民法の能力
1 意思能力を欠く状態でした法律行為は、取り消すことができる。
× 無効です(第3条の2)。取り消すことができるのは、制限行為能力者が単独でした行為や、錯誤・詐欺・強迫による意思表示です。
2 後見開始の審判は、精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況にある者について行われる。
○ 保佐開始の審判は事理を弁識する能力が著しく不十分な者について、補助開始の審判は事理を弁識する能力が不十分な者について行われます。
3 未成年者が他人にけがを負わせた場合、損害賠償責任を負うかどうかは、その者に責任能力が備わっていたかによって決まる。
○ 責任能力は、自分の行為が違法であることを理解できる能力で、おおむね12歳前後が目安とされます。第38回問題38では、15歳の者が起こした事例で問われました。
4 権利能力は、判断能力の程度に応じて制限される。
× 権利能力は出生によって取得し、死亡によって失うもので、すべての人がもちます。判断能力の程度に応じて制限されるのは行為能力です。
権利能力、意思能力、行為能力、事理弁識能力の違いについての記事はこちら
責任能力と、責任無能力者の行為について誰が責任を負うかについての記事はこちら
→責任能力(民法712条・713条)|責任無能力者と法定監督義務者責任の関係
無効と取消し
5 無効を主張することができる者は、法律で定められている。
× 誰でも無効を主張することができ、主張できる期間の制限もありません。主張できる者が法律で決まっているのは取消しです。
6 公序良俗に反する内容の契約は、一定の期間が経過すると有効なものとして確定する。
× 初めから効力がなく、期間の経過によって有効になることはありません(第90条)。追認によって有効なものとして確定するのは、取り消すことができる行為です。
7 後見開始の審判を受けていない者は、締結した契約の効力を争うことができない。
× 審判を受けていなくても、契約の当時に意思能力を欠いていたのであれば、無効を主張できる可能性があります。詐欺による意思表示であれば、取り消すこともできます。第32回問題78、第35回問題83は、いずれも審判を受けていない人の事例でした。
8 売買契約において、代金の支払期日が到来した場合、買主は商品の引渡しを受けていなくても支払を拒むことができない。
× 売主が商品を引き渡すまで、買主は代金の支払を拒むことができます。同時履行の抗弁です(第533条)。第32回問題78で出題されています。
消費者契約法と特定商取引法
9 消費者契約法は、店舗以外の場所で締結された契約に適用される。
× 事業者と消費者の間の契約すべてに適用されます。店舗で購入した場合も、介護サービスや障害福祉サービスの利用契約も対象です。場所や取引の形によって適用範囲が決まるのは特定商取引法です。
10 事業者から不利益となる事実を告げられないまま締結した契約は、消費者契約法により取り消すことができる。
○ 事実と異なることを告げられて誤認した場合、困惑して契約した場合、過量契約の場合も取り消すことができます。
11 消費者に一方的に不利な条項が含まれている場合、その契約は全体が無効となる。
× その条項だけが無効となり、契約そのものは残ります。契約全体から抜けるには、取消事由にあたるかを検討します。
12 訪問販売で購入した者が、書面を受け取った日から8日以内に解除の書面を発したが、事業者に届いたのが9日目であった場合、解除の効力は生じない。
× 期間内に発信していれば、届いたのが期間経過後であっても解除できます。効力は発信の時に生じます。第31回問題82で出題されています。
13 クーリング・オフによって契約を解除した場合、消費者は受け取った商品を自己の費用で返還しなければならない。
× 商品の引取費用は事業者が負担します。受け取った代金も事業者が返還します。第31回問題82で出題されています。
14 商品を開封して使用した後は、クーリング・オフによる解除をすることができない。
× 使ってしまっていても解除できます。第31回問題82で出題されています。
15 自ら店舗に出向いて繰り返し高額な商品を購入した認知症高齢者について、クーリング・オフによる解除を検討する。
× 店舗での購入は特定商取引法の対象になりません。消費者契約法による取消しができるかを、消費生活センターに確認します。第35回問題83で出題されています。
代理
16 任意代理では、代理権の範囲を家庭裁判所が定める。
× 本人が決めます。任意後見も日常生活自立支援事業も、ここに位置します。法律が範囲を定めるのは法定代理です。
17 成年被後見人が婚姻するには、成年後見人が本人に代わって届出をする。
× 婚姻は身分行為であり、代理も同意も入りません。成年被後見人も、成年後見人の同意を得ずに婚姻することができます(第738条)。第38回問題37で出題されています。
18 成年後見人と成年被後見人がともに相続人となる遺産分割協議は、利益が相反する行為にあたる。
○ 一方の取り分が増えれば他方の取り分が減る関係にあります。成年後見人が本人を代理して協議に参加することはできません。第35回問題79で出題されています。
19 利益が相反する行為について、特別代理人の選任を家庭裁判所に請求するのは、成年被後見人本人である。
× 成年後見人が請求します(第860条、第826条)。代理することができない立場にある者が、自ら請求します。
20 後見監督人が選任されている場合であっても、利益が相反する行為については、家庭裁判所に特別代理人の選任を請求しなければならない。
× 後見監督人が本人を代理します。特別代理人を選任する必要はありません。
21 特別代理人は、選任された後、本人に関する行為を包括的に代理する。
× 選任の理由となった事案についてだけ本人を代理します。
22 保佐において利益が相反する行為について本人を代理する者を、臨時保佐人という。
○ 補助では臨時補助人といいます。後見では特別代理人です。監督する者は、それぞれ後見監督人、保佐監督人、補助監督人です。
23 親権者と子の利益が相反する行為については、親権者が家庭裁判所に特別代理人の選任を請求する。
○ 第826条です。後見の場合と同じ形です。第34回問題81では、親にとって利益となり子にとって不利益となる契約を親が代理できるかという形で問われました。
24 成年後見人の配偶者は、後見監督人となることができる。
× 成年後見人の配偶者、直系血族、兄弟姉妹は、後見監督人になることができません(第850条)。
上記のような問題が実際の事例問題で解けるがどうかが大切です。こちらの記事も一緒に読んでみてください。第35回問題79の事例問題の解き方についての記事はこちら
→事例問題の解き方|権利擁護を支える法制度 第35回問題79 成年後見人の利益相反と特別代理人
身分行為における能力についての記事はこちら


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