ネットワーキングで出題された論点
ネットワーキングは、第31回から第38回までに、次の形で出題されています。
①ソーシャルサポートネットワーク(第35回問題110)
②ネットワークの種類と特徴(第33回問題112)
③平常時からのネットワークづくり→事例問題(第36回問題114)
ネットワーキングとは
ネットワーキングは、人と人、人と機関、機関と機関のつながりをつくり、支援に生かしていくことです。一人の支援者や一つの機関だけでは支えきれない生活課題を、つながりの力で支えます。
ソーシャルサポートネットワークは、本人を支える人や機関のつながりの全体です。家族、友人、近隣の住民などのインフォーマルな支えと、行政や専門職などのフォーマルな支援の両方を含みます。ソーシャルワーカーの関わり方は、二つあります。
①今あるつながりに関わる→家族や近所づきあいなど、自然にできているつながりを生かし、強める
②新しくつながりをつくる→足りないつながりを、新しく結んでいく
つながりは、いつも本人の支えになるとは限りません。親戚との付き合いが重荷になっている、近所の人の口出しがストレスになっている、ということもあります。ソーシャルワーカーは、つながりの数だけでなく、それが本人にとってどう働いているかを見ます。人間関係や社会資源とのつながりを図にして確かめる道具が、エコマップです。
エコマップとジェノグラムについての記事はこちら
→エコマップとジェノグラム|ソシオグラムとの違い・ハートマンのマッピング技法
ネットワークには、次のような種類があります。
①発見・見守りネットワーク→民生委員、近所の住民、新聞販売店や郵便局などが、地域で気になる人を見つけ、見守る
②多職種ネットワーク→医師、看護師、社会福祉士などが、それぞれの専門性を生かして違う役割を分担する
③ラウンドテーブル→立場の違う人々が、上下なく同じテーブルについて話し合う
多職種での連携についての記事はこちら
→ジェネラリストソーシャルワークと多職種連携|ジョンソン・多職種チームのあり方
国家試験では、ネットワーキングについて次のように出題されました。
○ソーシャルサポートネットワークについて「自然発生的なネットワーク内に関与していく場合と、新しいネットワークを形成する場合がある。」(第35回問題110)
○「個人を取り巻くネットワークには、個人にプラスの影響を与えるものと、マイナスの影響を与えるものの双方がある。」(第33回問題112)
×ソーシャルサポートネットワークについて「家族、友人、知人、近隣住民から提供される支援の総体と定義される。」(第35回問題110)→インフォーマルな支えだけでなく、フォーマルな支援も含めた総体です。
×「ジェノグラムは、クライエントを取り巻く人間関係や社会環境における資源のネットワークを可視化したものである。」(第33回問題112)→これはジェノグラムではなく、エコマップのことです。
×「地域で構築される個別の課題に対する発見・見守りネットワークは、専門職を中心に構成される。」(第33回問題112)→発見・見守りネットワークは、専門職だけでなく、地域の住民も加わって構成されます。
×「多職種ネットワークでは、メンバーができるだけ同じ役割を担うようにコーディネートする。」(第33回問題112)→多職種ネットワークでは、同じ役割ではなく、それぞれの専門性を生かした違う役割を分担します。
平常時からのネットワークづくり
災害への備えのように、いざというときに支え合うためのネットワークは、平常時からつくっておきます。ソーシャルワーカーの動き方として、次の考え方が共通しています。
①平常時から顔の見える関係をつくる→いざというときに初めて会うのでは、支え合えない
②当事者と周りの人が一緒に動く→支援が必要な人と、近隣の住民が一緒に訓練や話し合いをする
③関係機関と共有する→避難先や役割を、関係機関と一緒に確かめる。個人情報は、必要な範囲で共有する
④一人に任せない→本人一人や、特定の誰かに任せきりにせず、つながりで支える
どのような事例でも、上の四つの考え方に着目すると、選択肢の正誤を判断しやすくなります。第36回問題114は、この考え方で解くことができます。
災害時の支援の仕組みについての記事はこちら
→災害対策の全体像|福祉避難所・災害ボランティアセンター・令和7年改正
→DWAT(災害派遣福祉チーム)とは|DMATとの違い・避難所での活動内容
過去問を解いてみましょう
解説の( )内の①〜④は、上の「平常時からのネットワークづくり」で挙げた考え方の番号です。
第35回問題110
ソーシャルサポートネットワークに関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
1 自然発生的なネットワーク内に関与していく場合と、新しいネットワークを形成する場合がある。
2 ソーシャルサポートを提供する組織間のつながりを強めることを第一義的な目的とする。
3 家族、友人、知人、近隣住民から提供される支援の総体と定義される。
4 インフォーマルなサポートよりも、フォーマルなサービスの機能に着目して活性化を図る。
5 情報による支援や物的手段による支援からなり、ソーシャルメディアの利用を目的としている。
解説
1→○今あるつながりに関わっていく場合と、新しくつながりをつくる場合の両方があります。
2→×目的は、組織どうしのつながりではなく、本人を支える網をつくることです。
3→×家族や近隣などのインフォーマルな支えだけでなく、フォーマルな支援も含めた総体です。
4→×どちらか一方ではなく、インフォーマルとフォーマルの両方に着目します。
5→×情報や物だけでなく、気持ちを支えることも含みます。ソーシャルメディアの利用が目的ではありません。
第33回問題112
次のうち、ネットワークに関する記述として、最も適切なものを1つ選びなさい。
1 ジェノグラムは、クライエントを取り巻く人間関係や社会環境における資源のネットワークを可視化したものである。
2 地域で構築される個別の課題に対する発見・見守りネットワークは、専門職を中心に構成される。
3 ラウンドテーブルとは、ボランティアグループのリーダーが参加する活動代表者ネットワークである。
4 多職種ネットワークでは、メンバーができるだけ同じ役割を担うようにコーディネートする。
5 個人を取り巻くネットワークには、個人にプラスの影響を与えるものと、マイナスの影響を与えるものの双方がある。
解説
1→×人間関係や社会資源のつながりを図にするのは、ジェノグラムではなくエコマップです。
2→×発見・見守りネットワークは、専門職だけでなく、地域の住民も加わって構成されます。
3→×ラウンドテーブルは、リーダーの集まりに限らず、立場の違う人々が対等に話し合う場です。
4→×多職種ネットワークでは、それぞれの専門性を生かして、違う役割を分担します。
5→○つながりには、支えになるものもあれば、負担やストレスになるものもあります。
第36回問題114
事例を読んで,N市社会福祉協議会のM職員(社会福祉士)の対応として,適切なものを 2 つ選びなさい。
〔事 例〕
N市社会福祉協議会は,N市から避難行動要支援者への支援に関して委託事業を受けている。Mは,その事業のコーディネート役を担当しており,N市が海岸線の近くにあり,高台が少ないことから,大地震の際の津波などによる被害を心配している。Mは,日頃から「備えあれば憂いなし」と周りの職員たちに言い,避難行動要支援者を中心にした,平常時からのネットワーキングがN市には必要と考えて,支援活動をしている。
1 近隣の住民に声をかけ,避難行動要支援者と一緒に避難訓練を行う。
2 災害発生に備えて,避難行動要支援者名簿を地域の全戸に配布する。
3 自力で避難できるよう,避難行動要支援者を個別に訪問して指導する。
4 避難支援等関係者よりも,避難行動要支援者の安全確保を最優先するよう関係者に指示する。
5 避難支援等関係機関と一緒に福祉避難所を確認する機会をもつ。
解説
1→○当事者と近隣の住民が、平常時から一緒に動く機会をつくっています(①②)。
2→×名簿を全戸に配ると、個人情報が必要な範囲を超えて広がります(③)。
3→×自力で避難するよう本人一人に任せています(④)。
4→×支援する側の安全も守る必要があります。関係者に一方的に指示するのは、つながりをつくる動き方ではありません。
5→○関係機関と一緒に、平常時から福祉避難所を確かめています(①③)。
ソーシャルワークに関する記事の一覧はこちら
→ソーシャルワーク 記事マップ|基盤と専門職・理論と方法(共通・専門)旧:相談援助


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