金補助したため、賃金の引き下げ圧力を生むとともに、救貧税負担の増大を招いた。
5 救済を受ける貧民の救済水準は、独立自活している最下層の労働者の生活水準を下回るものとした。

解説

正答:4

1→× 居住地法(1662年)の説明です。
2→× ワークハウステスト法(1722年)の説明です。
3→× ギルバート法(1782年)の説明です。
4→○ スピーナムランド制度(1795年)は、パンの価格と家族の人数をもとに、賃金との差額を補助しました。
5→× 劣等処遇の原則で、新救貧法(1834年)の説明です。

第28回 問題24

イギリスにおける貧困対策の歴史に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。

1 新救貧法(1834年制定)は、劣等処遇の原則を否定した。
2 慈善組織協会(COS、1869年設立)は、救済に値する貧民に対する立法による救済を主張した。
3 ブース(Booth,C.)は、ロンドン貧困調査から「貧困線」という概念を示した。
4 老齢年金法(1908年成立)は、貧困高齢者に、資力調査なしで年金を支給した。
5 ウェッブ夫妻(Webb,S.&B.)は、「社会保障計画」を提唱した。

解説

正答:3

1→× 新救貧法は、劣等処遇の原則を採用しました。
2→× COSは、救済に値する貧民を民間の慈善で救済することを主張し、立法による救済には否定的でした。
3→○ ブースは、ロンドンの貧困調査で「貧困線」の概念を示しました。
4→× 老齢年金法の年金は、資力調査を条件として支給されました。
5→× 「社会保障計画」を示したのはベヴァリッジです。ウェッブ夫妻はナショナル・ミニマムを提唱しました。

第32回 問題25

「ベヴァリッジ報告」に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。

1 福祉サービスの供給主体を多元化し、民間非営利団体を積極的に活用するように勧告した。
2 従来の社会民主主義とも新自由主義とも異なる「第三の道」路線を選択するように勧告した。
3 ソーシャルワーカーの養成・研修コースを開設して、専門性を高めるように勧告した。
4 衛生・安全、労働時間、賃金、教育で構成されるナショナル・ミニマムという考え方を示した。
5 社会保障計画は、社会保険、国民扶助、任意保険という三つの方法で構成されるという考え方を示した。

解説

正答:5

1→× 供給主体の多元化を示したのは、ウルフェンデン報告(1978年)です。
2→× 「第三の道」は、ブレア政権が掲げた路線です。
3→× ベヴァリッジ報告の内容ではありません。
4→× この内容のナショナル・ミニマムを示したのは、ウェッブ夫妻です。
5→○ ベヴァリッジ報告は、社会保険を中心に、国民扶助と任意保険を組み合わせる社会保障計画を示しました。

第27回 問題23

社会的リスクに関する次の記述のうち、「ベヴァリッジ報告」で想定されていなかったものを1つ選びなさい。

1 疾病により労働者の収入が途絶えるおそれ
2 勤務先の倒産や解雇により生計の維持が困難になるおそれ
3 老齢による退職のために稼働収入が途絶えるおそれ
4 保育や介護の社会化が不充分なため、仕事と家庭の両立が困難になるおそれ
5 稼得者の退職や死亡により被扶養者の生活が困窮するおそれ

解説

正答:4

1→× 疾病による収入の中断は、想定されていました。
2→× 失業は、想定されていました。
3→× 老齢による退職は、想定されていました。
4→○ 仕事と家庭の両立の困難は、後に「新しい社会的リスク」と呼ばれるもので、ベヴァリッジ報告では想定されていませんでした。
5→× 稼得者の退職や死亡による扶養者の困窮は、想定されていました。

第34回 問題26

イギリスにおける貧困に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。

1 ラウントリー(Rowntree, B.)は、ロンドンで貧困調査を行い、貧困の主たる原因が飲酒や浪費のような個人的習慣にあると指摘した。
2 ベヴァリッジ(Beveridge, W.)による『社会保険および関連サービス』(「ベヴァリッジ報告」)は、「窮乏」(want)に対する社会保障の手段として、公的扶助(国民扶助)が最適であり、社会保険は不要であるとした。
3 エイベル‒スミス(Abel-Smith, B.)とタウンゼント(Townsend, P.)は、イギリスの貧困世帯が増加していることを1960年代に指摘し、それが貧困の再発見の契機となった。
4 タウンゼント(Townsend, P.)は、等価可処分所得の中央値の50%を下回る所得しか得ていない者を相対的剥奪の状態にある者とし、イギリスに多数存在すると指摘した。
5 サッチャー(Thatcher, M.)が率いた保守党政権は、貧困や社会的排除への対策として、従来の社会民主主義とも新自由主義とも異なる「第三の道」の考え方に立つ政策を推進した。

解説

正答:3

1→× ラウントリーが調査したのはヨークです。貧困の主な原因は、低賃金などの社会的な要因だと指摘しました。
2→× ベヴァリッジ報告は、社会保険を中心に置き、国民扶助はそれを補うものとしました。
3→○ エイベル-スミスとタウンゼントの指摘が、貧困の再発見の契機になりました。
4→× タウンゼントは、標準的な生活様式から締め出されている状態を相対的剥奪としました。中央値の50%は相対的貧困率の基準です。
5→× 「第三の道」を掲げたのは、ブレアが率いた労働党政権です。

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アメリカのニューディール政策(原理と政策)

第36回 問題23

次のうち、1930年代のアメリカにおけるニューディール政策での取組として、正しいものを1つ選びなさい。
(注)「障害を持つアメリカ人法」とは、「障害に基づく差別の明確かつ包括的な禁止について定める法律」のことである。

1 社会保障法の制定
2 公民権法の制定
3 メディケア(高齢者等の医療保険)の導入
4 ADA(障害を持つアメリカ人法)の制定
5 TANF(貧困家族一時扶助)の導入

解説

正答:1

1→○ 社会保障法は、1935年にニューディール政策の一つとして制定されました。
2→× 公民権法の制定は1964年です。
3→× メディケアの導入は1965年です。
4→× ADAの制定は1990年です。
5→× TANFの導入は1996年です。

海外の福祉の歴史と福祉レジームは、一問一答でも確認できます。
→海外の福祉の歴史の一問一答(50問)|イギリスの救貧法と報告書・アメリカの社会保障
→福祉レジームの一問一答(20問)表をタップ|脱商品化・階層化・脱家族化とティトマスのモデル

この記事の内容は、一問一答でも確認できます。
→海外の社会保障の一問一答 基礎編(20問)|くり返し出題されたアメリカ・イギリス・ドイツ・フランス・スウェーデンの制度
→海外の社会保障の一問一答 上級編(20問)|1回出題された各国の制度とイギリス・アメリカの福祉の歴史

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